今回の記事は前回の内容と似ているが、少しだけ違う。しかし、一連の記事と思ってもらっても良い。
自閉性スペクトラムの患者さんが、職場で失敗し上司に強めに指導された。
どうもそのやりとりでクビになったと思い込み、次の日、職場に行かなかったらしい。もちろん、上司や同僚はビックリである。本人に電話がかかって来た際、
自分はクビになったと思いました。
と答えた。もちろん叱責=クビではない。本人にその時のやりとりを聞いてみると、今後、失敗がないように指導されたとしか思えなかった。
ただし、本人がクビになったと思ったとして、職場に、
自分はクビになりましたか?
と問い合わせるのも相当に変である。このケースは、本人としてはドタキャンではないが、職場の人々からはドタキャンのように見える。
これはコミュニケーション能力の問題が大きいが、自己評価の低さも相当に関係している。
上司から、明日からまた来てほしいと言われて、本人はとても喜んでいた。本人は実はクビになっていなかったことを純粋に喜んだのである。
現代社会では、そうそうクビを切れるものではない。本人に喜んだ理由を問うと、
自分にできるような仕事などあまりないですから。
と自嘲するような笑みを浮かべ答えた。