急に思い出したので書きとめておく。
小学5年の時、担任の先生は女性だったため、体育だけは男性教師に習っていた。その体育の教師は、クラス担任もしていたかもしれないが、主に専任の体育と水泳クラブの顧問だった。
今では信じられない話だが、まだ薄ら寒い気候でも水泳クラブは練習を始めていたので、まだ水温が低い時期でも泳いでいた。つまり温水プールなどなかったのである。
僕は3月か4月か忘れたが、泳いだ後、プールから上がると耳に激痛が走り、バスタオルを体に巻いていても唇の震えが止まらず、歯が鳴り続けていた。
なぜ僕が泳いでいたかだが、たぶん水泳クラブに入っていたからだと思う。水泳がわりあい得意だった話が過去ログにも出てくる。
今日はこれを話したかったのだが、ある日、その体育教師に授業を受けていた時のこと。この男は、急に怒り出して生徒を殴る習性があり、その時は運が悪いと諦めないといけなかった。
殴り方だが、ビンタではなく拳で殴るのである。
ある時、何か気に入らなかったことがあり、僕の横にいた生徒が強烈に拳で殴られ吹っ飛んでいった。次は僕だろうと思って、奥歯をぐっと噛み締めたが、僕の顔をちょっと見て、なぜか殴るのを止めたのである。
僕は心の中で安堵・・
彼に殴られた子供たちをたくさん見た記憶は残っているが、自分が殴られた記憶があまりない。実に恐ろしい教師、と思っていたのは確かである。
その真横で殴られた子はクラスでも特別というか有名だった。というのは、スポーツが抜群の上、彼の父親は当時、僕が住んでいた市の警察署長だったからである。彼の父親はまだ若く、いわゆるエリートコースの人だったと思う。
しかし、彼を殴った事件は全く問題にならなかったのである。
当時の小中学校では、少々の体罰は容認されていた。その体育教師の口癖は殴った後、
文句があるなら父親を連れて来い!
だったので、父親が警察署長の彼を殴ったのは大事件である。僕の友人たちは皆そう思った。
彼の父親が何も行動を起こさなかったのは不思議というより、ある意味、立派だったのかもしれない。
当時、あまりにも体罰が多いことと、えこひいきが酷いため、周囲からは少し特殊な人とは思われていたが、PTAでもさほど大きな問題にはならなかった。
このえこひいきだが、同じ学校の先生の子供にきつく当たるのである。K君という女性のやり手の先生の子供が最も嫌がらせを受けていた。僕は、同じ水泳クラブに入っていたのもあり、彼がその教師に滅茶苦茶に文句を言われていたり、殴られているのをよく見ていた。
今思えば、きっと仕事上のその女性教師との軋轢のようなものがその子供にぶつけられていたような気がする。
僕の親友の母親は、その暴力教師の大ファンであり、「あれほど教育熱心な先生はいない」などと言っていたので「人には色々な物の見方があるものだ」と子供心に思った。
うちの母親などは、彼女のその感性に呆れ果てていたのは言うまでもない。
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体育教師が小学生を殴った話
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