ジプレキサの注射剤が2012年の年末(11月~12月)頃、発売になるようである。
ジプレキサの注射剤はアメリカ、ヨーロッパでは既に発売されており、アメリカでは10mgのアンプルが使われている。この名前だが、
Zyprexa Intramuscular
と呼ばれ筋注で使われる。ジプレキサの即効剤と言うわけである。
実は、僕が精神科医になって以来、このタイプの即効性のある抗精神病薬の注射剤は全く発売されていない。ハロマンス(ネオペリドール)、フルデカシン、リスパダールコンスタなど、持続性抗精神病薬が発売になっただけである。
いわゆる即効性のある抗精神病薬の注射剤は、
セレネース
トロペロン
コントミン
レボトミン
の4つである。過去ログでは、セレネースやトロペロンを筋注した話は時々出てくる。この2つは即効性という点でも、力価と言う点でも極めて有用な抗精神病薬剤型である。それに比べ、コントミンとレボトミン(ヒルナミン)はフェノチアジン系のため少し使い辛い。(特に後者)。
この4つの注射剤は、僕が医師になった年には既に発売されていたのである。
ジプレキサ注射剤はアメリカに習い、10mgの1剤型だけ発売になると思われる。
ジプレキサの注射剤の発売は、初の非定型抗精神病薬の注射剤でもあり、画期的な事件といえる。
アメリカでのジプレキサ錠の剤型だが、
2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mg、20mg
の6剤型が存在する。細かい単位で段階的に剤型が創られており、1日1錠で済むように工夫されている。日本でも、7.5mg錠はほしいところだが、剤型が増えると言うことは、薬局の余剰在庫が増えることでもあり、その按配が難しい。(剤型が増えることは、病院にとっては不経済)
日本人は体格的?に、大きな錠剤が服用しにくい。20mg錠は発売されたとしても嫌われるのではないかと思われる。
アメリカでのザイディス錠は、
5mg、10mg、15mg、20mg
の4剤型であり、日本より15mgと20mgがあるのが異なる。アメリカでも2.5mg、7.5mgは発売されていない。
日本では、もし2.5mgザイディスがあると非常に有用と思う。実は、2.5mgザイディス錠が発売されないのは技術的に難しいためらしい。
精神科の薬は改善の確率が低かったとしても、精神科の患者の精神症状や忍容性の多様性から、多ければ多いほど良いと思われる。
その薬物に多少欠点があったとしても、フィットする人がいる意味は大きい。
(補足)
実は上記4つ抗精神病薬剤の他、ドグマチール100mgの注射剤がある。これはうちの病院にもあるが、数名しか使ったことがない。上に挙げ忘れるほど。インパクトは上記4剤ほど強くない。何故ドグマチール100mg注を購入したかというと、ある時、何をしてもうまくいかない患者さんがいたから。その患者さんは結局ドグマチールではなく全く別の方法で改善している。
参考
短期決戦に構える
セレネースとトロペロンのアンプル
希死念慮という物質とトロペロンの謎
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ジプレキサの注射剤
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