ベゲタミンはフェノバールを含んだ合剤であり、どこの病院でも扱っているわけではない。僕が卒業した年、うちの大学病院では既に処方されておらず、アルバイト先などで初めて処方する機会を得た。
ベゲタミンを処方されている人が大学病院に転院した時は、仕方なく個々の薬を散剤で処方したが、全く間抜けな処方になる。何をしたいのかわからない・・みたいな。
当初、ベゲタミンの内容を見ても、これがいったいどの程度の力価なのかよくわからなかった。ベンゾジアゼピンとは別のカテゴリーの薬だったからである。過去ログにもあるが、ベゲタミンはAもBも、非常に有用で優れた薬である。あれを最初に作った人は天才である。
ベゲタミンは単に眠剤だけでなく、鎮静剤としての効果も大きく日中も使える。朝夕に1錠ずつ服用することも可能なのである。
ベゲタミンAの内容
コントミン 25㎎
ヒベルナ 12.5㎎
フェノバール 40㎎
ベゲタミンBの内容
コントミン 12.5㎎
ヒベルナ 12.5㎎
フェノバール 30㎎
これを見ると、2つの傑出している薬、コントミン、フェノバールが含まれていることが重要である。ヒベルナは抗ヒスタミン剤で、眠気を催すが同時にパーキンソン症状の副作用止めでもある。抗精神病薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン薬のトリオが入っており、完結している。
普通、ベゲタミンは統合失調症か躁うつ病、あるいは、重い不眠を持つ神経症圏の人にも使える上、服用可能なら、広汎性発達障害の人だって使える。つまり、副作用が出ないなら、あるいは乱用されないなら、全ての人に処方可能である。
どうにもこうにも眠れない人は、ベゲタミンを併用し、他のベンゾジアゼピンを整理した方がかえって昼間の精神症状が安定するということもある。
うちの病院はタイトルの通り、「ベゲタミンを処方する医師」がいるため、そのような人が集まってくる。「○○病院に行ったが、べゲタミンは置いていない」と言われたという患者さんがいたので、僕は、
そういう病院は真面目な病院だよ。
と答えた。これは本心である。(実際、ベゲタミンなどを排除するキャンペーンもある)すると、その質問をした子は「じゃあ、先生の病院はどんな病院ですか?」と聴いた。
(鋭い・・)←副音声
真面目の反対は不真面目なんだろうが、院長自らそういうのも変だし、不真面目というのは実際を反映していない。
うちの病院は、常識や型にとらわれない病院です。つまりベストと思われる治療をするように心がけている。
といった内容のことを話した。これはこれでわりあい正しく表現できた思う。
今回の話は、
薬があるから、ODが生じるのではない。本質は他にある。
と同じようなことを言っている。
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ベゲタミンを処方する医師
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