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Channel: kyupinの日記 気が向けば更新
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古い入院カルテの患者さんの写真

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古い入院カルテには最初のページに患者さんの写真が貼られていることがある。これは病院にもよると思うが、僕が過去に勤めた病院では、若い頃の写真を貼り、昔はどのような人だったのかわかるようにしているカルテが多かった。

近年は、あまりカルテには写真は貼らない。そういう病院もあるかもしれないが、皆無に近いような気がする。

今60歳くらいの人で、長期に入院している人では、20歳頃の写真を見て愕然とすることがある。あまりに変わっているからである(統合失調症的な荒廃の進行がわかることを言っている)

現在、患者さんの写真を撮らないかというと決してそうではない。例えば院内のレクレーションや日帰りの旅行などで撮影するからである。その写真は本人に渡すが、いらないと言う人もいる。しかし、そのような写真をカルテには貼らないのである。

僕は最初、今の病院に移籍した時、全員の入院患者さんの写真を本人に頼んで撮影したことがあり、今もパソコン内に保存している。自分は撮られたくないという人は1名もいなかった。

これは一刻も早く全員の患者さんの名前と顔を一致させるためである。

これを早くしないと、治療イメージも湧かないからである。

普通、患者さんの過去の病歴や治療状況を把握しないと、良いアイデアも浮かびそうにない。そのために写真を撮ることは結構有効であり意味もある。

最近の入院患者さんの場合、写真を積極的に撮ってはいないが、時間が経つとかなり良くなりそうに思われる人は、頼んで撮影しておくこともある。気にするような人は最初から頼まない。

こういう風にすると時間が経って病状を本人と話しあう際に、どのように変わったかよくわかるメリットがある。過去の写真は嘘はつかないから。一般に表情の改善は精神科では非常に大きな所見である。

正面の写真は後に役に立つことがある。老齢で精神科に長期に入院している人の場合(50年選手のような人)、亡くなった時に葬式で使う写真がないことがある。これは家族にとって非常に困ることである。

そのような時、パソコンを探すと数枚は写真が残っているものだ。それをフラッシュメモリなどに入れて家族に渡す。ある程度フォトショップで補正も可能なので、結構良い写真ができる。

このようなことで、家族に感謝されることが過去に何度かあった。

今日の記事はもの悲しいものではある。しかし写真は現実的な面で役立つものなのである。

参考
治療イメージについて
精神科治療と記憶
森を見て治療を進める




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