一般に精神科では、大きく薬剤変更できる機会は、病状悪化し入院した時である。
このような際は、ベースが悪化した状態なので、比較的自分の裁量で変更できる。
外来でさほど大きな変化はないものの、平均して低空飛行の時、良い機会があったら変更したい。これは受診当初ではなく、治療し始めて十分に時間が経った時期を言っている。
理想的には入院して変更する方法が安全だが、低空飛行でもなんとか仕事をしている人や、家で波乱なく過ごせている人は入院までは薦めにくい。本人はともかく、家族が了解しないこともある。
ずっと以前は、春先と秋口がリスクが高く、それ以外はそれほどリスキーではないと思っていた。
実は、季節性に悪くなるのも個人差があり、夏場、極めて暑い時期に必ずうつが悪化する人もいる。一般的には冬季に太陽光線が少なくなるとうつが悪化すると言われるが、西日本ではそこまで明瞭ではない。日照時間は減るものの著しく減少はしないからである。僕の患者さんには冬季に毎年躁転気味になる人すらいる。
つまりその人の病状のバイオリズムの把握が最も重要である。その人にとって最も波乱がない季節が適切と言える。
1年のうちで最も自殺のリスクが高い月はいつでしょう?
この答えは5月と6月である。これは5月病とか、4月に学生なら進級したり、働いている人なら配置換えや昇進があるのでそれも関係しているように思えるが、実はヒトのセロトニンとも関係しているらしい。
つまり、5月及び6月の自殺の増加は、5月病などの外的要因以外に、身体的なバイオリズムも関係しているようなのである。逆にいうと身体的バイオリズム(セロトニンなどの影響)により5月病になりやすくなるとすら言える。
自殺などを考慮しなければ、5月と6月が不適切な変更期には思えないのだが、一応、この関係はうつ病圏の人では考慮すべきである。
なぜ、薬物変更という一見、季節とは無関係の作業にこのようなことを考えるかと言うと、例えば春先に何らかの賦活的薬物を追加し、躁転模様になった場合、季節的バイオリズムでそうなったのか、薬のためにそのような病状が生じたのかわかりにくいことがあるから。
これは医師はそう思うが、患者さんは、もう少し異なる考え方をする場合もある。つまりだが、今後の良好な治療関係の維持を考えると、余計なノイズは持ち込みたくないのである。
結論的なことを言うと、春先は避ける。それ以外の季節は、その患者さんの病状を観て判断する。もちろん、社会的な影響(昇進とか離婚など)も考慮するのは当然である。
季節が無関係になるのは極端に悪化した時である。普通、非常に悪化し入院させたのに放置することはしない。精神科では、「悪化した病態」は治療を大幅に変更する貴重なチャンスでもある。過去ログでは「極端に悪化した病態は快方に向かう変曲点」になりうると言う表現もある。
このように考えると、十分に注意をしていれば、薬剤変更をする季節には大きな制約はないのがわかる。
参考
治療イメージについて
このような際は、ベースが悪化した状態なので、比較的自分の裁量で変更できる。
外来でさほど大きな変化はないものの、平均して低空飛行の時、良い機会があったら変更したい。これは受診当初ではなく、治療し始めて十分に時間が経った時期を言っている。
理想的には入院して変更する方法が安全だが、低空飛行でもなんとか仕事をしている人や、家で波乱なく過ごせている人は入院までは薦めにくい。本人はともかく、家族が了解しないこともある。
ずっと以前は、春先と秋口がリスクが高く、それ以外はそれほどリスキーではないと思っていた。
実は、季節性に悪くなるのも個人差があり、夏場、極めて暑い時期に必ずうつが悪化する人もいる。一般的には冬季に太陽光線が少なくなるとうつが悪化すると言われるが、西日本ではそこまで明瞭ではない。日照時間は減るものの著しく減少はしないからである。僕の患者さんには冬季に毎年躁転気味になる人すらいる。
つまりその人の病状のバイオリズムの把握が最も重要である。その人にとって最も波乱がない季節が適切と言える。
1年のうちで最も自殺のリスクが高い月はいつでしょう?
この答えは5月と6月である。これは5月病とか、4月に学生なら進級したり、働いている人なら配置換えや昇進があるのでそれも関係しているように思えるが、実はヒトのセロトニンとも関係しているらしい。
つまり、5月及び6月の自殺の増加は、5月病などの外的要因以外に、身体的なバイオリズムも関係しているようなのである。逆にいうと身体的バイオリズム(セロトニンなどの影響)により5月病になりやすくなるとすら言える。
自殺などを考慮しなければ、5月と6月が不適切な変更期には思えないのだが、一応、この関係はうつ病圏の人では考慮すべきである。
なぜ、薬物変更という一見、季節とは無関係の作業にこのようなことを考えるかと言うと、例えば春先に何らかの賦活的薬物を追加し、躁転模様になった場合、季節的バイオリズムでそうなったのか、薬のためにそのような病状が生じたのかわかりにくいことがあるから。
これは医師はそう思うが、患者さんは、もう少し異なる考え方をする場合もある。つまりだが、今後の良好な治療関係の維持を考えると、余計なノイズは持ち込みたくないのである。
結論的なことを言うと、春先は避ける。それ以外の季節は、その患者さんの病状を観て判断する。もちろん、社会的な影響(昇進とか離婚など)も考慮するのは当然である。
季節が無関係になるのは極端に悪化した時である。普通、非常に悪化し入院させたのに放置することはしない。精神科では、「悪化した病態」は治療を大幅に変更する貴重なチャンスでもある。過去ログでは「極端に悪化した病態は快方に向かう変曲点」になりうると言う表現もある。
このように考えると、十分に注意をしていれば、薬剤変更をする季節には大きな制約はないのがわかる。
参考
治療イメージについて