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Channel: kyupinの日記 気が向けば更新
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ラミクタール中止後の再開方法(前半)

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今回は、ラミクタールを何らかの理由で中止した後に再開する手法である。中毒疹が出た後の再トライのケースは後半に書く予定(今のところだが)。

なんらかの理由とは、例えばラミクタール100mg服用している際に、突然、通院を中断し、しばらく服薬をしていなかった場合など。あるいは体調が悪いため、しばらく止めておいた方が良いと判断し医師が止めていたケースも含む。

また、他の向精神薬を併用した際に中毒疹が生じ、念のためラミクタールを中止していたが、実は他の薬物ないし食品が原因と判明した時など。

こういうとき、どうすんの?

と言う話である。このようなことは、臨床では意外に起こりうることである。また、その中断期間により、どのように対処したら良いか迷うようなことである。

ある時、よくわからない理由で湿疹が生じた。その患者さんは元々通院が比較的不規則だったこともあり、主治医に受診しなかった。たまたま他の精神科医が診察し、念のため、ラミクタールを中止したのである。その量は100mgであった。

ところが、本人によると、毎年、その季節には一過性に湿疹のような肌荒れがあるらしく、ラミクタールは無関係と思われた。ラミクタールは既に8ヶ月続けているのである。

臨床的には、ラミクタールという薬は、急に中止してもほとんど離脱症状が出現しない。これはリーマスやデパケンRに似ている。

しかし、この人の場合、ラミクタールは良い実感があり、特にうつや厭世観などに効いていた。中止後、速やかに精神面の悪化が診られ生活が荒んだ。

その患者さんはデパケンRを併用していた。ラミクタール中止後、11日目だった。ラミクタールをこのような経過で再開する場合、注意するポイントがある。

基本的に「ラミクタール半減期の5倍」の期間を経過した場合、初回用量から開始すべきとされている。

また、併用薬が半減期に影響を及ぼすため、いかなる薬を併用しているかにより、その期間は異なる。

1、 バルプロ酸(デパケンR)併用(バルプロ酸を併用している場合、他の併用薬は問わない。)

約350時間=14.58日

つまり中断期間が2週間を超えたら最初から増量しましょうと言うこと。

2、バルプロ酸を併用せず、グルクロン酸抱合を誘導する薬剤を併用(具体的にはテグレトール、アレビアチン、フェノバールなどの併用)

  約65時間=2.71日

これは正直、かなり厳しい。3日以内に再診することなどほぼないから。200mgも服用していたなら、大変な事態である。中断が3日を越えたら、仕方なく最初から始める。

3、ラミクタール単剤(リーマス、ジプレキサなどの併用があっても単剤とみなされる)

 約170時間=7.08日

だいたい1週間が期限の限界である。

最初に出てきた患者さんの場合、デパケン併用だったので、11日は理論的にはそのまま100mgを再開できることになる。

100mgを再開したところ、速やかに精神症状は一時より安定したので、間違いなくラミクタールが有効であることがわかった。

参考
ラミクタールと重篤な中毒疹
ラミクタールの中毒疹の随伴症状
ラミクタールとスティーブンス・ジョンソン症候群
最も辛いことは、困ったとき相談する相手がいないこと


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