日本では、ハルシオンは長く販売が続けられている。海外では、特にヨーロッパで販売中止になっている国が多いが、これはイギリスBBCのネガティブな報道によるところが大きい。(過去ログ参照)。
日本では、ハルシオンについて、大きな規模で販売を中止せよと言う世論は起こったことがないと思う。今でも短い半減期の代表的眠剤の1つである。
ある時、年配の夫婦が来院され、ハルシオンを処方してもらえるか尋ねられた。その理由だが、他の病院では、なかなかハルシオンを処方してもらえなかったんだそうである。
特に奥さんの方は不眠を来たしやすい身体疾患があるため、他の眠剤ではさっぱり眠れず、ハルシオンを飲まないと眠れないらしい。それも0.25mgを2錠飲まないと眠れないと言うのである。
一方、ご主人の方は0.25mgで十分に眠れるが、無理にハルシオンでなくても他の眠剤でも良さそうであった。しかし、何剤も出すようになるのなら、ハルシオン1剤で眠れればその方が良い。
結局、奥さんにハルシオンを2錠(0.25×2)、ご主人には1錠処方し、もう長い期間、通院されている。(おそらく10年前後)。
2人とも睡眠に関しては心配がなくなり、とても喜んでおられた。
ハルシオンの用法
成人は1回トリアゾラムとして0.25mgを就寝前に経口服用する。高度な不眠症には0.5mgを服用することができる。なお、年齢・症状・疾患などを考慮して適宜増減するが、高齢者には1回0.125mg~0.25mgまでとする。
ハルシオンは、「絶対処方しない方が良い」と言うほど問題のある薬ではないと思う。
その理由の1つは、ベンゾジアゼピンが開発、発売された経緯だが、種々の問題が多いバルビツレートではなく、安全性が高い薬が望まれたからである。
バルビツレートは眠剤と言うより、麻酔薬に近い薬である。いざと言うときに起こされても目が覚めないとか、動けない事態が生じる。ベンゾジアゼピンはそれがない。
過去ログでは、ベンゾジアゼピン系の薬だけ服用していて、肝障害が生じたのをほとんどみたことがないと記載している。同じように、腎障害が生じたり既にある腎障害を悪化させたことも経験がない。
日本で長く処方されているのは、それなりに理由がある。
参考
ハルシオン
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ハルシオンを処方して喜ばれた話
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