ある時期、不安障害の夫人の治療をしていたところ、不安状態が改善するにつれ、不思議なことに夫の疼痛が快癒したという。
これは妻の妊娠の際に、夫につわり様症状が出ることにちょっと似ていると思った。
おそらくだが、夫につわりが出ることは科学的に説明が難しいのではないかと思われる。医療の現場では説明がし辛い不思議な出来事が、ごく稀にみられる。
精神科業界では「二人組精神病」という集団に共有される不思議な精神病があるが、夫婦は親密な関係だけに、夫の疼痛の軽快は「二人組精神病」の最も軽い亜型のようにも見える。
たいていの精神科医は、このような現象を何度か経験している。
この種の事件で、過去に最も驚いたのは、あるアスペルガー症候群の親子を入院させた際に、別々の部屋にいたのに、同時に同じ幻覚を体験し、まったく同じように表現したことである。
ただし、その事件はテレパシーのように続かず、一過性であり、二度と同じことは起こらなかった。
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奥さんの不安を遮断したら、夫の疼痛が止まった話
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