ラミクタールは現在、日本ではてんかんおよび双極性障害の適応を持つが、いずれも単剤で投与できるようになっている。これは特にてんかんの場合、ラミクタールの催奇形性の低さを考えるに大きなメリットだと思われる。
また、ラミクタールは過去ログにも度々出てくるが、単極性うつや神経症、自閉性スペクトラムなどにも精神症状の改善が期待できる。これはどのような効き方をしているのか不明な点があるが、色々なライフイベントに対する過敏性などの改善を通して、何らかの好影響を及ぼしているように見える。
特に神経症ないし、自閉性スペクトラムの場合、その患者さんの忍容性を考慮し、処方量を決めた方が望ましい。
実際、ありえないほどの少量投与の方がむしろ良く、増量すればするほど有害作用が目立つこともある(重要)。
子供であれば、ラミクタール1㎎ないしせいぜい3㎎が良いことすらある。
例えば、12.5㎎では「心の風通しが良くなったようで体が軽くなり楽に仕事ができる」と言っていた人が、25㎎に増量したことにより、「イライラして、言葉が強くなる。いらないことを言ってしまう。」とか「子供に当たるようになった」などの悪影響を語る人もいる。
結局、微妙な精神症状に対するラミクタールは対症療法なので、一般的な増量で対処するのは間違っている。てんかんのようにマニュアル的に増量すると失敗することも稀ではない。あるいは、不必要に高い用量を服用している場合もある。
ある時、ADHDで自傷行為や暴力、過食が多い人を入院治療していたが、ラミクタールを200㎎まで増量したものの、たいして効果的には見えなかった。また、ストラテラもかえって怒りが爆発するような病態になり好ましくなかったのである。
しかし、いったん減量してラミクタールを減量してみると、全くゼロにするよりは25㎎でも服用していた方が良いのである。これは入院で毎日診ていないとよくわからないわずかな相違といえた。したがって看護師さんはあまり気付いていなかった。
たぶん、細かい処方変更の意図は主治医が最も把握しているわけで、僅かな精神症状の改善が生じた際、主治医本人だからこそわかると言うのはあるように思う。つまり、その薬が良かったか良くなかったかは、小さな差であるほど、主治医よりわかる人はいない。
たいていの場合、ラミクタール12.5㎎以下で済む人(それ以上の増量が好ましくない人)はラミクタール単剤で済む人は稀である。少量で済む人でも、せいぜいこのような処方。
ラミクタール 12.5㎎(隔日)
リボトリール 0.5㎎
とか、
ラミクタール 12.5㎎
リフレックス 7.5㎎
あるいは、
ラミクタール 12.5㎎
レクサプロ 5㎎
などが多い。いずれも自分の患者さんで就労している人では良くある処方である。また、ラミクタールの賦活効果が良く出ている人では、少量でも不眠を来し、上記の処方に眠剤が加わることもある。
このような処方の人はいったい診断は何なんだ!と思うかもしれない。このレベルの人は精神疾患があったとしても、もやはそれが問題にならないと思っている。実際に、働いている人が多く、社会的にもそうである。
服薬しているのと、そうでないのとどう違いますか?問うと、たいてい、
それは働きやすさが全然、違いますよ。
とか、
感じる風が違う。まるで生まれ変わったようです。
くらいの返事も聴く。このようなことを患者さんから聴くと、やはり精神医療は対症療法なんだと思う。
参考
単極性、双極性の激うつ対策本部
ラミクタールのテーマの全て
若手精神科医と病棟看護師の話
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ラミクタールの微妙な用量調整について
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