今日の記事は短いものの、精神科で治療を受けている人たちには重要だと思う。
平成28年度の診療報酬改定では向精神薬の2剤制限が抗うつ剤、抗精神病薬までに拡大されるようである。
上は田辺三菱製薬株式会社による診療報酬改定のまとめ冊子から、向精神薬制限の部分をアップしたもの。上記の1ページ目の最後の部分から2ページ目の最初にかけて記載がある。
これまで、睡眠薬2剤、抗不安薬2剤、抗精神病薬3剤、抗うつ剤3剤までを上限として許されており、多剤のまま転院してきたとか、薬剤切り替え中の患者さんには例外規定が設けられていた。
今回の改定では抗精神病薬、抗うつ剤も2剤が上限となる。
多剤制限に関しての過去ログでは、外来患者の(抗精神病薬および抗うつ剤の)3剤制限は問題にならないと記載している。
睡眠薬に関しては、不眠が著しい患者が稀におり、自分の外来患者さんの中で2剤に収まらない人が2名だけいる。(この2名については減点を受けているが、まあ仕方がないといった感じ)
今回の抗精神病薬および抗うつ剤のそれぞれ2剤制限に関しては、抵触する外来患者さんを調べたところ、1名だけいた。(実はもう1名いるが、既に上記の眠剤2剤制限に抵触している人なので新規ではない)
その人は、パキシルCR25㎎とサインバルタ40㎎に加え、アナフラニールを50㎎使っている。なぜアナフラニールなのかというと、この人には遺尿があるため。(3環系抗うつ剤は遺尿に有効)。
パキシルは非常に止めにくい薬なので、効果を考えるにアナフラニールを中止するか、中止しないで減点を受け入れるしかない。
現在、睡眠薬2剤制限をなんとか他剤でカバーするため、例えばレスリンが追加されている人がいると思うが、カリフォルニアロケット燃料処方(サインバルタ+リフレックス)などの併用処方を受けていて、レスリンが眠剤の補助として使われていたら、3剤になるので処方変更が必要になる。
僕はレスリンはほとんど処方しない精神科医なので問題にならなかった。
また、統合失調症の人では、レボトミンやコントミンを眠剤の補助に使われているケースでは、減薬が必要になる。
上記のアナフラニールの人に質問された。
なぜ、制限されるんでしょうか?
僕の答えは、
国がそう言っているので仕方がないです。
つまりだが、日本の医療は精神医療に限らず保険制度のもと行われており、常に国の管理下にあるのである。
(注意)来月から始まることだが、あまりに急な話なので、直前で内容が調整される可能性がある。
参考
外来における向精神薬投与制限
外来処方制限における微妙な向精神薬
2014年10月1日から始まる外来の多剤投与制限の薬物一覧
外来における向精神薬投与制限 Q&A
↧
向精神薬2剤制限の拡大について
↧