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口腔内セネストパチーと白虎加人参湯

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過去ログでは、口腔内の異和感、痛みなどの症状があり、歯科などを廻っている患者さんには、デプロメールやリボトリール、エビリファイ、リーマス、リリカ、ラミクタール、トピナ、グラマリールなどを有望な薬として挙げている。

この口腔内セネストパチーの症状だが、上記のような薬を服用していても、併用薬で微妙に効果が変化する。例えば骨粗鬆症に処方されるフォサマックなどである。フォサマックはなんとなくだが、骨に関与する薬なので、口腔内セネストパチーの症状に影響してもおかしくない。

普通、口腔内セネストパチーは若い人は稀で、中年~高齢の人にみられるので、向精神薬だけでなく成人病の薬を併用していることが多い。だから、向精神薬と内科や婦人科薬などの併用薬との総合的な薬理作用が症状を支配しているといえる。

だから、他科で処方される薬の変更の際に微妙に本人の実感が変化し、治療する精神科医も不思議な経験をする。

白虎加人参湯は、普通は口渇や多尿に処方されるが、体の灼熱感、発赤や痒みなどにも使われるため、セネストパチーには試みたい漢方薬の1つである。しかし、白虎加人参湯は水分を体内に保持する薬なので(その結果、口渇を抑える面がある)、老人の女性に使った場合、足の浮腫が酷くなることがある。このような人には使えない。

白虎加人参湯は決定的にセネストパチーを改善することはないが、何らかの影響を与え、症状が変わることもある。

よく考えると、白虎加人参湯の主たる生薬の「石膏」は、硫酸カルシウムなので、なんとなく、関わり方がフォサマックに似ている。(ここではこれ以上の考察はしない)

口腔内セネストパチーは、色々やっているうちに「なんとなく症状が緩和しあまり気にならなくなる」といった良くなり方をする。だから時間が経って、いったい何が最も重要な働きをしたのかはっきりしないことがある。

これはある高齢女性の処方である。

リボトリール 0.5mg
セロクエル 25mg
ハルシオン   0.25mg
ユベラN    300mg
グラマリール  50mg


この処方でセネストパチーの症状が完全に消失しているが、これまで長い期間、試行錯誤があった。僕はこの人に限れば、グラマリールがとても良かったように思うが、他の薬、例えば、この女性にとって影響が大きいハルシオンだって、無関係とは言えないと思う。寛解状態に至ったのは、総合的な薬理作用とかけた時間の結果である。

口腔内セネストパチーは、最終局面で薬が必要でなくなる人もいる。例えば、歯科で貰ったマウスピースだけで寛解してしまう人もいるからである。

こういう人も、最初からマウスピースだけでは良くなりはしない。

それまでの治療経過も関係するのである。

参考
口腔内セネストパチー
口腔内セネストパチーとリリカ(この女性は今回のエントリとは別の人である)






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