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通院中止の相談

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ごく稀に、患者さん本人またはその家族から、今後の外来治療中止について相談を受けることがある。

 

個人的に、このように相談する人はよほど真面目なんだと思う。というのは、相談もなく通院をやめてしまう人が多いと思うからである。

 

これらの相談を受けた場合、まずその人がいかなる精神疾患なのかが重要である。統合失調症、双極性障害、うつ病、認知症などにより予後が異なると思うからである。

 

実際このような際に、僕は通院中止による服薬中止の今後の影響や、予後について意見を言うようにしている。

 

一般に通院中止したいと希望する人は精神疾患なるものを甘く考えていることが多い。家族に服薬の必要性を理解する能力ないし気持ちが欠如していることもある。

 

現在社会で最も悲惨と思うのは、家族の理解がなく、必要な精神科医療が受けられない人たちである。

 

精神科に通い服薬していると、家族から「なぜ薬を飲むのか」とか、「そろそろやめても良いのではないか?」と質問されたり、やめさせられたりすることもあるという。

 

このようなスタンスの家族はそうそう考え方が変わるものではなく、断薬の結果、相当に痛い目にあっても、「だったら服薬せざるを得ないか」というわかりやすい結論に行きつかない人たちもいる。

 

過去ログでは、ある女性患者さんの服薬と通院を非難し、病院(つまり自分)にまで電話をかけてきて、恫喝した話が出てくる。しかし、その結果は彼らは全員、自殺したのである。

 

最初の話に戻るが、通院の中止を希望し、わざわざ主治医に相談するような家族は、 

  1. 主治医を信頼している。

  2. 本人が副作用などのため服薬を嫌がっている。

  3. 今、精神症状が改善し、安定している。

  4. 薬物の絶対量が少ない(たとえばエビリファイ6㎎など)。 

といった状況のことが多い。そのようなこともあり、数か月~1年くらいなら安定している可能性の方が高いと思うし、措置入院でもなんでもなく、しかも外来患者さんが治療を続けるかどうかは、本人および家族が決めることと言う理解なので、どうしても助言が甘くなる。(一言でいえば、治療するかどうかは任意なもの。内科、外科ではそういった対応がほとんど)

 

かくして、治療中止後、半年くらいで相まみえるのであった。このような悪化の際に、統合失調症の場合、前回より必要な服薬量が多くなりやすいことが問題である。特に副作用が弱い人たちは。

 

これは再発後、薬物の反応性が悪くなりやすいことと関係している。

 

たまに、かなり良くなっていたとしても、薬を中止すればほぼ間違いなく悪化すると思える人がいる。その場合は、さすがに強く「服薬中止は悪い経過になる可能性が高い」と伝えるが、それでも中止する人は中止する。

 

特に退院の際に、家族が薬が多すぎるのではないか?と疑問を言うような時は、いつのまにか来なくなることもしばしばである。双極性障害の場合、リーマスとデパケンRがダブルで入っているような人は、エビリファイやジプレキサのように1錠ないし2錠といったシンプルな処方になりえない。

 

その理由はこの2つは大きな剤型がなく1日数回服薬が必要なことがあるが、処方用量は血中濃度により決められる面が大きいからである。

 

精神疾患は、家族の意向が予後に大きく影響することも稀ならずある。

 


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