ロナセンテープは既に2019年9月10日に発売されている。ロナセンは売上が非常に大きいとは言えない非定型抗精神病薬である。
これは北米やヨーロッパで発売されておらずエビデンスが少ないこともあるが、処方した臨床医にこの薬のメリットが見えにくいこともあると思われる。
現在ロナセンを服用中の人たちは、主治医が言わない限り、ロナセンテープが発売されたことを気付きにくい。そのようなことから、今後、どの程度ロナセンテープが処方されるようになるのか予想がつかない。
上の写真はロナセンテープの見本である。ボールペンと一緒に撮影しているが、かなり大きいことがわかる。
現在服薬しているロナセンの㎎の5倍の数字のロナセンテープを添付すると良いとされている。従って1日8㎎服薬している人は40㎎のテープを貼付する。どこに貼るかだが、腹部などが推奨されているが、40㎎製剤だと大きさ的に湿布薬くらいのサイズがある。貼付部位の皮膚アレルギーの出現率は20%程度でリバスタッチパッチよりかなり低い。
ロナセンを服薬している人たちは、リバスタッチを貼付している認知症の人たちに比べ、服薬の必要性が十分にわかっていないとしても、既に概ね納得して服薬していることは重要である。元々、ロナセン服用中の患者さんは、ロナセンテープに変更するインセンティブがない。
そのようなことから、既に服薬している人たちがロナセンテープに移行するだけのメリットがないと処方されないと思われる。その理由は主治医もロナセンテープに変更するインセンティブがないからである。
テープ剤が錠剤や細粒に比べメリットがあるとすれば、副作用の少なさだと思われる。これは門脈を通らず直接脳に行くことと関係がある。現在、ロナセンを服薬していて錐体外路症状が出ており苦痛がある人は、ロナセンテープに変更することも一考だと思われる。
他、ロナセンテープは普通のタイプの錠剤と5:1の関係だが、これは低用量でそうであり、高用量だともう少しテープ剤が強力らしい。つまり、
1日16㎎服薬=ロナセンテープ40㎎を1日2枚貼る。
といった単純なものではない。例えば1日16㎎服薬している人が40㎎のテープ1枚で良いことはありうる。もしそうであれば、実感できる副作用はかなり減ると思われる。
また、他の非定型抗精神病薬を処方されている人も、ロナセンテープであれば移行できる可能性がある。これはロナセンの効果・副作用のバランスが内服薬とは異なるからである。
ロナセンのメリットの1つは長期投与に際し、過感受性精神病が生じにくいことだと思われる。一般に過感受性精神病を起こしにくい抗精神病薬としてエビリファイが挙げられるがロナセンもそうである。
現在、国内発売の非定型抗精神病薬で過感受性精神病を起こしにくい薬は、おそらくエビリファイ、レキサルティ、ロナセンであろう。
エビリファイ、レキサルティはD2レセプターのパーシャルアゴニスト作用により過感受性精神病を起こしにくくするが、ロナセンはそうではなくD3親和性(アンタゴニスト作用)により起こしにくくさせている。
主治医がエビリファイ、レキサルティ以外の抗精神病薬からロナセンテープに変更するインセンティブがあるとすれば、このメリット(長期的に過感受性精神病を起こしにくい)が最大のものだと思われる。