上は、Amadeus Electric QuartetによるNovember Rainの演奏のMTV。彼女らはルーマニアのブカレスト国立音楽大学出身で2000年頃から活動している。メンバーチェンジを繰り返しオリジナルのメンバーは1名。なお、今回の以下の記事には関係がない。(音楽の記事なので何かユチューブからアップした方が良いと思ったので)。他、彼女らのアルバムは日本のアマゾンでは購入できない。
November RainのMTVの映像は謎が多く、誰により作られたものか調べてみた。あのMTVはアンディ・モラハンという映像監督により制作されたらしい。アンディ・モラハンは、祖父がプロダクション・デザイナー、父は演出家という家庭に育ち、本人も映像に興味を持った。10代でバンドを組み芸術大学に進学。とにかく音楽が好きなんだそうである。
ガンズ・アンド・ローゼズのドラマー、マット・ソーラム(1990~1997年)によれば、彼の在籍中のMTVはほとんどがアンディ・モラハンによるものと言う。アンディ・モラハンは気難しいアクセルローズともうまくやれていた。
November RainのMTV制作についてアンディ・モラハンとマット・ソーラムがインタビューに答えている。マット・ソーラムによると、当時、CDを売るためには良いMTVは欠かせなかった。当時はわりあい自由にMTVを制作できる時代だったようである。アクセル・ローズはガンズ・アンド・ローゼズをもっとスケールの大きなバンドにしようとしていた。
November Rainのビデオの主役は、当時のアクセル・ローズの恋人だったスーパーモデルのステファニー・シーモアである。あのMTVの前半、オーケストラをバックに演奏するシーンは大掛かりな撮影で2~3日かかったらしい。音も出して通しでリハーサルをした時、大音響に驚きネズミが一斉に逃げ出した。MTVは演奏する真似をしていたわけではなく、実際に音を出していたのであった。そのために全然声が聞こえず撮影クルーは困っていたと言う。
牧師が「口づけを」と言うと、舌を絡めて濃厚なキスをし始めたので、スタッフたちは「マジかよ」と顔を見合わせていたらしい。アンディ・モラハンば「美人を連れてくるのだけが取り柄」と揶揄するミュージシャンもいるほどで、スタッフにステファニーがアクセルローズの恋人だと周知されていなかったと思われる。
そして史上もっとも有名な砂漠と白いチャペルのロック・ヒーロー的なスラッシュのギターソロのシーンに繋がる。このシーンはメキシコで撮影されている。
また、昼間の披露宴のシーンは撮影のため徹夜させている。そのために彼ら(ガンズを含めた披露宴参加者)は吸血鬼のようになり、太陽が出ていると言い眩しがった。
このMTVの製作費は天文学的数字になった。(100万ドルという製作費がネットにあるが、どうみても100万ドルでは済まない)マット・ソーラムは、
アンディのおかげで素晴らしい芸術作品が生まれた。ガンズを象徴する作品だ金など関係ない。
という。結局、アンディとマットのインタビューで、直接にあのMTVの謎に触れるものは全然出てこなかった。アンディは独創的な映像を撮ることが有名なので、あのストーリーには何らかの意図があると思われる。
単純に考えると、最初の場面でアクセルローズが睡眠薬で眠りにつき、最後に夢にうなされて突如目覚めるシーンで終わっている。あの一連の物語は悪夢なのである。
だから結婚式で死ぬ話ではなく、むしろ死と再生の意味が込められているような気がする。つまり、ガンズアンドローゼスの発展、飛躍のようなものを暗示している’(しようとしている)のかもしれない。
マットが当時「アクセル・ローズはガンズ・アンド・ローゼズをもっとスケールの大きなバンドにしようとしていた」と言っていたのもそう思う理由である。