レキサルティは4日~7日くらいで何らかの良い効果を実感する人がいる。これは過去ログに記載している。ではそれ以降はどうなのか?という話。
レキサルティはうつにも幻覚妄想にも有効であるが、いずれもパワフルには効果を及ぼさない。従って特に統合失調症の急性期にはあまり向かないと思われる。(使ってはいけないと言うわけではない)
急性期病棟では診療報酬的にマルメなので(出来高ではない)、最初から2㎎で開始するケースもあると思われる。しかしながら、最初から2㎎開始でもそこまでパワフルには効かないと思う。というのは、レキサルティは鎮静的な薬ではないからである
統合失調症でも幻覚妄想が活発でも行動面に出て来ないタイプの人たちがいる。このような人たちは表情などには統合失調症っぽさが出ているが、内面に何が起こっているのかさっぱりわからない。それでも偶然、不思議な行動をとったとしたら幻覚妄想の影響かもしれない。
入院でも開放病棟でやっていけそうな人は最初からレキサルティでも悪くないが、それでも一定のリスクはある。その理由だが、レキサルティは賦活することがあるので開放病棟で事件が起こりうるからである。
精神科医のストレスの1つに、患者さんやその家族のニーズ(希望的なもの)に応えるためにリスクを負わざるを得ないことがある。
レキサルティが良い人はEPSもあまり目立たず賦活しながら睡眠も改善する。一般に統合失調症への薬で賦活的なタイプは不眠が出やすいがレキサルティも例外ではない。しかしレキサルティは賦活的ながら睡眠も改善するのである。不眠にはアカシジアも少なからず関係しているのを暗示している。(それ以外もあるが)。
初期にレキサルティが良いケースを診ているとまさに線形に改善している。1週間~1か月単位で改善する人である。表情の改善だけでなく精神症状もブレが少なくなる。おそらく急に改善するように見える人も、改善はスコアをとれば線形なのであろう。
レキサルティは初回に良くない人は時間が経って再びトライしても良いケースがあまりにも少ない。良くないと思われるケースでもうつや不安緊張を主に治療したい場合、ごく少量で使うと良いことがある。これは投与量が少なすぎて副作用や有害作用も少ないが、効果も見極め辛いのでしばらく様子をみないとわからない。少ない量だと良いケースがあるのは重要と思われる。
エビリファイと同様、レキサルティも精神面をまとめる力量が低いので、継続していてあまり快方に向かっていないと思う時は最終的には諦める。これはひょっとしたら線形に悪化しているのではないかと思うほどである。(長期に持続していて突如、爆発的に幻聴が悪化する人など)
製薬会社は、
レキサルティが効かなかった人は50%
治験的には60数%くらいが完了率。
有効未満が50%
悪化は5%くらい。
というが継続率は50%くらいと考えて良い。悪化は5%というがもっと高いと思われる。脱落する人は悪化していることが多いがどういう統計なのだろう(不眠の悪化も含め)。この50%という数字は臨床感覚に近い。
結局、タイトルだがスコアを取らなくてもレキサルティは線形に効くように見える人たちがいるといったところだと思う。
幻覚の消失とか陰性症状への効果については、最高到達点がクロザリルやジプレキサに比べ若干低い印象だが、それでも副作用などを含めた治療全体のパフォーマンスは悪くない。
ジプレキサとレキサルティが同じパフォーマンスであれば、長期的な副作用も考慮しレキサルティが良いといったところだと思う。
参考