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ローカルな禁忌

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ローカルな禁忌とは、個人的にそう呼ぶが、何らかの理由で今後処方しないと言う意味である。つまり絶対的禁忌ではない。

 

例えばラミクタールやテグレトールなどで重い中毒疹が出た際、今後再処方すると同じ中毒疹が出やすい。ラミクタールに関しては非常に有用なこともあるので、因果関係がはっきりしないケースでは稀にもう一度使うケースがある。

 

病棟内ではむしろ向精神薬以外の禁忌の方が多い。例えばPA禁忌とかレボフロキサシン禁忌などである。(たいてい中毒疹とか浮腫)

 

禁忌にはレセプトのルール上決められているものもある。例えば糖尿病の患者さんはセロクエル、ジプレキサが禁忌などである。

 

それらに対し中毒疹は使ってみないと生じるかどうかはわからない。副作用が起こって初めて禁忌になる。例えばセレネースで黄疸が出るほどの肝障害を来す人も今後禁忌である。他、ルジオミールで痙攣が生じた人も今後禁忌である。この3つのような副作用は絶対的禁忌とみなされるので他科に紹介する時もそれを注意書きする。

 

ローカルな禁忌とは、使ったために精神症状が悪化するか、副作用が出やすいように見える向精神薬を個人的にそう呼んでいる。例えばエビリファイやレキサルティでジストニアが容易に出る人。ジストニアはEPSの中でも重大な副作用なので今後処方しない方が良い。しかし用量を微量にすれば問題にないこともあるので、この点で絶対的とまで言えない。中毒疹とは大違いである。

 

リスパダール錠ないしリスパダール液で過鎮静になるとか、嚥下障害が出やすいケースもローカルな禁忌である。もう少し曖昧なケース、例えばリスパダールで目や視覚に違和感が生じる人もローカルな禁忌とする。この視覚異常や目の違和感は本質はジストニアのことが多い。

 

なぜこのようなローカルな禁忌のカルテへの記載が重要かと言うと、夜間不穏の際に、当直医にうっかり処方されかねないからである。その後、回復するまでの時間の損失が痛い。

 

もう少し曖昧なもの、例えばジプレキサやシクレストで病状が悪化したなどのケースは今後、禁忌でなくなる程度のローカルな禁忌である。これも夜間の不穏時にジプレキサ筋注されることがあるで記載が必要である。

 

特に抗精神病薬はその時の精神症状の悪化のレベルにより、あるいは使う用量により、悪化してるように見えることがある。例えば、エビリファイやジプレキサは不穏状態の際に少量追加投与すると、火に油を注ぐごとき経過になるケースがある。このような時は時期を変えるか、用量を多くすると問題ないこともある。

 

従って、過去の病歴で○○の薬で悪化したなどの話はアテにならないことも多い。これこそローカルな事例だと思う。

 

リスパダール液が不穏状態で処方されやすいのは、用量による奇異反応のごとき精神症状の悪化が出にくいこともあると思う。つまりリスパダールは効果のブレが小さい。

 

今回の記事は副作用には重大なものとそうとも言えないものがあることがわかる。向精神薬の試行錯誤にはこのような考え方も重要だと思う。


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