現在、入院患者さんのうち、ワクチン希望者は高齢者は既に終了しており、若い人たちも少なくとも1回は終わっている。あと2週間ほどで職員含め院内のほとんどの人がワクチン接種を終えることになる。院内で集団免疫の環境になるわけで、少々ウィルスが持ち込まれたとしてもクラスターはほぼ生じないと言える。単発で感染者が出たとしても重症化や死亡者が出る確率は極めて低い。
上の記事は最近のデルタ株に対するワクチンの評価である。この記事の要点は以下の通り。
そんな中、一足早く臨床結果を発表したのはイスラエル政府。ファイザー製の症状を防ぐ効果は6月の時点で64%で、前月までの94%に比べて大幅減ですが、これはデルタ株が広がった影響と報告されています。しかし、重篤な症状を防ぐ確率は依然9割を超え、ワクチンとしては機能しているとの評価です。
ワクチンを接種することは、無意味とは程遠いことがわかる。一方、現在の日本国内の接種後死亡事例は以下の記事に詳しい。
上のように記事が出た時点(2021年7月12日)で、接種後死亡事例が556件報道されている。記事にあるように死亡事例は心臓及び血管系が多く、アナフィラキシーは意外に少ない。20代など若い人の死亡例は医療関係者の可能性が高いと思う。
今回の記事は精神科入院患者さんと外来患者さんの副反応の出現状況について。
入院患者の平均年齢が高いこともあるのか、副反応はかなり少ない印象である。少なくとも熱発者は職員に比べても少ない。大学病院に紹介するような重い事例は看護職員だけであった。ワクチンの軽微な副反応は、よくわからないものが多数あるが、因果関係を証明することが意外に難しいのではないかと思った。(胃腸障害など)
興味深いと思ったことの1つは、ワクチン接種後、精神症状が悪化するようなケースはほとんど見当たらなかったこと。1日だけ急に幻覚が再燃した人がいたが、これだけで(他の患者さんの様子も含め)、ワクチンが原因で悪化したとは考えにくいと思った。
ワクチン接種後、むしろ精神症状を改善させているかどうかは微妙である。このブログ的には、統合失調症など思い精神症状の人は、身体に負担がかかるワクチン接種後、精神症状を改善することすらありうる。
個人的には、「ワクチンが精神症状を悪化させているように見えない」ことそのものが、精神症状にプラスの要素なのだろうと思う。
日本が国民にワクチン接種を推奨することは、国策と言えるものである。その証拠にワクチンを推奨しない国などない。ただし国として個人全てには強制していないものの、特に医療に従事している人たちは、職場環境的に「自分は接種しない」という選択が極めて取りにくいのではないかと思われる。
しかし今は、既に守られるべき高齢者や精神障害者の接種率が高くなっているため、仮に若い人たちの接種率が国が思ったほどは上がらなかったとしても、重症者や死亡者数はワクチン以前に比べ劇的には増えないと思われる。(現在のように感染者数そのものは増える)。
一応、ワクチン接種の成果は得られているのである。9月頃まで国民の希望者の接種が続くので、オリンピックには間に合わなかったのは残念である。
現在、東京で感染者数が増えていることは、オリンピックに選手、役員を派遣している国々に対し心証が悪いからである。