東京オリンピックは大きな混乱もなく、なんとか終了した。これからパラリンピックが開催されるが、関係者の人たちは一区切りついた安堵の気持ちではないかと思う。
開催前、新型コロナパンデミックの状況で開催されることが嫌悪され、世論では「開催しない方が良い」という意見の方が遥かに多かった(開催しない:60%)。これはオリンピックが商業主義的なものになっていたことも関係している。
オリンピック開催直前、新型コロナデルタ株が増え始めた頃で、次第に感染者数が増加することが予測された。しかし実際に感染者数は増加したものの、オリンピックが開催されたために増加した部分はかなり少ない印象である。そう思う理由は開催と関係がない地方でも開催以降、爆発的に増加したからである。
開催直前、東京での開催は無観客で行うことがアナウンスされ、あまりにも味気ない、そこまでしなくてもと言った感想もあったが、その後の感染者数の激増をみると無観客にしたのは英断だったと思う。
感染を少しでも防ぐには人の動きを抑えることが重要だからである。もし多少でも観客を入れていたとしたら、地方から観戦に行く人もいるわけで感染者数激増の戦犯になりかねなかった。少なくとも開催中に必要に迫られて無観客にするよりずっと良かった。
このように無事にオリンピックが終わると、数々の名場面があったこともあり、世論調査でも開催して良かったという意見が70~80%くらいまで増加しているのではないかと思う。
僕がイメージしていた「無事に終わらない最悪の事態」とは、例えばバスケットの準決勝の当日、一方のチームに感染者が続出し試合ができないなどである。このような事件が度々起こると、もはやオリンピックではなくなる。
そのような最悪の事態を防ぐために参加選手を選手村に隔離するような方法を取ったが、選手の不満を緩和する方策として選手村のアメニティを充実させる手法は良かった。例えば24時間体制のレストラン、医療などかなり好評だったようである。この機会に選手が歯科治療をして帰国したという話も聴いた。
これらは日本のおもてなしの1つだが、ひょっとしたら新型コロナと関係なく、そういう仕様だったのかもしれない。少なくとも、ここまで滞りなく開催できたのは日本人の規律を重んじる国民性に負うところが大きい。規律とはラグビーで良く聴く言葉で2019年のワールドカップラグビーでも国外の記者にしばしば言及されていた。
日本人に規律が身についているのは、日本にあまりにも災害が多いことと無関係ではない。新型コロナパンデミックは大変な災害ともいえるので、その環境で日本人らしい規律が示せたと言える。
逆に日本以外が開催国だったら、ここまでの滞りのない運営は難しかったであろう。奇しくも日本が困難な中でオリンピックを無事開催できたことで、日本人の国民性、国力を世界に知らしめることができた。これはきっと今後の海外の人たちの日本や日本人の印象にプラスになると思われる。
また、パンデミック下だからとりわけ感じるのかもしれないが、今回の東京オリンピック2020には、スポーツの素晴らしさの全てがあったと思う。
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