日本国内の新型コロナ新規患者数はここ数週間で激減し、今なお減少傾向にある。上はNHKの11月24日の都道府県新規感染者数である。オリンピックの開催当時には予想もできなかった激減である。
東京都もいつも20人くらいの新規感染者数であったが、11月24日は5人くらいまで減少している。また、いつも多かった沖縄県もここ数日はゼロになっている。
これらの新規感染者数減少は他の先進国に比べても際立っている。日本の感染状況はいくつか腑に落ちない点もあり、感染症の専門家も明快に説明できていない。
欧米の先進国との相違は、元々日本人の人口比の感染率や重症化率が低かったこともあると思われる。RNAウィルスは際限なく変異を繰り返すのは難しいと言う話があるが、その理由ではイギリスと日本の新規感染者数の相違を説明するのが難しい。
日本人はワクチンへの心理的抵抗がある国民などと言われていたが、現況、ほとんどの欧米諸国より接種率が上回っている。また接種の開始が遅れたことも今は感染防止にはプラスに働いている。若い世代の接種率も欧米より高いと言う話である。日本人は、今もマスクをしている人が多いことは、欧米との大きな差である。日本人はマスクを着けることを苦にする人が少ないが、国民性もかなり大きいと思う。
疑問の1つは同じアジアで日本と韓国の新規感染者数の相違。これは同じアジア人で遺伝子傾向もあまり差はないと思うので、腑に落ちない点である。これはトイレの差も関係するのかもしれない。
韓国は過去に2回旅行したことがあるが、ずっと昔で1990年頃である。その時、どうだったかもう記憶にないが、今も韓国ではトイレにトイレットペーパーが流せないらしい。トイレではトイレレットペーパーを専用のごみ箱に捨てる仕様なんだと言う。こうせねばならない理由は、韓国では下水、排水管の問題や排水量が少ないこと、トイレットペーパーの品質差によると言う。このことが感染数の差に影響しておかしくない。日本ほどウォシュレットが普及している国はないので、ウォシュレットが新型コロナ感染対策になっている可能性がある。
さて、日本では医療関係者と高齢者のワクチン接種から既に8か月以上経過することを受け、12月から3回目追加接種が始まる。僕は病院勤務の精神科医なので最前線の医師ほどは早くなかったが4月中には終わっている。既に8か月近く経過しているため、抗体量はかなり減少していると思う。
うちの病院では最初の接種を希望しない職員が2名だけいた。重篤と言える副反応は2名で大学病院で脳出血と診断され、そのうち1名は脳炎も合併していた。どうも新型コロナワクチンの脳出血とか脳炎は、イメージとは異なるようで、いずれも後遺症なく職場復帰し入院さえ必要がなく、脳出血+脳炎の人は仕事さえほとんど休んでいない。重大な副反応はこの2名と僕の3名だが、この中で最も長患いなのはなんと僕自身である。まさかこのような事態になるとは思わなかったが、仕事は休むことはなかった。
上記2名は、医師から3回目を避けるように助言されているし、本人も望まないのでおそらく3回目は接種しないと思う(実際に本人に聴いた)。僕はどうかというと、副反応も嫌だが、新型コロナ肺炎に感染するのはもっと嫌なので3回目は接種すると思う。例えば感染で死亡しなくても、後遺症で在宅酸素が必要になるなど最悪の経過になるとその方がもっと痛い。自分の場合、インフルエンザワクチン接種で症状が再現したので、何らかの免疫反応が関与していると思う。最悪の時期は体重が10%減少したが今は体重だけは回復している。
新型コロナウィルス感染症ないしワクチンで、ギランバレー症候群のような何らかの免疫が関与する後遺症がありうるが、本来、ギランバレー症候群のEtiologyに感染症がある。とりわけ特異性があるわけではないと思う。同じ感染症がこの規模で発生すれば、免疫反応に由来する多くの後遺症が発生しておかしくない。
年配の外来患者さんで未だにワクチン接種していない人がいるが、なぜしないのか聴くと、新型コロナワクチンを恐れているわけではなく、単に日常生活にワクチンの必要性を感じないからという。食材の買い物か通院しか外出しないからである。そのような人は散歩すらしない。本人によると「引きこもりにワクチンは必要ないですね」と言っている。このような人たちはここまで感染数が減少してしまうと、今後、接種する気にはならないだろう。
また、患者さんの中で1回目ワクチンの副反応の辛さのために2回目を放棄した人が数名いる。このような人たちは意味がないまではないが、感染を抑える効果は低いと思われる。2回目をしなかった人は3回目接種をするわけがない。
日本の新規感染数がすっかり収まっていることが、3日目の接種率を下げるのではないかと少し心配している。そう思う理由は、ワクチンには感染予防への最も大きなエビデンスがあるからである。
未だに新型コロナウィルスには謎が多い。