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線維筋痛症と前立腺症

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過去ログに「前立腺症」という記事がある。2006年11月にアップしたもので、もう6年近く前である。その記事は、

前立腺症が果たして精神科の疾患なのか?

から始まっている。

前立腺症は、自分にとってずっと謎の精神疾患?であった。しかし線維筋痛症という疾患概念が次第に明らかになるにつれ、このカテゴリーないしこの亜型と考えることにより、最も矛盾がなく理解できるようになった。

前立腺症は、おそらく「無菌性のはっきりしない炎症」から発症するのである。

その後、人によっては、炎症が血行性に細菌を呼び込み、細菌性の炎症に発展するケースもある。だから、治療には抗生剤は意味がないわけではない。

過去ログにどこか忘れたが、試験の前に必ず風邪を引く人が出てくる。これはストレス性によりたぶんアレルギー的な風邪症状が出て、その後、ウイルスないし細菌がやって来て、もう少しはっきりした風邪症状に至るのである。このメカニズムに似ている。

元々、線維筋痛症は全身のどことは言えない疼痛を主症状とするが、実際は頻度が非常に高いとまでは言えないが、「身体の正中」に疼痛が集まる傾向がある。その最たるものは、腰痛、脊椎関節炎である。この脊椎関節炎のうち、代表的なものは強直性脊椎炎であろう。また胸骨の疼痛や頭痛、間質性膀胱炎も正中に生じるものと言える。

間質性膀胱炎は、疾患のタイプとして前立腺症に似ている。

間質性膀胱炎は膀胱間質の原因不明の慢性炎症で、進行すると膀胱が萎縮する。難治性疾患で、この疾患の10%に線維筋痛症を合併すると言われる(アメリカでの研究)。

症状は、昼夜関係なく生じる頻尿及び尿意切迫感で、膀胱とその周囲の疼痛が伴っている。線維筋痛症に合併する間質性膀胱炎は全例、女性だったと言う。

また、このはっきりしない頻尿、尿意切迫感、尿がきれいなのに膀胱炎症状を呈する老年期のうつ病や認知症の女性患者さんはよく診る。だから、線維筋痛症と診断できないメンタルヘルス系の女性で意外に有病率が高いのではないかと思われる。

その視点では、男性の前立腺症はこの女性の間質性膀胱炎の男性版といえるのかもしれない。

前立腺症では、頻尿、腹部圧迫、下腹部違和感、残尿感、会陰部痛(時に大腿部まで放散する)などがみられ、長い時間椅子に座っていたりするとうっ血し症状が悪化する。病状が悪くなると、尿の切れが悪くなったり尿漏れがみられる。感染を合併し尿道から膿が見られるケースもある。

この疾患は食事などで刺激が強いものを摂ると悪化するなど、とてもストレスになる上、治療者も対処が難しい疾患に入る。

また、前回の記事で紹介した「臨床徴候重症度」にも、「頻尿」「排尿痛」などが挙げられている。

過去ログでは、むしろ心理的なものを重視した記載をしている。また薬物治療として、前立腺症の患者さんに3環系抗うつ剤を処方し経過が良かったと書いているが、当時の精神科での対応は、今考えてもあのようなもので良かったと思う。

参考
前立腺症


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