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アモキサン自主回収の話

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ファイザーは2022年8月、アモキサンカプセル及び細粒に発癌リスクのあるノトロソアミン化合物が検出されたことを受け、他の抗うつ剤への切り替えを要請している。この対象となる薬物は、アモキサンカプセル(10㎎、25㎎、50㎎)及び同細粒の10%である。

 

https://www.pmda.go.jp/files/000248054.pdf

 

ファイザーによれば、このニトロソアミン検出の原因はアモキサンと添加物による反応と言う。しかしながら、急激な中止は精神症状不安定や離脱症状を来すため、しばらく出荷を継続するらしい。しかし2023年2月から自主回収が開始され、それまでにアモキサンを他の抗うつ剤に変更しなくてはならない。猶予期間は約6カ月である。

 

ニトロソアミンについてはアモキサンに限らず薬物に混入していることがあるため、数年前からいくつかの処方薬が自主回収になっている。

 

 
最も懸念される問題は、フィイザーがアモキサンをいったん自主回収した後、果たして再発売するのか?であろう。
 
今回のように化合物と添加物との反応で有害物質が生じた場合、他の異なる製造ラインで生産し再発売することは、現在、アモキサンがあまり処方されていないことや薬価が安いことなどから利益的に見合わない。
 
また、アモキサンはジェネリックが発売されていないため、ジェネリックを買えば良いと言うことにはならない。そういえばルジオミールのジェネリックのマプロチリンも1社か2社しか発売していない。あまり使われない古い薬はジェネリックを発売しても収益的に見合わないのである。
 
ファイザーは今のところアモキサン自主回収後、再発売するかどうかの明確な意思表示がない。
 
SSRI発売以前の古い抗うつ剤で現在も処方され続けている薬は、副作用があってもそのデメリット上回る抗うつ剤としてのパワーが大きいものが多い。アモキサンとルジオミールは特にそうである。
 
従ってファイザーが他の抗うつ剤に切り替えてくれと要請しても、その人に適切な抗うつ剤がないケースもあり得る。
 
考えてみてほしい。今のようにSSRI以外の新しい抗うつ剤(トリンテリックスなど)が多く発売されている時代に、今なおアモキサンを処方されている人たちである。
 
初診のうつ状態の人に最初から第一感でアモキサンが処方されることはまずない。新しい抗うつ剤が不適切で最終的にアモキサンにたどり着いた人たちばかりなのである。
 
その理由は安全性という視点で、同じ効果なら新しい抗うつ剤を処方した方が良いからである。
 
製薬会社は利益追求だけでなく、公共性も配慮しなくてはならないので、ユーザーのニーズが(患者さんの要請)が大きければ、たとえ赤字になったとしても再発売になる可能性もあると思われる。
 
参考
 
 

 

 

 


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