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モーズレイ処方ガイドライン第14版(2021)による抗精神病薬の肥満リスク

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2006年から、抗精神病薬の肥満について時々触れている。近年は個々の抗精神病薬のテーマに記載していることが多い。今回はモーズレイ処方ガイドライン第14版(2021)から引用したものである。

 

モーズレイのガイドラインでは、その薬で体重が増えるかどうかや、どのくらい増えるかはかなり個人差が大きいと記載されている。確かに、オランザピン、クエチアピン、エビリファイはかなり個人差があるように見える。

 

〇体重増加のリスクが高い抗精神病薬

クロザリル(クロザピン)

ジプレキサ(オランザピン)

 

〇中等度のリスク

コントミン(クロルプロマジン)

iloperidone(本邦未発売)
sertindole(本邦未発売)

セロクエル(クエチアピン)

リスパダール(リスペリドン)

インヴェガ(パリペリドン)

 

〇低いリスク

amisulpride(本邦未発売)

シクレスト

レキサルティ

エビリファイ(アリピプラゾール)
cariprazine(本邦未発売)

セレネース(ハロペリドール)
lumateperone(本邦未発売)

ラツーダ

ドグマチール(スルピリド)
trifluoperazine(本邦未発売)
ziprasidone(本邦未発売)

 

この一覧では、本邦未発売の抗精神病薬が多く挙げられている。ざっくり3等分されており、大雑把な記載である。

 

この中の低いリスクとなっている抗精神病薬でも、レキサルティはエビリファイより体重増加するように見える。この2剤は概ね体重が増えない薬だが、それでも差があるのである。僕の患者さんには、レキサルティの方がエビリファイより体重が増えない人もいる。(個人差)。

 

ここで挙げられている本邦既発売の抗精神病薬で最も体重増加がないのはラツーダだと思う。

 

また、欧米で発売されていないため、一覧に挙げられていないが、ロナセン(ブロナンセリン)もラツーダと同じくらい体重増加を来さない。

 

ドグマチール(スルピリド)が体重増加が少ない一覧に入っているのは謎だが、日本人には処方量が少なかったとしてもそこそこ体重増加する印象。中程度ならわかるが、少ない一覧にはいっているのは違和感がある。もしかしたら、肥満者が多い欧米人とやせ型が多い日本人では体重増加の影響が異なるのかもしれないと思う。

 

近年の非定型抗精神病薬は、体重増加しないことを意識して創薬されているように見える。それは、低いリスクの一覧に本邦未発売が多く並んでいることを見てもわかると思う。

 

EPSが多いとか肥満しやすい抗精神病薬は、過渡期の抗精神病薬なのだろう。つまり洗練されていないのである。

 

参考

 

 

 

 

 

 

 


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