近年、向精神薬で思わぬ眠さが出たり、嘔気が激しい、あるいは著しい違和感などで薬物治療が続かない人が増えている。昔はSSRIやSNRIがまだ発売されてなかったが、そういう印象を持つことはなかった。
重要なのは、古典的抗うつ剤よりSSRIやSNRI、あるいはトリンテリックスの方が副作用が少ないとされていることである。
少なくとも、副作用が少ない薬が多く処方されているのに、逆の印象を持つのである。
抗精神病薬も同様で、リスパダールはおろか、エビリファイ、ジプレキサ、ロナセンくらいでも服薬が続かないほどの副作用が出る人たちがいる。
これらの治療の難しさに全く方法がないわけではなく、揺り動かす方針で乗り切れることもある。患者さんにより忍容性は決まっているわけではなく、何かの拍子に変わりうるからである。
揺り動かすと言う意味だが、過去ログに記載した「サッカーの単調な球回し」のことを言っている。
上から抜粋。
今から考えると、あの時の治療はいろいろ処方変更して際限なく試してみるという「ある種の治療リズム」が良かったんだと思う。サッカーで言う「単調なパス回し」とか「玉離れの良さ」などと呼ばれるものである。そういう視点で見ると、このブログの過去ログでも良くなった人の中には時々、そのような処方変更が見られている。
さて、なぜこのような忍容性の低い人が増えたかだが、現代人の多くに脳の過敏性の亢進、言い換えると、ある種のアレルギーのような反応が出ているからと思う。
ここで言うアレルギーだが、真にアレルギーが出やすい人もいるが、アレルギーとは異なる現象である。
逆に、脳の過敏性の亢進だからこそ、何らかの手法で変わりうるのであろう。
なぜこのような事態になったかだが、環境汚染や食物の内容が昔とは変わったことが結構大きいのでは?と思っている(私見)。この2つは重複している部分もある。
また、背景にASDやADHDを持つ(グレーゾーンも含め)人たちが増えていることも関係ありそうである。ここで言うグレーゾーンには、軽度の知的発達障害も含まれる。
そう思う理由は、発展途上国の外国人を治療する際に、日本人よりずっと向精神薬に強いと感じるからである。