最近、オランザピンが幼児殺害に使用されたと言う報道があった。僕は、そのニュースを聴いた時、なぜオランザピンなのかと思った。と言うのは、オランザピンは自殺目的に使用されない薬だからである。
このオランザピンだが、母親が睡眠薬として服用していたと言われているが、記事には「購入した」とあり、病院ではなく海外から購入したのかもしれない。
不凍液として使用されるエチレングリコールは明らかに有害物質で、過去にも殺害目的で利用されたことがある工業用薬品である。一方、オランザピンは精神科治療薬なので、この組み合わせに違和感があったのである。
母親は詳しいことを知らずにオランザピンを睡眠薬と思っていて、単に幼児にとって体の負担が大きいと思ったのかもしれない。もし、真に殺害目的だったとしたらである。
今回の事件のポイントは、ニュースを知った人が、オランザピンがエチレングリコールと同様な有害性を持つ薬品と見誤りかねないことだと思う。
実際、僕の患者さんで長くオランザピンを服薬している人から、自分の内服薬について不安に思っていると聴いた。
僕は最初、患者さんが何を言っているのかピンと来なかったが、間違いなく今回の事件のテレビ報道の影響である。
今回の事件の影響で、オランザピンを服用しつづけるべき患者さんが安易に中止しないように祈るだけである。