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Channel: kyupinの日記 気が向けば更新
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舌がぴりぴりする

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今回は、「口腔内セネストパチー」、「線維筋痛症、慢性疲労症候群、疼痛性障害」のどちらにするか迷ったが、内容と経過を考慮し前者のテーマに入れた。この人はどちらの要素もあると思う。

彼女は少し遠方に住んでいたが、知り合いの勧めでうちに初診している。誰が勧めたのか聴くと、予想外だったのでちょっとびっくり。

彼女は、1年位前から舌がぴりぴりするようになった。夜、眠れないので内科でマイスリーなどを貰っていた。

その後、身内に不幸が重なり、「急に頭が火照る感じ」、「目がかすむ」、「肩こりが酷い」、「音が頭に響く」などの症状が一度に出た。あちこち病院を回ったが、脳神経外科ではMRIで異常がないと言われ、耳鼻咽喉科でも異常がないと言われたという。

とにかく不眠と「頭に音が響く」のが辛いらしい。そのため、テレビもうるさくて観ていられないという。舌にはいつもピリピリした感じが残り、大変な違和感。仕事は苦痛が酷いが、サービス業なのでなんとかできている。

彼女の症状だが、更年期障害で同じような症状が出る人がいる。しかし彼女はその年代ではない。マイスリーはまだ持っていると言うため、初診では、

リフレックス 7.5mg
ドグマチール 100mg
リボトリール 0.5mg


を一度に処方した。初回の受診で、これだけ処方するは珍しい。

2週間後
「音がキンキンしているのが止まった。また、頭がボーっとしていたのが取れたので良かった」。肩こりが軽くなり喜んでいる。「舌のピリピリは軽くなったが、少し違和感があります」という。今回、ワッサーVを追加する。ワッサーVは口内炎に有効なので、多少は異和感が緩和するかもしれない。

更に2週間後
だいぶん良くなったという。テレビが観られなかったが、今はゆっくり観られるという。舌のピリピリ感にはワッサーは効果がなく、活性型ビタミンB6に変更。活性型ビタミンB6は舌炎に有効な上、うつも多少良い場合がある。(参考

その1ヵ月後
マイスリーで眠れるようになった。大分良いという。音は今は響くことがない。舌のピリピリ感は残っているが、ワッサーVより活性型ビタミンB6の方がよいと言う。体重がだいぶん減っていたが、また増えてきたので喜んでいる。まだ従来の体重まで達しない。

更に1ヵ月後(初診3ヶ月目)
このままだと体重が増え続ける懸念もあり、ドグマチールを減量。活性型ビタミンB6は中止してみる。(はっきりしない薬は減量したいところ。いちいち面倒を見ているときりがない。)

リフレックス 7.5mg
ドグマチール 50mg
リボトリール 0.5mg
マイスリー5mg


4ヶ月目
更に体重が3kg増えたと言う。頭はスッキリしているというため、ドグマチールは中止。

リフレックス 7.5mg
リボトリール 0.5mg
マイスリー5mg


5ヶ月目
頭のキンキンもないし音も響かず、とても楽に生活できるという。舌の異和感が多少残っているが気にならない程度。他の痛みはない。最近はよく散歩をするようになった。

いつもこんな風にあっさり良くなると良いんだけど。

このような症状の婦人は結構よく診ている。たいてい簡単に良くなるが、たまに難渋することもある。

「音が響くという症状」は、抗精神病薬、抗うつ剤のいずれでも改善する可能性がある。また、抗てんかん薬やカタプレスのようなαブロッカーも有効なことがある。臨床では、本人が満足できる程度に症状が良くなれば良いと思う。

参考
治療スケジュールを記載した紹介状
この記事の患者さんは今回の女性と同じような症状であったが、幻覚も伴い難治性だった。転院後、mECTで劇的に治癒している。



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