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Channel: kyupinの日記 気が向けば更新
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何度言っても懲りない人々

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双極性障害で根本的に病識が欠如しており、幾度となく服薬の必要性を言って聴かせていても、やがて薬を止めてしまう人たちがいる。

このような人は真の双極性障害だけに、100%と言って良いほど悪い結果になる。

これは本人の病識の欠如に加え、家族関係も複雑に絡んでおり、

夫が妙に優しく、本人の希望を尊重する。

ことも関係しているように見える(参考)。ある患者さんは、リーマスでコントロール良好で、

リーマス 800mg
エビリファイ 6mg
リフレックス 15mg
レンドルミン 0.25mg


というシンプルな処方で、これさえ続けて服用しさえすれば、再燃はほとんど生じないことがわかっていた。これがシンプルかは微妙だが、

リーマス(古典的気分安定化薬)
エビリファイ(抗精神病薬)
リフレックス(抗うつ剤)
レンドルミン(ベンゾジアゼピン系眠剤)


で一切、カテゴリー的にかぶりがない。そこがシンプルとした理由である。

この患者さんは悪くなると深刻な罪業妄想が出現することが特徴で、入院する際は、重篤なうつ状態か非定型病像様の躁うつ混合状態であった。また、時に幻覚を伴うタイプで、非定型精神病と診断する精神科医もいると思う。

だからこそだが、「悪化すること」は家族が考えているより遥かに危険である。その理由は、このタイプは、自殺既遂が珍しくはないからである。

始末が悪いことに、この人は薬を止めても全く離脱など生じないらしく、たいてい体調が良い時に服薬が面倒になって止めている。しかも実感では何も変化が起こらず、しかも数ヶ月は調子が良いので、家族も積極的に受診させないように見える。

薬を止めた時、何も悪いように見えなかったとしても、治っているわけではない。

と、何度も口を酸っぱくして指導したが、毎回、

ひょっとしたら、今回は治っているのでは・・

と本人も家族も思うようである。同じ内因性疾患でも統合失調症であれば、双極性障害よりも悪化が早く訪れる上、悪化の内容次第では家庭は地獄状態になるので、まだ家族全員の服薬モチベーションは維持しやすい。

たまに家族全員が何らかの内因性疾患を持っていることがあり、叔父や叔母にあたる人が面倒を診ていることがある。そのような家族の1人が入院する際に、他の家族は不適切なので、その叔父や叔母に当たる人に保護者になってもらう。

重要なことは、厳密に言えば、真の双極性障害は書籍に書かれているように必ずしも欠陥症状を残さず良くはならないことであろう。

躁転が再発する度に、微妙に脳の機能は劣化しているのである。ただし1回の悪化では、その差異がほとんど見えないだけである。


参考
躁状態と連動する幻聴
非定型精神病の人の彼氏


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