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漢方薬は生薬の数が少ないほど西洋薬のように効く話

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漢方薬は、さまざまな生薬の合剤であり、いわゆる多剤少量の妙といった風に効果を発現する。一般に、含まれる生薬が少ないほど、あたかも西洋薬のように即効性があり、また鋭く効く傾向がある。

一方、かなり多くの生薬を含む漢方薬は効果がマイルドになり、欠点も目立たない傾向になる。つまり、多くの生薬を含むタイプの漢方の方が服用しやすく、また漢方薬らしいと言えると思う。

最も数が少ない漢方薬は、たぶん甘草湯であろう。これは甘草のみ含み、適応は激しい咳と咽頭痛である。この甘草のみ含有する漢方は、もちろん低カリウム血症の副作用が生じやすい。禁忌は以下である。

1、アルドステロン症の患者。
2、ミオパシーのある患者。
3、低カリウム血症の患者。


風邪で最も汎用される葛根湯は、甘草を含む計7つの生薬からなる。

芍薬甘草湯も、2つの生薬からなる。読んで字のごとしで芍薬と甘草である。この漢方の禁忌は上記の1~3と同じである。芍薬甘草湯の適応は、

急激に起こる筋肉のけいれんを伴う疼痛。


こむら返りに非常に有効で、西洋薬のように鋭く効くが、低カリウム血症もかなり注意しないといけない。

認知症のさまざまな異常行動や妄想に対し、抑肝散が用いられることがあるが、この薬はどちらかというと実証系の人たちに適しており、体の弱い患者さんには抑肝散より「抑肝散陳皮半夏」の方が推奨される。

元々、抑肝散には、7つの生薬を含んでおり、抑肝散に陳皮と半夏を追加したものが、抑肝散陳皮半夏である。陳皮、半夏を追加することで効果も温和になり、もう少し体が弱い虚証の人たちにも服薬しやすくなるらしい。

実は、抑肝散陳皮半夏は日本での臨床経験から考案された漢方で、陳皮と半夏を追加することで、悪心、嘔吐、胃内停水など消化器症状を改善し、抑うつ気分にも効果を持つと言う。また、2剤が加わることで、低カリウム血症も抑肝散より生じにくくなるという。

西洋薬は、それぞれの薬物に有意差を持って効果を及ぼす薬が多いためか、多剤にしても副作用がかえって増える結果になりやすい。また効果の及ぼし方が複雑になる面がある。(また過去ログでは、互いに副作用を相殺する併用について言及している)

例えば、ジプレキサとデパケンRの併用は肥満を引き起こす最悪の組み合わせと言われている。

しかし、過去ログの減量の際の手法に出てくるが、いったんより多剤にして効果を混沌とさせることで重篤な離脱症状を緩和し減量しやすくすると言う記載がある。

あのような際の多剤併用は、単に抗精神病薬のみの併用ではなく抗精神病薬以外の薬も混在させることがポイントなんだと思う。

その点で、漢方の生薬の多剤少量併用の妙と相通じるところがあると思っている。(参考

参考
附子
漢方を3剤処方されている人
震災とツムラの漢方薬
柴胡加竜骨牡蛎湯
尋常性乾癬と麦門冬湯
サフラン


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