入院患者さんが、特定の人に対し、
自分に対し咳払いをする。
と訴えることがある。実際にその相手に文句を言ったり、威嚇し、けんか腰になるためトラブルになる。また、トラブルになる相手は数名で限られている。
元々、長く入院しているような古い統合失調症の患者さんの場合、何らかの意味を持つ、
咳払い。
なんて難しいことはできない。本来、「咳払い」は、奥行きもあり含みを持たせた複雑な対応だと思う。
しかし、「自分に対する咳払い」ととらえた人にとっては、嫌がらせ的な対応に見えるのだろう。
それでも当事者にとっては深刻らしく、「そうしたのは間違いない」なんて言っている。その患者さんの場合、実際に暴力を振るうため、大変なトラブルになりかねず、病棟を一時的に変更していた。
ところが、そのように何気ない人の対応を被害妄想的にとらえる人は、他の病棟に行っても同じなのである。まったく別な人に同じような妄想を抱く。こうなれば、一時的に隔離するしかない。
このような人たちは、現実的にはグループホームですら適応が難しい。
そして、セレネース液くらいを数cc飲ませておけば、しばらくするとその部分だけは改善する。しかし、トータルの精神症状(陰性症状も含め)は芳しくないので、到底、退院は難しい。
このような特殊トンネルのごとき妄想の惹起は、あまりにもパターン化しており、いつも同じ道を通っているように見える。
同じような妄想を抱く人でも、洞察はできないが、暴力や暴言がない人もいる。そのような人は暴言がない代わりに、トイレなどに閉じこもり出てこなくなったりする。
少なくとも、周囲からの対処としては後者の方が手がかからなくてよい。ほかの人に実害を与えないからである。
しかし、平凡な社会生活が難しいのは大差がない。後者の人も、グループホームにすら適応が難しいことには変わりがないからである。
僕は、このタイプの極端な引きこもり(閉じこもりというべきか)のため、数度、餓死しそうになった人、あるいは脱水になり命の危険が生じた人を数名経験している。
参考
周りで笑い声がすると・・
器質性妄想とトピナ
ほんの30秒だけ続く被毒妄想
内因性幻聴と器質性幻聴
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人が自分に対し咳払いをする
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