一般に、双極性あるいは単極性の難治性うつ状態に対しラミクタールが使われることが多く、最初から、単剤でラミクタールを試みることは稀である。つまり、最初から他剤併用でラミクタールを処方することがほとんどである。
ある時、どこの病院でも良くならないと言う女性患者が初診した。3環系は体への負担が強すぎて服用できず、またSSRIも不安感が強くなったり、かえってパニックになるなど服用できないと言う。
このような人ではラミクタールを最初に処方することも一考である。少なくともトピナよりは処方しやすい。(このような人は初診だが、初診でないようなものだ。)
この女性患者はラミクタールが奏功し、また副作用も全くと言って良いほどなかった。12.5mg隔日でも相当に良かったが、その後、服用しやすいように連日12.5mg服用させることにした。(1日おきに服用の指示は混乱しやすいこともある)。
しかし・・
わざわざ入院までさせて、ラミクタール12.5mgだけ処方し、「これで大丈夫です」と退院させられるだろうか?(←反語)
精神科医の視点では、いくら全快した様に見えても、ラミクタール12.5mgだけというのは安心できない。せっかく入院までしたのなら、何らかの抗うつ剤の併用を考慮したいものだ。(退院後、生活上のストレスで少し悪化することも考慮している)
種々の3環系抗うつ剤を試みたところ、彼女の場合、アンプリットなどの比較的服用しやすい薬でさえ継続が難しいことがわかった。
なぜ、本人が普通の抗うつ剤は服用できないと言っているのに試みるかだが、他人が処方するのと自分が処方するのでは、副作用の出方が異なることもあるから。それに全ての抗うつ剤を試みたなんて、普通はありえない。そのような試みをするために入院までさせているのに・・
彼女は、アモキサンなどの少量は服用可能なことがわかった。ラミクタールは他の気分安定化薬や抗うつ剤、ベンゾジアゼピンと併用されることが多いと思われるが、抗うつ剤では馬力の出るタイプが併用の相性が良いように思う。例えば、
①ラミクタール+アモキサン
②ラミクタール+ノリトレン
③ラミクタール+ブプロピオン
などである。ただ、これらの組み合わせはラミクタールが少量のケースである。
ラミクタールはストレスに対する感受性を下げるなどのSSRI的な効果を持つので、平凡な馬力系の3環系の方がフィットしやすいのであろう。ラミクタールとSSRIの併用はダメとまでは言えないが、相乗効果として悪い方向に行くこともある。
治療の序盤では抗うつ剤との併用が望ましいが、時間が経って安定してくれば、ラミクタール単剤でも良い人もいるように思った。なぜなら、時間が経ちリボトリールとかメイラックスだけで良い人がいるくらいだから。
参考
古いタイプの抗うつ剤とSSRI