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患者さんの兄ちゃんの運転

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ごく稀だが、患者さんの家族の運転で、自宅まで行くことがある。今までそのような機会は、患者さんを入院させる際に、家族に車を出してもらい病院から自宅まで連れて行って貰う時が多かったと思う。(頻度は7年に1度くらい)

つまり往診は僕だけである。

もう10年くらい前だろうか、患者さんを2名自宅まで訪問し病院まで連れてくることになった。たぶん暴れはしないため、自分だけで十分と思ったので、その患者さんの兄ちゃんの車で行くことにした。その2名を説得して連れてくるのが主な仕事で、薬(注射など)すら持っていかず、ほぼ手ぶらである。

その兄ちゃんは非常に優秀な人で、社会的には成功を収めており、いわゆるお金持ちであった。

その兄ちゃんは精神科的には正常な人であるが、運転が凄かったのである。僕はあんな狭い道をあれほどのスピードで飛ばす人を見た事がない。

誰かが路地から出てきて接触したら死亡しかねないスピードで、ある意味ジェットコースター並みのスリルがあるが、はっきり言って助手席のこちらが冷や汗をかくほどである。全く寿命が縮む。

そして最後の場面。

兄ちゃんはある交差点で、高速ターンを決めた。

彼は映画のスタントマンもできると思う。

(おわり)


ベゲタミンを処方する医師

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ベゲタミンはフェノバールを含んだ合剤であり、どこの病院でも扱っているわけではない。僕が卒業した年、うちの大学病院では既に処方されておらず、アルバイト先などで初めて処方する機会を得た。

ベゲタミンを処方されている人が大学病院に転院した時は、仕方なく個々の薬を散剤で処方したが、全く間抜けな処方になる。何をしたいのかわからない・・みたいな。

当初、ベゲタミンの内容を見ても、これがいったいどの程度の力価なのかよくわからなかった。ベンゾジアゼピンとは別のカテゴリーの薬だったからである。過去ログにもあるが、ベゲタミンはAもBも、非常に有用で優れた薬である。あれを最初に作った人は天才である。

ベゲタミンは単に眠剤だけでなく、鎮静剤としての効果も大きく日中も使える。朝夕に1錠ずつ服用することも可能なのである。

ベゲタミンAの内容
コントミン   25㎎
ヒベルナ    12.5㎎
フェノバール  40㎎


ベゲタミンBの内容
コントミン   12.5㎎
ヒベルナ    12.5㎎
フェノバール  30㎎


これを見ると、2つの傑出している薬、コントミン、フェノバールが含まれていることが重要である。ヒベルナは抗ヒスタミン剤で、眠気を催すが同時にパーキンソン症状の副作用止めでもある。抗精神病薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン薬のトリオが入っており、完結している。

普通、ベゲタミンは統合失調症か躁うつ病、あるいは、重い不眠を持つ神経症圏の人にも使える上、服用可能なら、広汎性発達障害の人だって使える。つまり、副作用が出ないなら、あるいは乱用されないなら、全ての人に処方可能である。

どうにもこうにも眠れない人は、ベゲタミンを併用し、他のベンゾジアゼピンを整理した方がかえって昼間の精神症状が安定するということもある。

うちの病院はタイトルの通り、「ベゲタミンを処方する医師」がいるため、そのような人が集まってくる。「○○病院に行ったが、べゲタミンは置いていない」と言われたという患者さんがいたので、僕は、

そういう病院は真面目な病院だよ。

と答えた。これは本心である。(実際、ベゲタミンなどを排除するキャンペーンもある)すると、その質問をした子は「じゃあ、先生の病院はどんな病院ですか?」と聴いた。

(鋭い・・)←副音声

真面目の反対は不真面目なんだろうが、院長自らそういうのも変だし、不真面目というのは実際を反映していない。

うちの病院は、常識や型にとらわれない病院です。つまりベストと思われる治療をするように心がけている。

といった内容のことを話した。これはこれでわりあい正しく表現できた思う。

今回の話は、

薬があるから、ODが生じるのではない。本質は他にある。

と同じようなことを言っている。

味が良い

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将棋のNHK杯を観ていると解説で「味が良い」という言葉を聴くことがある。

この「味」というのは、その一手を指した局面の印象を言っていると思うが、たぶん主観的なものである。その理由だが、

桂損になりますけど、この歩の取り込みが味が良い。指している方は悪くないと思っていると思いますよ。

などと解説者が話しているからである。また棋士の場合、その一手の損得だけでなく、プライドみたいなものもあると思う。例えば「こういう手はプロの棋士は指しにくい」とか言われているから。

精神科でも同じようなことがあると思う。例えば処方してもかまわないが、「味が悪い」と言った感じである。

上の「桂損になりますけど、この歩の取り込みが味が良い」とは精神科の治療に例えると、どんなことであろうか?

最近だが、ジプレキサ5㎎を処方している患者さんに幻聴が再燃したことがあった。ここで、ジプレキサを増量せず、セレネースを0.75㎎だけ追加した。

ジプレキサザイディス 5㎎
セレネース    0.75㎎


これでさっと幻聴が収束した。このジプレキサをセレネースは、非定型と定型抗精神病薬の併用なので、損な処方といえる。普通なら避けたいところだ。その理由は、定型のため、非定型の良い点を損なう面があるから。

しかしジプレキサはそれ自体に抗コリン作用を持つため、少々の定型抗精神病薬を併用してもその副作用をカバーできる。力価的にセレネースは抗幻覚という点で優れるので、この程度の併用で良くなるなら、「味が良い」処方である。日本風に剛と柔が調和しているのが良い。

しかし、このようなことは精神科医により印象が異なる。だからこそ、最初に書いたように主観と言える。

だいたい、ジプレキサとセレネースの併用は「味が悪い」と思う精神科医もいるはずである。



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「組織内違法コピー」は外部からの判断が難しく、問題解決には内部告発が不可欠です。

2~3日ごとに再診する人

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こちらが指示していないのに、2~3日ごとに再診する人。(稀ではあるが)。

ある女性患者は、診察室で急に泣き出すなど不安定なので、自主的に頻繁に再診しているように見えた。処方は7日ごとである。普通、精神科医が7日分処方している場合「7日後に来なさい」と言う意味である。

何も指示していないのに2~3日ごとに再診している人に、「なぜ2~3日ごとに再診しているですか?」なんて聴けない。また「貴方は1週間ごとに来院すれば良いです」とも相当に言いにくい。

レセプト的なものを言えば、普通は1週間に1度しか通院精神療法はとれない(退院直後は別)。だから処方なしで診察だけ受けた場合、受付で支払う診察代はかなり安い。

しかし2~3日ごとに再診していると、次第に精神面も安定してきて2週間ごとに再診すれば十分に思えるようになる。精神科の診察はそういうものだ。これは過去ログにもそのような記事がある。

情緒が安定してきても、最低3~4日ごとに再診する。これはその患者さんが、他の患者さんの受診状況がわかっていないのもあるように思う。

ちょっと思ったのだが、このような人って、話すネタがなくなることはほとんどないような・・むしろネタに困るため、家族のこととか子供の頃のことを聴いたりするので、偶然マイルストーンを発見したりする。

色々とこちらも気付くことが多い。このような人は頻繁に来るだけに、こちらも細かい変化がよくわかるので、週の途中でも本来はしないような薬の追加をすることもある(まだ処方が残っているのに・・)。

何もない時は5~10分くらい話してそれで終わり。医師から見てもたった5~6分しか話さないのに、また来るというのがいまいちわからない。その人の家から病院が近いわけではなく、普通なら面倒になると思う。愛着の問題なんでしょうなぁ・・くらいに考えていた。

このような人は突然、処方日数通りに来院するようになる。これは良くなった証と言える。しかし「あの人、来なくなったなぁ・・」と思っていると、季節の変わり目などに少し調子を崩したような際、また数日ごとに再診するようになった。この繰り返しである。

あれはセルフ・コーピングみたいなものなんだろう・・と思った。

何年も経つと、2週間とか1ヶ月ごとに再診するようになり、通院間隔が一定になるのである。

実は、これは彼女だけでなく、パターンは違うが同じような人たちが随分いることに気付く。精神科での単に「話すこと」には謎が多い。全くしょうもないことを話していたとしてもだ。

参考
病院には来れば来るほどそれに比例して良くなる

精神科医と携帯電話

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精神科医に限らないと思うが、医師にとって携帯電話は憂鬱な存在。

かつては携帯電話ではなく、ポケットベルの時代があった。バブルの頃だ。(過去ログ参照)

そのうち、携帯電話が一般化し、いつも肌身離さず持つものになった。特に僕は院長なので、連絡が取れな勝った時、非常に困ることもある。

お休みの日は、いつも自分の近くに携帯を置いている。寝る時はベッドの横の小さなテーブルの上。困るのはトイレとお風呂の時。気がついた時はトイレに持って入るが、もちろん持っていかないこともある。

入浴中に携帯が鳴ると、嫁さんが風呂まで携帯を持ってくる。水に濡れると故障するかもしれないので、乾いたタオルを巻きつつ話す。

たまたま自分だけ家にいて、トイレで携帯電話が鳴った場合、持って行かなかった時は携帯の電話番号表示を見てすぐにかけることも可能だ。しかし、いざかけてみると、病院の誰がかけたのか全然わからないことがある。おそらく今ならこの病棟だろうと思われる所に回して貰うが、なかなか誰なのか判明しないこともある。

自宅の固定電話の場合、表示が出ないため(その設定にしている)、誰がかけたのかさっぱりわからないが、これはこれで良いんだけど、少し気になる。(病院職員にはまず携帯にかけ、それで出ない場合は自宅にかけるように伝えているため)。

パソコンや携帯電話など便利な時代になったが、それに縛られて不自由な人生になったものだ。

そういえば、ブレードランナーというSF映画があるが、あれは未来映画の中では傑出した作品だと思う。

ブレードランナーは、文明が進歩しても人類が必ずしも幸せになっていないことを描いている。今の時代、全世界の人たちの生活が良くなっているようには見えない。

あの映画は1982年の作品だが、今の時代を暗示していたのかもしれない。

参考
医師と携帯電話
ポケットベル
診察中に携帯が鳴る
携帯料金と双極性障害
躁状態と携帯電話代
携帯電話
妄想と携帯履歴



PR: モルディブ25,000円OFF

グラマーの先生

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高校の頃、グラマー(grammar)の先生の口癖が、

その場で覚えろ!

ところが、その場ですぐに覚えるなんて無理。英語はその方法が最も良いんだろうけど。

最近、痛感するのは記憶力の低下。ちょっと時間が経ってすぐに忘れてしまうのには自分でも呆れる。発想と言うか、アイデアみたいなものはあまり落ちていないと思うので、脳の中でも弱る部分が違うんでしょうなぁ・・たぶん。

認知症の場合、忘れることに苦悩するのはまだマシと言える。重くなると、忘れること自体に気付かないか、悩まなくなる。

参考
水戸黄門
柴胡加竜骨牡蛎湯



適応外処方が認められた向精神薬

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向精神薬に限らず、効能・効果として明記されていないのに、適応外処方が一般的に行われている薬物群がある。(例えば、むずむず足症候群に対してのリボトリールなど)

2011年9月、厚生労働省から、ごく一部の薬物だが、適応外処方を認めるといった内容の事務連絡があった。いちいち複写するのが面倒なので、以下を参照してほしい。これは精神科に関係の深いものを選んでおり、パーキンソン症候群など神経内科範疇に入るものは省いている。

以下の中で特に重要と思われるのは、セレネース、リスパダール、ルーラン、セロクエルの4剤は「器質性疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性」に対して処方した場合、レセプト審査で認められるようになったことであろう。

4剤の中でも個々の薬で微妙に内容が異なっているのに注意してほしい。リスパダールはパーキンソン病に対する幻覚に対しても認めており、他の3剤と少し違っている。

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

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参考
ドラッグラグと高薬価
第9次審査情報提供事例

このブログにはまだ投稿がありません

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このブログには「このブログにはまだ投稿がありません」としか書かれていない読者の人たちが結構いる。実際、何%の人なのか数えたことはないが。

この読者の人たちはたぶんアメブロメールを送るためのみにブログを開いたものと思うが、よくブログを飲み込めていないため、往々にして「メールを受け付けない設定」にしている。

だから、いざ(時に長文を読み)返信を書こうとした時、送信できないことに気付く。(読んだあとに気付くことに注意)

その挙句、返信が来ないことに対し苦情のメールが来る。

もし「このブログにはまだ投稿がありません」でないなら、相手のブログのコメントで知らせることも可能だが、記事がないのでそれもできない。(コメント欄がないため)。

だいたい、コメント欄でわざわざ知らせることも、できればしたくはないことである。(手間が無駄)。

返信する人の気持ちも考えてメールしましょう。なお、現在、ざっと70通くらいのメールが溜まっています。時間がかかるのはそのためなので、催促や遅いことへの苦情、中傷はできれば控えてください。(それを読む方もガックリなので)。

参考
アメブロメールの注意点
アメブロメールのお願い

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毎日、髪を洗わない

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「毎日、髪を洗わない」という笑えない話を聞くことがある。

彼女が毎日、髪を洗えないのは、おそらく薬物による抜け毛が多すぎるからである。(入浴時、排水口に溜まった頭髪を見て絶句するらしい)

過去ログにもあるが、これは何らかの薬物が影響していると思われるので、最も疑わしい薬から中止する。ただし、脱毛は薬物中止後すぐには改善しないため、時間が経つのを待つように言う。

女性の場合、(たぶん男性もだが)向精神薬のために坊主の状態になったのを見たことがないため、そのような話もする。本人が2日に1度とか3日に1度しか洗髪しないというのなら、それに干渉はしない。

やはり抗がん剤の頭髪の抜け方は、向精神薬の脱毛に比べると桁外れである。

他の注意点として、茶髪の人はいったん毛染めは避けるように伝える。カラーリングは頭髪や毛根をいためるので、多少は関係するように思うからである。

ある時、デパケンRを中止し、これでおそらく大丈夫だと思った。

しかし・・

実は、別の薬が影響していたのである。脱毛の副作用は珍しいものではあるが、珍しい中ではまだある方の副作用と思う。

参考
デパケンRで髪の毛が抜ける副作用
デパケンRによる脱毛の薬物中止後の推移
ジェイゾロフトの稀な副作用に脱毛がある

今は学生の頃の気分です

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どこの病院でも「貴方は治らない、貴方は治らない」といつも言われていたので、かえって良くならなかったと思います。

今は学生の頃の気分です。

それはどこの病院なのか問うと、「東京の○○病院です」と答える。「それは随分前ではないですか?」と更に聴いた。

10年以上前の話らしい。

「今はこんなに良くなりましたよ」と見せに行きたい気持ちです。

今の処方は複雑な多剤併用だが、主な薬は、

ルジオミール  50mg
リボトリール   0.5mg
活性型ビタミンB6 30mg
チラージンS    50μg
ラミクタール  12.5mg(隔日)


である。この女性患者さんは寛解して既に4年以上経つが、最近ラミクタールを隔日で追加し、プロピタン(25mgだけ)を中止している。あまり変わらないが、この方がちょっとだけ良い感じ。

参考
単極性、双極性の激うつ対策本部
希死念慮の謎


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写真の鳥の名前がわかる人いますか?

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kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

写真の鳥の名前がわかる人いますか?

オーストラリアの鳥です。顔の部分だけはジュラシック・パークの世界。

ドレッド・ヘアと江戸時代の髪型

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もう20年以上前の話だが、サッカーのユーロ1988(欧州選手権)の映像で初めてルート・フリットのプレーを観た。彼は当時、既にスーパースターであり、ユーロ1988のオランダの優勝にも貢献している。(得点王はファンバステン)。

1988年の欧州選手権は西ドイツで開催され、開催国の西ドイツを含め、たった8チームしか参加できなかった。(予選リーグで1位の7チームしか本戦に進めない)

本大会では、4チームずつ2つの総当りリーグ戦を行い、上位2チームが準決勝に勝ちあがるシステムであった。(西ドイツ、ソ連、オランダ、イタリアが準決勝に進出)

決勝戦はオランダvsソ連。

この2チームはグループリーグでも戦い、初回はソ連が1-0で勝っている。オランダは準決勝で西ドイツを破り、決勝に勝ちあがった。

そして決勝はソ連と2度目の対戦になったが、今回はオランダが2-0で勝利し初優勝したのである。オランダはあれほどの強豪でありながら勝負弱く、W杯とユーロの優勝はこの時だけである。

フリットはその後、日本のCMにも出ていたが、多くの日本人にはいかなる人物か知られないままだったような気がする。まだ、日本ではプロサッカー(Jリーグ)が始まる前だったからである。

フリットを見てまず気付くのは、その特徴ある髪型。

あの編んであるような髪型は、ドレッドロックスとか単にドレッドなどと呼ばれているようであるが、果たしてあんな風にしていて、きちんと洗髪できるのだろうか?と疑問を持った。

今回のエントリはもちろん「毎日、髪を洗わない」に関係している。ちょっとだけね。

あの髪型は、遠目からだとはっきりしないが、細めの三つ編みを更に複雑に編んでいるようで、到底、櫛が入るようには見えない。

だから、風呂に入った時に、ざっとシャンプーを流し揉み解すように洗うのだろうか?などと想像した。あの髪は一度ほどいたら最後、再び編みなおすには相当に時間がかかりそうだから。

未だに良く知らないのだが、あの髪型の場合、髪が伸びてきたらどのように対処するのでしょうか?

その後、フリットだけではなく、カメルーンのサッカー選手などにも同じような髪型を目撃するようになった。ある種のファッションとは言え、かなりの犠牲を払う(ように見える)髪型だと思っていた。

フリットの髪型やその洗髪方法を考えていると、どうしても江戸時代の髪型の謎に行き着く。

当時の日本の「ちょんまげ」は世界的に見ても、相当に奇妙な、まさにオカルトの髪型ではなかったのだろうか? ドレッドヘアに負けないくらいに・・

「ちょんまげ」は、時代劇だとカツラを被ればそれで終わるが、当時の人はマジ手入れが大変だったと思う。

また、形も一部わざわざ剃りこみを入れているので、黒と白(肌色と言うべきか)の美しいシンメトリーが表現されている。また、ちょっとありえない立体的髪型とも言えた。

このエントリは別にトレッドヘアやちょんまげをバカにしているのではなく、ひょっとしたら、あのちょんまげは、当時の極めて平和な日本を象徴していたのではないか?という懐古的なものである。

本当かどうか知らないが、当時、日本を訪れた外国人(たぶんオランダ人)は「日本人は銃を装備している」と驚いたという話は、全く納得できるものである。

ヒトという生物は、平和というか時間の流れが緩やかになる場面、純粋にエンターテインメントの世界では、あまり合理性を追求しないのかもしれない。

ちょっと考えると、不便なのはわかりきっているからである。

参考
ダーウィン第4惑星
精神科医と携帯電話

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もう睡眠薬はいらない

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薬物治療の途中で、

もう睡眠薬はいらないです。

と中止を希望する人が意外にいる。例えば、最近の例では、

ロヒプノール 2mg
レンドルミン 0.25mg


の眠剤が入っていたのに、簡単に中止になった。これは僕が積極的に中止したわけではなく、本人が勝手に止めてしまったもの。

離脱のようなものがあったのか聴くと、

全然・・

という。あっさり中止できたようなのである。よく見ると、上の2剤は眠剤の中でも簡単に中止できない薬のように見える。個人的に、ベンゾジアゼピンの離脱で苦しんだことがほとんどない(記憶にないほど)ので、実際に、言われているほど、ベンゾジアゼピンは止められない薬ではないと思う。

最も重要なのは、精神面全般が良くなること。そうならないと眠剤も減量できない。


僕の患者さんの中では、かなり眠剤が併用で入っている人もいるが、そういう人は元々中止する気持ちが本人にも僕にもない。その理由は、必ずしも調子が悪いからではない。眠剤が精神面に総合的に効いているからである。

過去ログにもあるが、昼の調子が良くなると眠剤が必要でなくなる。

参考
トータルフットボールと現代の精神科薬物治療

適当に4~5ヶ月ごとに来てくれ

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このブログの読者の方は、多くの患者で、僕が徐々に薬を減らしゼロにしていると思うかもしれない。それは間違い。

明確に統合失調症と診断する人に、薬を止めるように言うことはたぶん皆無である。もちろん増減することはある。

統合失調症の場合、しなくても良い乱暴な減量、中止による再発は痛すぎるし予後を悪化させる。長期的には服薬しながら安定した状態を維持していた方が良い。

普通、統合失調症でなければ幻覚があるようなケースでも、長期的に中止できそうな人は診察していてわかる。その点で、同じような薬を飲んでいたとしても、その人が統合失調症かどうかは大違いである。(服薬の重要性という視点で)

薬を減量していて、かなり少量になった人は、やがて自分は薬を中止できるのでは?と思うようである。

ぜひ止めたいと言われた場合、ちょっと危ういと思ってもその人の希望に沿い、いったん止めてしまうことがある。その直前の処方は、ルーラン2mgとかプロピタン50mg~100mgだったりするので、本人がそう思うのも理解できる。

ある時、トロペロンを0.75mgだけ服用していた人が、中止したいと言うため、渋々中止した。(心の中では)

最初は1ヶ月ごとに来てもらっていたが、寛解状態が長いため、

適当に4~5ヶ月ごとに来てくれ!


と伝えた。薬を出さない場合、何週間と言う意味が薄れ、医師も患者さんも、いつ来て良いかがはっきりしなくなる。

抗精神病薬だけ中止し、例えばレキソタンとかデパスだけ処方している場合は、何週間という処方単位は残るため、まだ通院期間の目安になる。しかし、このトロペロンだけの人は、何も服用しなかったのである。

約1年半後くらいに、彼は目に違和感を覚えるようになった。視覚に変調が生じたのである。また本人は、

頭の中が忙しい感じ。

と訴えるようになった。詳しくその体験を聴いてみると、「思考の中に何らかが浸入する感覚」を覚えるようになったようである。

彼の様子だが、少し表情が暗いだけで決定的に悪化しているようには見えない。普通に応対できるし、悪くなったとはいえ、そこまでの悪化とは言えないと思った。だいたい、悪化といってもそれが自覚できているし、異常体験が自我異和的な点で深刻ではない。本人は、自ら薬の再開を希望した。

ところが、トロペロンではかつてのように効果が出なかったのである。

これは色々な考え方があろうが、脳内の状態は刻々と変化していることも大きいのではないかと思う。過去ログでは本人が長い期間中止した後、ルーランのごく少量でも効果が出るようになった記事もある。

そこで、トロペロンではなく、セレネースを試みることにした。本人は非定型抗精神病薬で当時発売されていたもの(ロナセンとインヴェガ以外全て)に加え、セレネースやトロペロンのような主軸となるような抗精神病薬は服用経験があった。そこで、平凡にセレネースを選んだのである。

換算値的にはトロペロンはセレネースよりやや力価が高いので、トロペロンの0.75mgはセレネース1mg程度である。リスパダールだと、0.5~0.6mg程度であろうか?

セレネース1mgを服薬したところ、奇妙な感覚が速やかに消失した。それどころか、前回、トロペロンを服用していた時期より、服用感覚や体調がずっと良いと言うのである。

これはいったん悪くなったことの反動のようなものであろう(過去ログでしばしば同じような現象が出てくる)。

彼はトロペロンに切り替えるずっと以前はセレネースを服用していた。最も悪い時はセレネースを3~6mg程度服用していたのである。色々非定型抗精神病薬やらオーラップ、プロピタン、PZCなどを試みているうちにトロペロンに落ち着くという経緯であった。やはりどこか変化が起こったと言うほかはない。

彼に関しては「塞翁が馬」だったが、このタイプの人が薬を中止することはお薦めできない危険行為と思う。

今は、彼は薬を中止したいなんて言わない。

あと補足として、セレネースから出発し種々の抗精神病薬を変更しながら服用しているうちに、なぜか体重が8kg程度減少している。

薬物が関与しているとは思えない体重増加はきっとある種の「陰性症状」なんだと思う。

その点でも、彼はかつてよりは良くなっている。

参考
てんかんの寛解、治癒の謎
何らかの薬を投与、失敗しその後寛解するパターン
統合失調症の寛解、就労、予後の謎

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