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モーズレイのガイドラインによる「抗うつ剤と自殺傾向」

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一般に向精神薬に限らず薬には副作用が必ずあると言ってよく、向精神薬に関しては、昔は「副作用もない薬は効果もない」などと評されていた。

それでもなお、古い世代の向精神薬と現代の向精神薬の大きな相違の1つに、副作用の減少が挙げられる。

薬には副作用が容認されやすいカテゴリーにあるものとそうでないものがある。例えば抗がん剤などはかなり重篤な副作用があったとしても、最終結末が死亡など重篤なこともあり一般の人に受け入れられやすい。

一方、汎用される胃薬や、長期に服用せざるを得ない降圧剤などに重大な副作用が認められた場合、マスコミでセンセーショナルに取り上げられやすい傾向がある。

向精神薬の副作用が比較的辛い評価になりやすいのは、1つは精神疾患は癌のように死に至りやすい疾患ではないことがあるが、もう1つは精神疾患と服薬の必要性がかみ合いにくいこともある。

病識がなく服薬の必要性も本人がわかっていない場合、副作用は重大なことに捉えられる。必要でないものを飲んで副作用なんてとんでもないといったところである。

本人がわかっていなくても家族が服薬の重要性を理解していることはあるし、精神疾患が死に至らない疾患という理解も間違っている。それは精神疾患には自殺という重篤な結末もあるからである。また、自殺に至らなくても、「人生として成立していない」という重篤な病態もある。

モーズレイのガイドラインの記載によるとうつ病では、全く無治療に対する抗うつ剤のNNTはなんと3である。またプラセボに反応する人もいるので、プラセボに対する実薬のNNTも5と記載されており非常に有用なことがわかる。

ここでいうNNTとは(過去ログから再掲)
薬にはNNT(Number needed to treat)という概念があり、「治療必要例数」と呼ばれている。これは言い換えると、1人をあるエンドポイントから救うために何人を要したか?というもので、一般的に小さいほど効果が高いと言えるが、重要かどうかの吟味はエンドポイントの内容にもよる。

モーズレイのガイドラインには抗うつ剤による自殺傾向という記載がある。あの向精神薬に辛いモースレイでさえ以下のように記述しているのである。

抗うつ剤治療は特に思春期、青年期の患者において、希死念慮ないし自殺行動に関連するとされており、このようなリスクを患者に注意喚起すべきである。全ての抗うつ剤に自殺関連の副作用があり、うつ病の適応がない市販薬、例えばストラテラにも同様の問題がある。以下の点で注意すべきである。

1、ある患者群に対する自殺傾向の相対リスクはプラセボより高い可能性があるが、絶対リスクは非常に小さい。

2、うつ病を治療することが、希死念慮や自殺行動を防ぐ最も効果的な方法である。

3、現時点で最も効果的なのは、抗うつ剤治療である。

ほとんどの場合、自殺傾向は抗うつ剤治療で大きく減少する。しかし、ある抗うつ剤で希死念慮や悪化が生じた患者では、その後の治療でも同じような問題が起こることが多い。


参考
リーマスとNNT(Number needed to treat)
人生として成立していないほどの精神状態

沖縄の花 2016

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今回は沖縄の夏のお花をアップしてみた。沖縄の植物は過去ログにも何度かアップしているので、過去ログと同じ花もあるが、同じ写真は1枚もない。

上の黄色い花は、いかにも沖縄っぽい花だと思う。那覇市の歩道で撮影。

なお、花の名前には詳しくないので名前の紹介はほとんどできない。






これも歩道の植え込みに咲いていたピンクの花。



これは沖縄の犬。いやに僕に懐いていてしきりにすがり付くので、飼い主のおばちゃんから謝られた。





これはピンクのハイビスカス。ちょっと珍しいかも?と思った。



知らない人も多いと思うので。

これはパイナップルで、このように1つの木?に1つだけなっている。まだ実が小さい。



この写真以下は、沖縄の高速道路のサービスエリアのお花。



もう少し花の説明ができたら良いが、調べるのが面倒。





すいぶんと見事なタンポポ。

ではないよな・・やっぱり。



これも見事な菊系のお花。







ここにも赤いハイビスカスが・・(←ハイビスカスだけはわかる)



これはむしろ雑草なんだろうが、美しい。





ハイビスカスは多いが、赤以外の色も意外にある。過去ログではグアムのハイビスカスをどこかにアップしている。



花びらが破れているが、これも黄色いタンポポ(自信なし)。



こういうすすきタイプのピンクの花も良いよね。



これも雑草の場所に咲いていた。(鉢とかではないという意味)



これもネコヤナギ風の植物。たぶん雑草。



小さいくせに、黄色い小さな花を付けている。



これもすすき風だが、同じような花をオーストラリアでも観たような・・

以上、簡単に解説してみました。

医療費をカードで支払える病院

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数年前、クレジットカードで支払える病院があることを知り驚いた。その病院は、基本的に支払いが機械化されていたのである。

これは一見、事務の人件費を節約しているように見えるが、カード会社に手数料を徴収されるため、医療費総額を考えるとかなり費用がかかる。

今までも歯科では健康保険が効かない医療費はクレジットカードが使えた。これはわかる。しかし、健康保険の診療部分は近年の医療費削減もありカードが使えるなんて思いもしなかった。

その理由は保険診療部分はそう儲かるものではなく、手数料を一律に支払っているようでは赤字になりかねないからである。つまりその病院は利益率が高いのであろう。カードが使える病院は、大規模な病院ほど多いらしい。

大規模中核病院は、カード会社と交渉して手数料を減額されているのかもしれない。大規模中核病院は例えばタクシー乗り場につけられるタクシー会社と交渉し、年間数百万円などで契約しているようである。(実際にタクシーの運転手さんに聴いた)。

タクシー会社からすると、その規模の病院は結構遠方から来る人も多いので、その費用を支払ってもメリットが大きいのであろう。病院も、そのような雑収入からカード手数料を埋め合わせできる。

一方、カードで支払えると病院に行く際に大きな額を持っていかなくてよいので、盗難とか紛失の事故にも遭いにくくなるし、マイルもたまるし良いことだらけである。もちろん、そのことのみで病院は決められないが。

僕は財布を持ち歩くのが嫌いなので、たまに出かけて財布を忘れていることに気付き、大変なことになる。

例えば既に目的地に着いていて、財布がないことに気付き、駐車場から出られないなどである。

その時は仕方がなく家まで歩いて帰った。一銭もないので、車も駐車場から出せないからである。当時は、車にもお金を置いていなかったので、ほんの数百円すらなかった。

もし歩くには遠すぎる距離だったとしたら、タクシーを使ったと思う。その事件以降、車には1000円くらい置いておくようにしている。

自分の友人で、フロントガラスのすぐ下にタバコのすぐ外の透明の袋の間に1万円札を入れていたところ、フロントガラスを割られて盗まれてしまった。これは1万円より、フロントガラスを割られたことの方が遥かに痛い。

しかも警察に届けたところ、不用心だと逆に叱られたそうである。その理由1つは、すぐに犯人の子供が見つかり、

あんたのしたことは、犯罪少年を1人生み出しただけだ。


という内容のことを警察署で言われたからである。これもおかしなものだが、不用心だったのは間違いない。

最近、クレジットカードでパスモやスイカを兼ねるものもあり、コンビニでチャージできるので非常に助かる。カードだけ持っていると、お金はあまり持っていなくて良いことを意味する。

実際、近年は旅行に行っても、パスモを兼ねるカードだけでほとんど支払いを済ませられるので、ほとんど現金が必要ではなくなっている。財布の中身はほとんど減らないのである。

海外だと、結構な高級ホテル(Lグレード)でもカードで支払うと3~4%くらい手数料を取られることがある。これは後で明細書を確かめて気が付いた。この額は2000ドルくらいの支払いだとバカにならない額だと思う。しかしカードで支払うと、為替手数料がないか、あっても僅かなので、現地でその通貨に両替して支払うよりマシである。またマイルが溜まるメリットもある。

こういう社会になったので、財布を忘れやすくなったのもあると思う。

病院とタクシーの契約の話を上で紹介しているが、大規模ホテルもタクシー会社と契約しており、契約していないタクシーは乗り入れられない。この乗り入れ料がバカにならない額で、これもホテルの収益の1つになっている。

この乗り入れ料を取らない大規模ホテルもあったらしい。それは破綻前の日航ホテルチェーンで、そのような放漫経営も破綻の原因だったのかもしれない。もちろん、それだけではないであろうが。

京セラ、KDDIを創業した稲盛さんが破綻後の日航を再建したが、稲盛さん以降、マイルの使い勝手がかなり悪くなった。

つまり、経営を立て直すということは、そういうことなんだと思う。

高速道路渋滞中のドライバーの心理

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行楽シーズンにはあまり出かけないようにしているが、大きな理由は、高速道路などで渋滞に巻き込まれたくないからである。普段2時間もかからない距離を5時間かかった日には、高速料金を少しは還付してほしいと思う。

ある年の年末、どうしても実家に帰らなければならなくなった。

高速道路を嫁さんと話しながら運転していた時、左車線と追い越し車線のうちどちらが速く進めるかという議論になった。

渋滞中は、車が比較的動く時間と、ほとんど動かない時間が繰り返し生じるが、どちらがより早く進めるかわからない時間も多い。

一見、左車線(普通の車線)は、インターチェンジごとに車が加わるので遅くなるような気がする。実際には出ていく車もあるはずなので、インターチェンジが良くないかどうかも微妙である。

しかし、じっと観察していると、どうも左車線の方が早く進めるように見えるのである。

この左車線有利説は、最初に嫁さんが主張した。しかし、感覚的にはそれでもなお、追い越し車線の方がよさそうに見える。

その理由は、上の合流もあるが、事故やガス欠などで更に渋滞が酷くなっている場合、左車線で起こっていることが多いからである。(実際にそのような場面を目撃)。

なお、渋滞が起こりやすい場所はたいてい決まっていて、それは地形にも関係するらしい。例えば、なだらかな下り坂などでは、自然とブレーキを踏むが、これが曲者で、これらのドライバーの行為が自然渋滞を生じやすくする。

また、事故などが起こっている場合、さんざん渋滞していて待たされていても、事故現場の真横を通り過ぎる瞬間はスピードを緩め、状況を見たいという心理になる。これが良くないのである。

ドイツでは、事故車はすぐにカバーをして、いかなる具合に壊れているがわからないようにしていると言う。これによって、不注意による二次的な事故も生じにくくなるし、渋滞も少しは緩和するであろう。日本も、ドイツの事故後の処置は採用すべきだと思う。

高速道路の渋滞の渋滞の際、左車線と追い越し車線のうちどちらを進むべきか?

このような話に極めて詳しい友人がおり、明快に答えてくれた(彼は博学)。

答えは、左車線を進めということらしい。

ドライバーは、渋滞に巻き込まれると、ついつい追い越し車線に入ろうとする習性があり、追い越し車線は渋滞がいっそう酷くなるらしい。

一般的な感覚とは逆の方が良い1例だと思った。

精神障害者保健福祉手帳は治癒した時、返納しなければならない

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過去ログには精神障害者福祉手帳は、この制度ができた頃に比べ、サービスが充実してきたと記載している。この大きな理由は、手帳に写真を添付するようになったことも大きい。

精神障害者福祉手帳のメリットは、級にもよるが、交通機関と携帯電話の割引が大きいと思われる。

精神障害者福祉手帳は、身体障害者手帳・療育手帳と異なり有効期限が2年であり、更新手続きが必要である。この際に、医師の診断書が必要なので、全く診察を受けていない人は更新が難しい。(自然に有効期限が切れる)

精神科では2年は短いように感じるであろうが、意外に病状が変化する。

精神障害者福祉手帳を数回更新しているような人でも、治癒に至った際は精神障害者福祉手帳を返納しなければならない。

完全に治癒しているのに、従来と同様にサービスを受けることは禁じられているのである。

治癒が更新期間の2年間に起こることは良くあるとは言えないが、たまにある。

精神障害者福祉手帳を治癒の際に返納すべきことは、最初に受けた際に言われるか、書面に記載されているようである。

治癒に至り、精神障害者福祉手帳を返納できた人は誇ってよいと思う。

僕は返納できた患者さんには、いつもそんな風に言っている。

ウインドウズ10にアップグレードすべきか?

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ここ数日、ウインドウズ10にアップグレードせよとカウントダウンが始まっている。無償アップグレードの期限は2016年7月29日金曜日までで、それを過ぎると有償になる。その費用は10homeが19000円くらい。10proが28000円くらいと安くはない価格である。

価格というより、自分はノートにマイクロソフトのストアで買った素のOSをインストールしたことがないので、7月29日以降、クリーンインストールした後にパナソニックのレッツノート仕様に整備することの方がうんざりである。

従って可能ならアップグレードしようかと思い始めている。もう時間がないけどね。

期日が迫るとサーバーがダウンすることもありそうなので、できればここ2日くらいでしたいものだが、いくつか気になることがある。

自分の持っているウンドウズ7機のうち3台のパソコンはSSDの128GB仕様なため、ウインドウズ10に要件な空き容量を満たしていない。マイクロソフトのサイトを見ると、必要とされるハードディスクの空き容量は16GBである。(32ビットの場合)。しかし、今の空き容量は14GBしかないので、何らかの方法で空き容量を増やさなければならない。

いつも疑問に思うのは、クラウドのdropboxに入れているファイルや写真が自分のパソコンの空ハードディスクを狭くしていること。これではクラウドの意味がないだろうと言いたい。旅行直後にdropboxに大量の写真や動画を入れると、表示のハードディスクが赤に変わる。

マイクロソフトのサイトをみると、インストール中に外付けハードディスクなどを繋ぐとインストールが進むのでなんとかできそうだが、これ以降もそのハードディスクは必要になるのが難点である。あまり複雑なことはしたくない。

dropboxの内容を減らせばなんとかなると思うが、今後、dropboxが使いにくくなるのが困る。なおディスククリーンアップなどは既に行っている。十分な空き容量が必要なのは、1か月以内ならウインドウズ7に戻せることもあるのだろうと思う。

そもそもウインドウズ7を使い続けたとしても、2010年の1月14日まで延長サポートが受けられる。あと3年以上もあるのである。それ以降、ウインドウズ10のノートパソコンを買えば、一見、無問題に見える。

しかし最も重要なのは、今後、レッツノートでSX4までの優れた機種が販売されそうにないことだと思う。12インチのレッツノートは少し遅くても良いなら丈夫さという点でS10が最高だと思われる。薄型で少し脆弱でも良いなら、SX2~SX4までの機種が良い。SX5以降はウルトラブック化しており論外である。

3年を長いと見るならアップグレードしないのも良いが、その後がどういう風になるのか予測が難しい。

まず、ウインドウズ8.1のタブレットをアップグレードしてみたら、あっさり終わった。ウインドウズ10の方が8.1に比べればデスクトップのデザインは遥かに良い。なんとなく全般が速くなったような気がしたし、オフィースくらいしか入れていないので、不具合もなかった。

ただ、ウインドウズ10はデフォルトで動画を観るソフトが付いていないので、何らかのソフト購入するか、無料アプリをインストールする必要がある。ここが難点だと思う。たぶん、ウインドウズ7のSX2~SX4を10にアップグレードした際、最初に困るのがDVDが観られなくなっていることだと予想している。その点はタブレットは問題がない。(内臓DVDはないため)

N10はニコニコ動画にしか使っていないので、10にアップグレードしようとしたところ、削除しないといけないソフトがあると指摘され、しかもアンインストールできないため諦めた。実質、インストールできないのである。

最もメインで使う機種は空き容量は十分だが、筆ぐるめが動かなくなることがわかっている。これは25以降のバージョンしか10に使えないとサイトに記載されているからである。不十分でもなんとか動くかもしれないが、動かな買った際に、最新版に買いなおすのも憂鬱である。またバックアップも面倒である。その理由は過去ログにも書いているが、筆ぐるめには毎年、さんざんな目にあっているからである。

ところで、ウインドウズ10は、クラリスワークスは動くのでしょうか?(ウインドウズ版)。クラリスワークスは、ウインドウズXPまでは間違いなく動く。2000年以前のファイルが多数あり、長い期間、クラリスワークスのソフトがなかったので動かせないでいた。

これは以前に勤めていた病院で作ったファイルだが、あるとき、ヤフオクでクラリスワークスのウインドウズ版が出ているのを発見し5000円くらいで落札した。これで古いファイルが完全に蘇ったのである。クラリスワークスはウインドウズ7機には入れたことがないが、表計算は不具合があるが、ワードのようなソフトはたぶん大丈夫だと思われる。

一応、これらのファイルをクラリスで立ち上げて、ワードやエクセル仕様で保存しなおせば、おそらくオフィースで開くのでクラリスも必要がなくなるが、ファイルが多すぎてそんな面倒なことはできない。なぜクラリスなのかというと、当時マックも同じくらい使っていて、ウインドウズとの互換性という点でクラリスが軽くて便利だったからである。

自分もXP機を現役で持っているが、今でもXPの新品パソコンが販売されていることを知り驚いた。このような古いOSの新品パソコンは、大学や企業などが購入しているという。

OSは古いものほど良い点もあるからである。たぶんウインドウズXPでないと古いソフトが動かないか、動いても信頼性が落ちるために使われているのだろう。

ウインドウズ10に移行しても1か月以内なら7に戻せるという。また、いったん戻した場合、その後、いつでも10に移行できるという話なので、この方法が最高だと思うが、思ったように戻せないこともあるらしい。

あと数日、どうするか悩むところである。

整形外科医とむちうちの話

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今回は僕が30歳頃の話。

総合病院で働いていたとき、ある宴会で若い整形外科医と話す機会があった。彼は同い年で、同じ県の出身だったが、高校も大学も違う医師だった。

その日、むちうちの話になった際、彼は驚くようなことを言った。彼によると、

むちうちは皆、詐欺のようなもので、真のむちうち症などない。

むちうちは例えば交通事故で追突された際に起こる「頸椎の捻挫」で、しばしば画像的な所見がみられなかった。ましてまだMRIもない時代である。

医学の世界では、検査所見に何も異常が見られなくても疾患が存在することがある。特に精神科では、血液検査やCT、MRIレベルで全く正常だが、統合失調症ということは良くある話である。

整形外科でむちうちの診断の際、画像的な検査所見に異常がなかったとしても、頸部の熱感や疼痛や頸部の張りなどの所見が診られることが多いのではないかと思う。

後者は、ちょうど精神科で診察時に観察ないし聴取できる部分に相当する。精神科の場合、たいていの疾患ではこの部分が重要なので、この無形の情報を重視する習慣がついている。例えばそれが嘘だったとしてもそれも1つの所見なのである。

ところが、血液検査や画像など明確な所見が重視される科では、現代社会のように医療機器の進歩が著しいと、それらを信頼しすぎて患者さん本人を診ることがおろそかになりがちになる。

なお、その日の話だが、自分はむちうち症になったことがあったため、日常、診療している整形外科医がそんなことを言っているのに驚いた。さぞかし、モチベーションの点で、むちうち症は診療しにくかったと思われる。

実は、これと同じような話がもう1つある。

僕の医師の友人が海外でレンタカーで事故に遭い車が大破。その際の衝撃のため、首が回らなくなったと言う。ところが、ほんの数日ですっかり跡形もなく症状がとれたらしい。彼によると、

むちうちで何十日も入院しているやつは、皆、詐欺だぜ!

という結論だった。

精神科医の立場から言うと、ほぼ同じ事故に遭った際に、どのレベルのむちうちによる症状が出て、どのくらい持続するのかは、個人差が大きすぎることがあると思う。

実際、同じような衝撃でも実証の人は疼痛がかなり軽いような気が非常にする。

一方、虚証の人は、ほんの少しの衝撃でもかなり長期に疼痛が残ったり、実質、治らないことはありうると考えている。(個人的な意見)

疼痛とか違和感を捉える座が脳である以上、その場所に器質的な異常所見がなくても疼痛が持続することは十分に考えられるのである。

ウインドウズ10アップグレード顛末記

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ウインドウズ10の無償アップグレード期間は7月29日までで、今は時間的にも終了している。

ウインドウズ10にアップグレードできたのは8.1のタブレットだけで、それ以外のパソコンはアップグレードできなかった。

できれば、いったん10にして戻す方法が良かったのだが、準備が煩雑すぎて・・

また、いろいろ個別マシンの事情もあった。今回、調べていて、いかにレッツノートが特別なパソコンなのかよくわかった。レッツノートのウインドウズ7機は、マイクロソフトの指示に従って簡単には10にアップグレードできないのである。

知らないうちに、10にアップグレードされていたという話があったが、レッツノートはそんなにぬるくない。

今、現役で働いているレッツノートは、N10 S10 SX2 SX3の4つである。このうち、N10は一応、オフィース2010が入っているが削除しても構わないほど、ニコ動のテレビ直付けの放映にしか使用していない。

S10は使い始めたのが1か月前で新品同様だが病院内の書類作りにのみ使用しており、妙なソフトは全然入っていない。この機種は法人向けサイトで登録し4年保証が付いている。また残念なことにパナソニックのウインドウズ10対象機種ではないため、10にアップグレードした場合、保証が効かなくなるのではないかと思う。(パナソニックのサイトでは、実質、アップグレードの方法を教えているが、動作を保証していない)

パナソニックが、2013年夏モデル以降の機種しか10へのアップグレードを推奨していないことを最近いろいろ調べて初めて知った、

そのようなこともあり、S10(保証期間2015/07/21 - 2019/07/20) SX2(保証期間2014/09/28 - 2018/09/27)の2機は4年保証がかなり残っている上、SX2のDVDドライブが故障しているため、いろいろ頑張ればアップグレードできないことはないが、しない方が良いと判断した。

修理に出す際、パナソニックが推奨していない10にアップグレードしていては、有償になる懸念がある。DVDロム付のノートは、この部分が最も壊れやすい。だからN10はS10より人気があるのである。

スーパーマルチDVDは壊れているが再現性が低いタイプの故障で、機嫌の良い日には動く。したがって、いつか時間があればパナソニックの保証を使って修理するつもりでいた。(修理に出すこと自体がかなり面倒)。

N10は、使用目的から苦労してウインドウズ10にアップグレードする価値がない。

最もアップグレードしたい機種はSX3だったが、これでさえ3年保証期間が残っている。これはメインとなる機種でインストールしているソフトの数も多くバックアップと、8.1仕様にするのが大仕事と思われた。レッツノートの7機は、いったん8.1仕様にしないと10に移行できないらしい。

SX3の最もよくない点は、ハードディスクが壊れかけていることである。最近、業者に依頼して500GBくらいのSSDに換装を考えていた。ただし、セキュリティの点で換装に出すまでの準備が大仕事なので、仕方なく今はメイン機としてSX2を使っていた。

結局、あまりにも突然アップグレードを考え始めたため、時間切れになった感じである。

今後、約3年間、ウインドウズ7と付き合うつもりである。


双極性障害のうつ状態エピソードに対する治療についてNEW!

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双極性障害のうつ状態エピソードは、自殺という最悪の転帰をとるリスクを含め、精神科医にとってもどのような治療方針で臨めば良いのか難しい病態だと思う。

双極性障害の患者はなんと15%が自殺すると言われている。これは双極性障害の重さや治療の難しさと関係が深い。

個人的な治療経験から来る重要なポイントは、試行錯誤を面倒がらないことである。

このブログでは、パソコンやタブレット、ヤフオク、旅行、音楽などの話の中で「面倒」というフレーズが良く出てくるが、僕は日常臨床ではあまり細かいことを面倒がらないタイプである。これは時々「自分は積極的なタイプの精神科医」という記載内容を反映している。日常生活のさまざまな場面で面倒がるのは、日常臨床の消耗から来るのかもしれないと真剣に思うほどだ。

現在、双極性障害のうつ状態に対し最も有効とみなされている治療法は、皆、意外に思うかもしれないが、

ジプレキサ+プロザック(SSRI)

という併用療法である。単剤処方がベストとはされていないのである。海外ではジプレキサとプロザックの合剤がシンビアックス(symbyax)という商品名で販売されており、使いやすくなっている。難治性うつ病に処方されるが、これは難治性うつ病には少なからず双極性障害が含まれていることを示唆している。

日本では、プロザックが未発売なため他のSSRIで代替されるが、一般にSSRIに限らず、抗うつ剤にジプレキサを追加処方すると、様変わりしたように改善する難治性うつ状態の人たちがいる。過去ログには、この処方が効くのは良いが半端なく太りやすいという記事がある。

この併用療法で日本で選ばれるSSRIはおそらくパキシル、ジェイゾロフトくらいが多く、次いでレクサプロくらいであろう。デプロメールはややパワーが欠けているので、不十分な可能性の方が高いが、これでさえ試みる価値がある。(上の試行錯誤を面倒がらないという姿勢)。

ジプレキサ+プロザック以外の第一選択に挙がってくる有望な治療法は、

セロクエル
ジプレキサ
ルラシドン(本邦未発売)
デパケンR


の4剤である。(ただしこれらは併用という意味ではない)

ルラシドンは大日本住友製薬が創薬したものだが、海外では販売されているが、日本では治験に失敗している。近年は失敗に懲りず何度もトライしているようなので、いつかは日本でも発売されるかもしれない。ルラシドンは非定型抗精神病薬である。なお、武田薬品工業株式会社はルラシドンのヨーロッパの販売権利を持っていたがその後、手放している。

製薬会社の世界的評価はもちろん売上高が重要だが、それ以外に抗精神病薬を創薬できるかどうかが非常に大きな要素である。製薬会社の格付けの高さとして、抗精神病薬を創薬できることが挙げられているのである。その点で大日本住友製薬は偉大な製薬会社だと思う。また、エビリファイを創薬した大塚製薬は一気に世界的に名が通った製薬会社になった。

双極性障害のうつ状態に対する確立された治療法(モーズレイのガイドラインによる)

○ラミクタール
双極性障害のうつ状態とうつ状態エピソードの再発の双方に有効と考えられている。躁転や急速交代を起こすことはない。効果はセレクサ(≒レクサプロ)とほぼ同等である。体重増加はリーマスより少ない(経験的にラミクタールは体重増加をほとんど来さない)。全般にラミクタールの効果は中程度で、否定的な試験も多い。中毒疹が生じやすい。ラミクタールの50㎎/日は有効であるが、200㎎/日の方が有効性が高いと考えられている。

○リーマス+抗うつ剤
抗うつ剤は、依然として双極性障害のうつ状態に広く処方されている。特に双極性障害治療中のうつ状態エピソードに使われるが、効果があると考えられてきたが、周期を早め躁転のリスクがある。複数の論文で、気分安定化薬単剤は、気分安定化薬+抗うつ剤と同等の効果があると指摘されている。一般に3環系抗うつ剤とMAO阻害薬は避ける。イフェクサーとブプロピオンも処方されるが、イフェクサーは躁転のリスクがある。一般にSSRIが推奨される。リーマス+抗うつ剤では、リーマスの血中濃度が0.8mmol/L未満の時のみ効果があると言うエビデンスがあるが、議論がある。うつ状態の改善後、抗うつ剤の継続投与は再発を抑制するが、これは気分安定化薬を併用していない場合のみである(←驚愕の指摘)。現時点では、抗うつ剤を長期的に継続投与すべきかどうか、コンセンサスは得られていない。

○リーマス(単剤)
リーマスは、双極性障害のうつ状態に有効と考えられているが、有効性を支持するデータには方法論的な問題がある。双極性障害のうつ状態の再燃を防ぐというエビデンスがいくらかあるが、躁状態の再燃を防ぐ効果の方が高いと考えられている。リーマスが双極性障害の自殺を防ぐ効果には、かなり強く支持するデータがある。

○ルラシドン(本邦未発売)
2報のRCTでは、双極性障害のうつ状態に対し、ルラシドン単剤でもあるいは気分安定化薬との併用でも有効とされている。ただし、英国では双極性うつ状態に対しルラシドンは適応がない。

○ジプレキサ±プロザック(プロザックは本邦未発売)
この合剤シンビアックス(symbyax)は、双極性障害のうつ状態に対し、プラセボやジプレキサ単剤より効果がある。有効性はラミクタールより高い可能性がある。予防効果を示す適切なエビデンスがある。NICEでは、第一選択として推奨している。ジプレキサはプラセボより有効だが、プロザックとの併用では更に有効である。これは現在、双極性障害うつ状態への抗うつ剤の有効性に対する最も有力なエビデンスと考えられる。

○セロクエル
5報のRCTでは、双極1型および2型のうつ状態に対し、300㎎および600㎎(単剤療法)の明かな有効性が示されている。リーマスやパキシルより有効である可能性がある。セロクエルは双極性障害の躁状態、うつ状態の再燃を予防するため、双極性障害のうつ状態の選択肢の1つである。セロクエルは躁転とは関係しないようである。

○デパケンR
単剤療法の効果を示すエビデンスは限られているが、いくつかのガイドラインで推奨されている。非常に小規模のRCTがいくつかあるが、その多くは否定的である。双極性障害うつ状態の再燃を防ぐ可能性があるが、データは少ない。

その他、双極性障害うつ状態の代替療法(モーズレイのガイドラインによる)

○抗うつ剤
双極性障害のうつ状態では、抗うつ剤の単剤療法(気分安定化薬による保護がない)は、躁転のリスクがあるため一般に避けられている。抗うつ剤は単極性うつ病には効果があるが、双極性のうつ状態には効果が小さいか無効であるというエビデンスがある。しかし、プロザック、イフェクサー、オーロリクス(モクロベマイド)の短期の単剤処方は、かなり効果的でかつ安全と考えられる。しかし全体としては、特に双極性障害1型には抗うつ剤の単剤療法は避けるべきである。

○テグレトール
推奨されることがあるが、データが乏しく効果が大きくない。他の気分安定化薬に併用すれば有効な可能性がある。

○ビシフロール
2報の小規模なプラセボ対照試験では、双極性障害うつ状態に有効なことが示唆されている。有効用量は1.7㎎/日である。また、いずれの研究でもビシフロールは気分安定化薬の補助療法として処方されている。いずれの研究でもビシフロールは躁転のリスクを増加させないと考察されているが、データが不十分で躁転の可能性を除外できない。専門施設での使用にとどめるべきである。

双極性うつ状態のその他の治療法

○エビリファイ
追加療法として使用したオープン試験で支持されているに過ぎない。RCTでは否定的であった。無効でないかと思われる。(個人的な感想として、エビリファイは双極性うつ状態治療では単極性うつ病に対する評価とかなリ異なる)

○ガバペン
オープン試験では、気分安定化薬あるいは抗精神病薬に追加するとやや効果があると示唆されている。平均用量は1750㎎。不安感を改善するため、双極性うつ状態に効果があるように見えるのかもしれない。(個人的にガバペンは比較的有用と考えている。双極性うつ状態に、ガバペンは、デパケンやリーマス、ラミクタール、セロクエルより有効と思われる人たちがいる。難点は併用されていることもあるが、肥満を来しやすいこと)

○イノシトール
小規模な予備的無作為試験では、イノシトール12g/日は双極性うつ状態に有効なことが示されている。

○オメガ3脂肪酸
1報の肯定的なRCT(1~2g/日)、1報の否定的なRCT(6g/日)がある。

○リルゾール
リルゾールのいくつかの薬理学特性はラミクタールと同じである。データは限定されるが、1報の症例報告で双極性障害うつ状態への処方が支持されている。

○サイロキシン
増強療法としてのエビデンスは限定的である。平均用量は300μg/日。1報のRCTでは効果が示されなかった。

○エクセグラン
いくつかのオープン試験で支持されている。用量は100~300㎎/日。

参考
双極2型のうつ状態と抗うつ剤
単極性うつ病と双極性障害のうつ状態
抗うつ剤で改善しない倦怠感

レクサプロとルーラン

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この記事はルーランのテーマとすべきだが、それだとなかなか目に触れないため、レクサプロのテーマに入れている。

レクサプロは不安に効果が高いSSRI(抗うつ剤)の1つだが、ルーランも不安に効果的な非定型抗精神病薬である。ルーランは、エビリファイやロナセンなどの新しい抗精神病薬の発売以降、あまり売れていないのではないかと思う。

エビリファイとルーランは軽いという意味で似た抗精神病薬だが、少量での不安対する効果はおそらくルーランが上回る。これは過去ログにもあるが、おそらく、ルーランがセディールの派生薬物であることに関係する。

あるとき、レクサプロを増量中、20㎎でも不安感がさほどよくならない患者さんがいた。その患者は忍容性を考慮し5㎎から増量しており、漸増することで20㎎でも服薬できない人ではなかった。

しかし、効果は十分ではなかったのである。そこで、レクサプロを漸減し、ルーランを1㎎から2㎎まで増量してみた。

自分でいうのもなんだが、いかにも効果がないか、むしろ悪化しそうな試みだと思う。

そうしてこのような処方になった。

レクサプロ 10㎎
ルーラン  2㎎


この処方は、副作用の大きさという視点で、ルーランの用量は問題にならない。

また、この患者さんはレクサプロ10㎎および20㎎単剤でも全然、不安やパニックが収まっていなかったのである。

ところが、この処方で様子を観ていたところ、本人によるとかなり不安感が改善し、パニックも生じなくなったらしい。

ルーランは1㎎だけ服薬させても不安感が改善する人がいるので、この処方ではルーランの役割は比較的大きいのではないかと思われる。

まさか、ルーランがここまで効くとは思わなかったよ。

なお、レクサプロに限らずSSRIは時間が経つと、むしろ止めた方がパニックが全然生じなくなる人がいる。これは不思議な現象だと思う。

例えば、

レクサプロ 10㎎
ワイパックス 1㎎


だったような人が、ある日、自分でレクサプロを止めており、理由を聴くと「レクサプロを飲んだ日の方が断然パニックが増えるので、やめた方が良い」と言う人である。この人はその後、ワイパックスだけ服薬しているが、全く問題がない。

この人は最初はレクサプロは不安やパニックに良いなどと言っていたので、また違ったタイプの腰折れとみなすことも可能だ。

つくづくルーランは不思議な薬だと思う。欧米などの海外で発売されていないため、エビデンスが増えないのが残念である。

参考
ルーランのテーマの全記事

人類発祥の島、古宇利島

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沖縄、古宇利オーシャンタワーから撮影した古宇利大橋方面の光景。ここは、沖縄でも素晴らしい観光スポットの1つである。

古宇利島は沖縄県今帰仁村にある。

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古宇利大橋(こうりおおはし)は、平成17年2月8日に開通している。この橋は沖縄本島に直接繋がっているわけではなく、名護市の屋我地島(やがじしま)から架けられている。

最初、理解しておらず、一本目の橋を古宇利大橋と勘違いしていた。これはグーグルアースで確認できる。

1

古宇利オーシャンタワーは観光スポットとしてかなり有名になっており、中国人観光客の方がむしろ多い。

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入場券を買うと、このように無人カートが建物まで案内してくれる。

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カートから古宇利大橋方面を撮影。

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亜熱帯植物も観ることができる。

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建物を入ると貝殻の標本が多数展示されており美しい。

係のお兄さんに聴くと自由に撮影してよいと言われた。売店では、貝殻や貝殻でできたグッズが販売されている。

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この日は快晴だったはずだが、海の色合いがいまいちだったと思う。

最初の映像の最後の辺りで、古宇利大橋の両サイドにビーチが見える。向かって左側のビーチで泳いだが、海の透明度はそれほどではなかった。この日、海の色合いが今一つだったのは、風が強かったのもあるのかもしれない。

海水浴場で使った金額は夫婦で400円。(シャワー代)

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古宇利島は人口も極めて少ない上、とりわけ産業があるわけではなく、那覇からずっと離れた僻地なので、普通に考えると橋を架ける価値がないと思われる。

古宇利島の人口は平成25年頃で377人と400人に満たない。橋が架かっていてもこの程度なのである。なお、橋は2000m弱の長さがあり、通行料は無料である。また高速道路料金も本土に比べ、かなり安く設定されている。

日本が沖縄県のインフラに注いでいる金額は膨大で、もし沖縄が中国領だったら、永遠に橋などかからなかったと思われる。

日本が、沖縄県のインフラに税金から膨大なお金をかけている理由は、おそらく、沖縄県に犠牲を強いていることがわかっているからだと思う。

上の写真の中の民話は、古宇利島が人類発祥の島と言われる故事である。




リオ・オリンピックサッカー、日本vsナイジェリア

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2016オリンピック開会式を前に、既にサッカーのグループリーグが始まっている。ほとんど話題にならないが、女子サッカーもそうである。昨日、日本男子は初戦のナイジェリアと戦った。

ナイジェリアは予算などの関係から、直前にブラジル入りしたが、トラブルに見舞われ数時間遅れとなった。最終的にはNBAが利用する豪華な航空機になったようである。ナイジェリアは日本に比べオリンピックでは1度の金メダルも含め実績上位で、アフリカ予選1位通過の強豪である。

オリンピックのサッカーは出場国が16か国とワールドカップに比べ少ないため強豪国でもあまり出場できていない。それでもなお、日本はこれがワールドカップだったとしてもかなり厳しい組に放り込まれた。

予選Bリーグ
ナイジェリア
日本
スウェーデン
コロンビア


日本は初戦から、ナイジェリア、コロンビア、スウェーデンの順で戦う。このグループは、ブラジルのように極端な強豪がいないが、全敗でもおかしくないグループだと思う。元々、日本はナイジェリアやガーナのようなアフリカ系でもゴムまり筋肉選手の揃うチームには相性が良くない。反面、アラブ系っぽい選手が多いアルジェリアなどのチームはまだやりやすい。

ナイジェリアの直前トラブルがちょうど良いハンデになった感じだった。

結果は4-5の敗戦。特に序盤の守備崩壊は目を覆うばかりで大差で敗戦するのではないかと思われた。一時2-5まで差が開いたが、その次の点数が入った瞬間、テレビのスコア表示は、日本が得点しているのにしばらく2-6になったほどである。スコア係の人もナイジェリアが次々と得点すると思ったのであろう。

ナイジェリアは直前入国が堪えたのか、試合の最後の頃は完全に足が止まっており、スタミナがなかった。終盤は日本ペースだったが、それでも日本は、これは勝てるという瞬間などなかった。

内容的には完敗に近かったが、それでも2-5や3-5とでは、4-5は全然違う。試合終盤に鈴木武蔵(新潟)が決めた4点目は技術的にも素晴らしいゴールだった。しかし彼は新潟では全然活躍できていないのである。Jリーグと、どこがどう違うのかわからないところである。

一方、スウェーデンとコロンビアは、試合の序盤はコロンビアが優勢だったが、スウェーデンも負けておらず、最終的には2-2の引き分けだった。この試合は、日本vsナイジェリア戦のように「アジアの弱い国しかこんな得点されない」といったお粗末なゴールなどなかった。どのゴールもワールドクラスだったと思う。

Bグループが戦っているマナウスという都市は、リオデジャネイロよりコロンビアの方が近いらしい。コロンビアは時差なども含めホームのような地の利がある。

日本初戦は、内容的には4-5の僅差の敗戦に留まっているが、全敗もありえる途中経過になっている。

手倉森監督は、ナイジェリア選手と区別がつかないほど日焼けし、万全の準備で臨んだようだが、前途多難な幕開けになった。

なお、アジア3位で出場したイラクは、デンマークに勝っておかしくない試合内容で引き分けている。

2チーム勝ち上がりでは、初戦敗戦という結果は決勝トーナメント進出がほぼ絶望的なのが普通である。それでもなお南アフリカがブラジルと引き分けたように、サッカーはやってみないとわからない部分がかなりある。今後の試合を頑張ってほしいものだ。

なお、試合ハイライトは動画を貼らないので、テレビかYouTubeを参照してほしい。

認知症治療薬の少量投与とレセプトの話

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現在、認知症の治療薬はかなりの種類が認可されているが、たいていの薬は、 添付文書で一定の用量まで漸増するように指示されている。

例えばメマリーでは、

通常、成人にはメマンチン塩酸塩として1 日1 回5 mgから開始し、1 週間に5 mgずつ増量し、維持量として1 日1 回20mgを経口投与する。

とある上、使用上の注意として、

1 日1 回5 mgからの漸増投与は、副作用の発現を抑える目的であるので、維持量まで増量すること。

とまで念を押されている。そのようなこともあり、特にリエゾンなどで見る内科医の処方では、20㎎まで増量されていることがほとんどである。

メマリーは5㎎だけ投与しても、「これはなんなんだ!」と思うほど劇的に効く人がおり、そのような人は機械的に増量してもあまり意味がないし、かえって有害作用が出るリスクの方が大きい。

メマリーは処方したことがある人はわかるが、増量していく過程で、むしろ悪化する人がいることに気付く。従って自分の場合、20㎎まで増量したことがないわけではないが、20㎎未満で維持する事が多い。

そのようなこともあり、認知症の随伴症状の治療の依頼を受けた際、メマリーを既に20㎎まで投与されているケースでは、今後の裁量を制限されている感覚に陥る。

だいたい、メマリーの添付文書では、

本剤がアルツハイマー型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。

とまで記載されているのである。メマリーの効能効果には、

中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制。

と書かれているので、実に謎な添付文書と言える。現代の認知症治療薬は進行を遅らせるだけで、完治させることはないのである。

うちの県では、このような添付文書に沿わない少量処方では、レセプトで「この患者は、忍容性が低いため仕方なく少量投与している」と記載すれば査定されることはなかった。

査定されるケースは、コメントなしで漫然とアリセプト3㎎を長期投与するケースだけだったが、これでさえコメントがあれば査定されない。

ところが、全国的にはそうではなかったようである。添付文書通り一定用量まで増量しないと査定される都道府県もあったらしい。

そのような杓子定規な規定は臨床現場を反映していないため、国はレセプトで認知症治療薬の少量投与について認めるように指導するようになった。

したがって、今後もコメントは続けるつもりだが、その記載もひょっとしたら必要がないのかもしれないと思う。

今回の認知症治療薬の国の指導は、主にレビー小体型認知症に対するアリセプトの用量について注意喚起していると思われる。

そう思う理由はレビー小体型認知症は忍容性が低いことが周知されているのにもかかわらず、アリセプトの添付文書には以下のように記載されているからである。

レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制
通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回 3mgから開始し1~2週間後に5mgに増量し経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5 mgまで減量できる。


レビー小体型認知症の患者さんに対し、須らくこの方法を適応すると、最悪の場合、例えば心臓を悪くして死亡することすらありうる。

おそらく、臨床現場では0.75㎎~1㎎程度で維持されている処方が多いと想像する。

レセプトの査定に都道府県差が生じることは、結局、その地域の医療レベルを反映しているんだと思う。

歯科のレントゲン・CT検査と被曝量について

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今、突然目が覚めてテレビをつけると、なんと男子柔道で大野将平(旭化成)君が金メダルを獲得していた。ほとんどの試合が一本勝ちで圧勝だったらしい。前回ロンドン大会では男子は金メダルがなかったので、一矢報いた印象である。

ブラジルは地域にもよるが、自然放射線被曝量が他国に比べ傑出して高い国である。この理由はブラジルにはウランやトリウムなどを多く含む岩石が多い地域があることによる。(特にブラジル南東岸のモナザイト岩石地帯)。

一般に、世界全体の平均の自然放射線被曝量は、2.4mSv(ミリシーベルト)程度とされている。しかし、ブラジルでは、国全体ではないと思うが、上記の岩石地帯では10mSvレベルである。これは世界平均の約4倍である。

なお、日本の自然放射線被曝量は1.5mSvと比較的低い国とされている。これはおそらく土壌と関係があると思われる。

なお、ブラジルの年間10mSv程度の地域では健康被害の調査が行われている。しかし、先天性異常、流産、死産、乳児死亡、受胎率、出産率などは他の地域と差がなかった。

さて、歯科に定期的に受診すると、時々、う歯や口腔内の歯周病の精査のためレントゲン検査やCT撮影をされるが、レントゲンやCT検査を1度に複数枚、受けることは稀なので、いったいどのレベルの被曝があるのか気になるところである。

結論を先に言うと全く問題にならないらしい。歯科の近年の新しいタイプのレントゲン及びCTは、デジタルレントゲンが採用されており、他の医療機器の被曝に比べても断然低くなっている。


一般的な被曝量(以下単位mSv)
年間被曝量
ブラジル 10程度(健康被害なし)
日本   2~4
放射線従事者(年間) 50
日本からNYまでのフライト 約0.2


医療における被曝量
一般X線
頭部単純 0.1
胸部単純 0.4
胃(バリウム)3.3


X線CT
頭部  2.4 
胸部  9.1
上腹部 12.9
下腹部 10.5


集団検診
胃(透視)0.6
肺(撮影)0.06


検査については1回あたりの数値である。数値は日本医学放射線学会雑誌からの資料(2004年)。施設によっても多少変わる。それは機器の古さなどにより影響される。

ヘリカルCTでは、立体的な脳内の画像で見ることができるが、被曝量が半端ないと言われている。ヘリカルCTを使うと、普通のCTだと発見できない小さな肺癌の像(1㎝以下)を見つけることも可能である。しかし被曝量は1回で35mSvくらいである。(条件設定でより低くすることも可能)

これらに比べ、最新の歯科用デジタルレントゲンの被曝量は全然問題にならない数値である。デジタルデンタルだと、一度に100枚撮影したとしても被曝はわずかだと思う。

デジタルデンタル 0.002 (2~3歯の撮影)
デジタルパノラマ 0.014 (口全体の撮影)
X線CT  0.2(1回の撮影)


歯科ではCTを使ったとしても、他の内科、外科系のCTの被曝量に比べ断然低い。

一般に癌のリスクが上がることがわかっている被曝量は100mSvである。放射線従事者は年間被曝量が50mSvまでなので、その水準の半量に基準を置かれていることがわかる。

なお、原爆での被曝量は残留被爆(入市被爆者)も含め、歯を調べると被曝量がわかり、これをもって被爆者健康手帳を受ける根拠になりうる。しかし、オヤジは残留被爆(入市被爆者)であるのにもかかわらず、被爆者健康手帳を受給しないどころか、全く関心がなかったようである。彼は受ける気持ちすらなかった。そのため入市被爆者の真の証拠がない。

福島の原発事故の際に、市民に歯を調べて被曝量を測るといった話が全くでないのは不思議だが、たぶん、調べても被曝した規模が小さすぎて、歯への影響までないんだと想像する。

しかし、原発施設内作業の人は別だと思われる。

参考
爆心地
悲観的な予測をする傾向
「悲観的な予測をする傾向 」の補足
反原発運動と反精神医学の記憶

メージ症候群とDBS(脳深部刺激療法)

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DBS(脳深部刺激療法)は、パーキンソン症候群などの不随意運動に実施される治療法で、後に脳内の植え込み装置を取り出すことは想定されていないのではないかと思う。

実際に手術現場を見たことはないが、脳神経外科医とその施行内容と症状について紹介状を通じ議論したことがある。最後の手段的な治療なので、その前に薬物等で試行錯誤をされていることが多い。

パーキンソン症候群はほとんどが高齢者なことや、この治療法が考慮される患者さんが困ってる症状の規模が大きいことから、後戻りが効かない治療法だとしても患者さんや家族に受け入れられやすい。

精神科ではこの治療法を実施された人に遭遇するケースは、パーキンソン症候群で、なお精神症状が残遺しており、その治療を依頼されるケースが多い。(多いとはいえ、症例自体は稀)

稀に抗精神病薬などの治療の際生じた後遺症(主に難治性ジストニア)でやむなく実施された人がいる。このケースでは、意外に若い人にも実施しされていることがある。

一般に、パーキンソンやジストニアなど以外の精神症状への効果は期待されていないと思われる。感覚的には精神病状態を悪化させるイメージも湧くため、ずっと以前は難治性のジストニアがあったとしても精神病には避けられていたのではないかと想像する。ボトックスなどに比べ、そんな風に思われるからである。

最初は精神病の薬物治療の際に生じた難治性のジストニアに対し、DBSはやむなく適応外的に実施されたと思われる。当初想定されたほどの重度の有害作用が認められなかったため、稀にそういう若い患者さんに遭遇するのだろう。

ジストニアは極めて対処が難しい病態だが、若い統合失調症などの患者さんでは、ECTの実施なしで、DBSを施行されていたことに不満を持った。

その理由は薬剤性のジストニアで、特に統合失調症の人では、ECTは極めて有効だからである。DBSはジストニアに有効な治療法だが、いったん実施されると、もはやECTは実施できない(と思う。感覚的に装置が故障してもおかしくない)。

ある若い患者のDBS施行後、残遺する精神症状の治療をまかされ非常にうまくいき、幻覚妄想は完全に消失した。そのことは過去ログに少し記載がある。効果的だったのはエビリファイの大量処方だった。それ以前はほかの抗精神病薬(ルーランの大量)が使われており、ジストニアにも良くなかった。

エビリファイは第一感で良さそうだが、本人は過去に上手くいかなかったことがあり難色を示した。しかし本人と家族に最初からエビリファイの大量を使えば全く違った結果になりそうだと説明し、上手くいったのである。

後に本人にDBSの施行後、いったいどのような症状に最も効果があったのか聴いたことがある。その人によると、メージ症候群には非常に効いたと言う話であった。メージ症候群もジストニアの1つである。

完全には足などのジストニアは消失していないので、同じジストニア系症状でも、有効性の相違があると思われる。本人によれば、ボトックスはほとんど効果がなかったという。

なお、DBSの良いところはパワーを調整できることだと思う。本人によると、最初はさほど効いていなかったが、パワーを上げ調整すると有効になったらしい。DBSは効果の持続性と調整が可能なことが良い点である。良くない点は定期的にバッテリーの交換が必要なことだと思う。

DBSを施行され、なお残遺しているジストニアに対し、リボトリール、ワイパックスやダントリウムなどの併用療法も有効である。(本人がそう言っている)。それに対し、ユベラNやメチコバールはさほど効果が体感できないようである。

ツムラ68芍薬甘草湯なども一見、治療的な印象だが、持続性のあるこのタイプのジストニアは、一瞬に生じるこむら返りと異なるためか、かえって歩行しにくいと言う話を聴いた。

バッテリーの性能に関しては、例えばスマホなどでバッテリーのへたりが少なくなるなどの技術進歩が著しいなどから、将来はバッテリー交換の期間が延びる可能性がある。

参考
長期の抗精神病薬投与による嚥下障害について
メージ症候群(後半)




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沖縄、伊芸サービスエリアのシーサー

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沖縄自動車道は、あまりに観光客が増加したため、スピードを出せないほど渋滞するようになった。(観光客のレンタカーの利用)

今から30年前は、まだ名護まで連続して開通しておらず、一部区間は完成していないため、国道に下りないといけなかった。それでも車で当時の石川市から那覇まで30分あまりで行けたものだ。車が少なく空いていたからである。

当時の沖縄は、本土で簡単に食べられるものがなかった。たとえば、カレー屋さん、うどん・そばのお店である。一方、沖縄そば屋はかなりあったが、沖縄そばが悪いという意味ではないが、そばとはほど遠い料理である。

現在は隔世の感があり、沖縄では本土の料理はほぼなんでも食べられる。

沖縄自動車道は、あまり長距離ではないのでサービスエリアは1か所しかないという話である。これは運転していて全く気付かなかった。

伊芸サービスエリアは沖縄自動車道唯一のサービスエリアらしい。ここではお土産物とレストランがあるが、確か約30年ほど前もあった記憶がある。その理由は、そのSAのレストランでピラフを食べたからである。

上は、伊芸サービスエリアにあるシーサー。

このシーサーは、不思議なことにペアになっていない。お店の屋根の中央に1頭だけ鎮座していた。



少し離れた写真。このようにお店の中央にある。

30年くらい前、名護に我部祖河そばという評判の良いソーキそばの店があり、友人と一緒に行ったことがある。ごく最近、本土のショップの沖縄出身の女性店員さんが名護の出身というため、今でもやっているのか聴いてみた。

なんと、我部祖河そばは今でもやっているらしい。

彼女によると、宮里そばも評判が良いという話だ。宮里そばは、みやざとそばと読む。



遠方から。
どうみても1頭しかいない。

今の沖縄はハワイよりずっと素晴らしい。なぜ日本人がハワイまで行くのか不思議でならない。僕はハワイは10回以上行ったことがあり、その人が言っているのである。

何が大きく違うのかというと、料理がハワイは悲惨なことに対し、沖縄は色々なおいしい料理が楽しめることである。

医師のスキルと年齢のことなど

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現在、リオ・オリンピックが開催されているが、オリンピック競技は若者の方が優れていることが多い。若いアスリートの方が有利なのである。

例えば、国際大会で大きな実績がないのに、自己ベストを更新し続けてメダルや入賞を勝ち取ったりする。10代だと、経験や体の成熟不足のために不利になる競技がある。例えば、陸上の100mやマラソンなどである。競泳などは10代でもそう不利には見えない。

ニコ動で日本プロ麻雀連盟などの麻雀を観ているが、麻雀は若い選手が圧倒的に強いことはまずない。その証拠にA1リーグに30歳代の選手はほとんどいない。30歳は麻雀では十分に若手と言える年齢なのである。例えば昨年度の麻雀グランプリMAXは灘麻太郎が優勝しているが、彼は1937年生まれなので年齢は80歳近い。連盟の最上位のリーグ戦A1で最も高齢なのは古川孝次の67歳である。麻雀では経験値的なものが大きく、体力は関係するものの、年齢的なハンディキャップは比較的低いのである。

野球も選手によれば40歳代後半でもプロで活躍できる。オリンピックでも馬術やアーチェリー、射撃などは40歳どころかそれ以上の選手が出場していることがある。

医師の場合、ここ20年くらいで卒業生の平均年齢が上がったように思われる。この数年に限ればむしろ少し低くなったかもしれない。受験の際に年齢が高いという理由で不合格になった受験生が裁判に負けたこともあるほどである。

医学部の在学生の平均年齢が高くなったのは、日本の経済状況も関係している。また、医学部は自分の在学時より女子学生がずっと増えている。

実際、同級生の子供たちが医学部に入学した話を聴くと、女子の方が多い。現在は、かつてより女子の成績が良くなっているのである。

医学部に女子学生が増え、また平均年齢が高くなると、運動部の運営に大きな影響を来すようである。例えば、ラグビー部が成り立たなくなるなどである。部員が試合ができるほどまで集まらない。(東医体や西医体に参加できない)

それでもなお、成績が悪い男子学生を面接や小論文を操作し優遇して合格させるのは間違っている。

卒後、女子の場合、結婚出産などで結構長いブランクが生じることがある。実際、凄い話がある。例えば、自分の友人の知り合い(実際に会ったことあり)は、母親は九大の医学部を卒業し、非常に短い期間研修医として働いたが、それ以外、医師として働いた実績がなかった。

その知り合いの友人は東大文Ⅰに合格していたので、医師にはならなかった可能性が高い。(このように書くのは、たまに再入学で医師になる人もいるので)

ある時、研修医を1年だけして修了し、そのまま50歳代まで医師をしなかった女性がいた。その女性は精神科ならできると思ったらしい。(研修医は他科だったようだが)。

しかしその病院から、どこか大学病院などで研修医をもう一度最初からしてほしいと言われたという。(今の研修医制度が始まる前の話)

全く精神科はバカにされている話だと思った。この「精神科ならできる」と思うのが専門性をなめている。

女性では全てではないが、このスキルに大きく関係する継続性が保てないことが1つの問題だと思う。ある時、ブランクがある女性の精神科医の指導をしていた際に、なんとデプロメールを知らないことを発見。

日本広しと言えども、デプロメールを知らない精神保健指定医は○○先生だけだと思うよ。

と僕は言った。

オカルト的な話だが、デプロメールを知らないような精神科医が、デプロメールを使っても思うように効かないと思うよ。

過去ログでは、ルーランで同じような記載をしている。ルーラン1㎎や2㎎は、熟練がないとおそらく同じようには効かない。

10年前くらいから思うようになったが、そのような無形のスキルは、どのような経過を辿り、いかなる年齢でピークを打つのだろうか?

ある年齢で、かつてほど治療がうまくいかないことに気付いた時、その落胆はとても大きいような気がする。

僕の病院では、理事長に定年を過ぎてもずっと院長としてやってほしいと言われている。

辞めない理由は、理事長に頼まれているからではなく、今の無形のスキルが保たれている以上、辞めるのは惜しいと言うか、自分の信念に反してると思うからである。

卓球女子、銅メダル獲得!

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連日、オリンピックのテレビ観戦で忙しい。ブラジルは日本のちょうど裏側にあると言われ時差も12時間くらいで、連日、深夜に試合があり観る方もヘトヘトである。

昨夜の卓球女子3位決定戦はまだライブ観戦できる時間帯だった。相手はシンガポールだったが、これは前回ロンドン大会の準決勝で対戦したカードである。シンガポールのエース、フェン・ティアンウェイは前回大会、シングルスの3位決定戦で石川佳純が敗れた強豪だった。

卓球は昔、自分が卓球をしていた当時からルールが変わっており、1セット11点となり、サービスも2球ごとに交代する。昔は、1セット21点でサービスも5球ごとに交代していた。今のルールは1セット11点で終わるので、力が劣る選手でもラッキー(エッジなど)とかたまたま調子が良ければセットを取りやすく、ゲーム性言う視点で面白くなっている。

感覚的に、1セット中で1-3でまけている時の次の1点は自分が取るか相手が取るかで大違いである。(1-4になるか、2-3になるかで大違い)

また、3-6の場面も同様である。(3-7になるか、4-6になるか)

このような場面を想定させるのは、サービスが5点交代だったことに他ならない。また、3-7の場面は、11点で終了だと昔に比べ断然厳しくになっている。

昨夜の最初の福原選手の試合は、1セットごとにそれぞれが圧倒するセットの取り合いになり、観ている人はなぜこんな風になるのか不思議だったかもしれない。これは11点制なのも関係している。あの試合は2-3で敗れたが、どちらが勝ってもおかしくなかった。

石川佳純は前回大会で銅メダルを阻止された相手だった。最初こそ、不安な立ち上がりだったが、その後3セット連取で勝利した。4年経って前回と逆の結果になるのは、石川選手も強くなっているんだと思う。石川選手はこの大会、不運な面があったが、団体戦での精神力が素晴らしかった。彼女は団体戦は1つも負けていないのである。特にドイツ戦で0-2から3セット連取で勝利した試合が良かった。

ドイツ戦は全然勝っておかしくない試合だったが、勝ったとしても中国には勝てそうもないので、銀も銅も大きな違いはない。今回はメダルが取れるかどうかで大差だと思うので、シンガポール戦で勝てて良かった。

ドイツやシンガポールは、中国から帰化した選手が主体になっており、日本は毎回、中国と戦っているようだった。

シンガポールは、史上初めて、今回大会で金メダルを獲得している。それは水泳の100Mバタフライ男子で試合内容も他を圧倒していた。ジョセフ・スクーリング選手がフェルプスなどを抑えて金メダルだったのである。シンガポールは世界で最も金メダルの報奨金が高いと言われており、日本円で7500~8000万程度が受け取れると言われている。

東南アジアの国々は、ほとんど金メダルが取れなかったので国民の関心も薄く、むしろ東南アジアだけが参加するローカルな国際大会の盛り上がりの方が大きかったようである。これはユーチューブなどで東南アジアのサッカーの国際大会などの盛り上がりを観るとわかる。ところが、この4大会くらいで、これらの国々も強化が進み、金メダルが取れるようになってきている。

このようにぶら下がっているニンジンの大きさが断然異なる相手に勝利したのも良かったと思う。

日本は、名誉のために戦って勝ったと言える。日本が日本人だけでチームを組み、オリンピックで戦っているので、中国の人たちも応援しているといったことが報道されている。逆に言えば、それほど中国が圧倒的に強いんだと思う。

とにかく、日本女子が銅メダルを取れてよかった。

単極性うつ対するリーマス増強療法の罠

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リエゾンや転院の処方に、調子のよくないうつ病、うつ状態の患者さんに対し、リーマスを追加されているのを見る。これはマニュアルに沿ったものともいえる。

 

このような患者さんを診た際、リーマスを追加されてこの結果なのか、リーマスが今の精神症状にほとんど関与していないのか、すぐにはわからない。

 

もし、精神症状が良くない状況であれば、処方内のリーマスの意義を検証することも必要だと思われる。

 

これを確かめると、リーマスの追加が意外にうまくいっていないのがわかる。リーマスは、うつ病だけでなく統合失調症の患者さんにも追加処方されていることがあり、処方の複雑さ(1回の服薬錠数の多さ)を来す原因になっている。

 

また、リーマスが追加されてるということは、つまりそれまで治療そのものがうまくいっていないことを示している。例えばこのような処方。

 

サインバルタ 60㎎

リフレックス 45㎎

リーマス  400~600㎎

デパス  3㎎

他、眠剤、下剤、胃薬など。

 

これで良かったとしても調整したいところである。これでまるで良くなっていないのである。

 

このような処方は精神科医以外の医師によることはまず考えられない。いったいどのような医師が処方しているのか興味がわく。なぜ身体科医師の処方ではこのような処方を見ないのかと言えば、彼らはうつ病に対し、リーマスを合わせるなんてまずしないからである。

 

あるとき、以下の処方の患者さんをリエゾンで紹介された。

 

リフレックス 30㎎

リーマス 200㎎

ベルソムラ 20㎎

デパス   1㎎

 

これは少なくとも、無茶苦茶な処方ではなく、むしろ難治性の患者であれば控えめな処方である。良くなっていないのに、サインバルタが追加されていないのは、比較的年配の患者さんだからかもしれないと思った。

 

振戦が著しく、200㎎だとしてもリーマスが関与している可能性がある。このうつ状態の患者さんの特徴は疼痛が比較的強いことであった。

 

この処方は、市内の心療内科クリニックによるものだった。クリニックは受診しやすい面があるが、素性がわからないことが不安点の1つだと思う。クリニックのほかの難点は、待ち時間が長いことと、閉院が稀ではないことだと思う(障害年金を受けようとした際、閉院していて愕然とする)。

 

良い点は、診察の敷居が低いことや、夕方6時過ぎなど遅い時間にも開いていて、平日仕事帰りにも診察を受けられることだと思う。

 

一般の単科精神病院とクリニックの医師の相違だが、結局は医師次第である。従って、技量的には真の精神科医であれば、どちらがより良いとも言えない。

 

上の処方は精神科医だと思うが、比較的経験の少ない医師によるものと思った。(少なくとも10年以内)後で確かめると、本当にそうだった。

 

この患者さんは全然食事が摂れないらしい。リエゾンではうつ状態由来だけではなく、何らかの原因による食思不振の主訴で紹介されることが多い。この患者さんうつ病性昏迷の一歩手前で手指振戦も酷く、薬物が噛み合っていなかった。

 

この処方をどのように変更したかだが、第一感ではガバペンは良さそうである。この病態にガバペンは柔らかい処方だと思う。ただし、リエゾンではガバペンは処方しにくい。ガバペンは適応外処方であるし、何らかの抗てんかん薬を併用せねばならないからである。

 

また異なる理由でラミクタールも処方しにくい。これは重い中毒疹が出た時に困るからである。リエゾンでは無難な処方で改善を目指さないといけないと言う点で、一般の精神科外来ほどの自由度がない。

 

上の患者さんだが、リフレックスをむしろ減量した方が良い印象だったのと、リーマスはむしろ有害な影響を与えているように見えたので、リフレックスを15㎎まで減薬し、リーマスは中止した。そこで、ベルソムラをロヒプノール1㎎に変更し、リリカを50㎎追加してみた。ロヒプノールは、ベンゾジアゼピンと言う点で、ベルソムラより遥かにカタトニアに治療的である。同じ理由で、デパスはそのままにしている。

 

リフレックス 15㎎

リリカ 50㎎

ロヒプノール 1㎎

デパス 1㎎

 

この処方変更の翌日から目が覚めたように改善し、食事も食べるようになったらしい。これは、看護記録及び看護師さんの証言によるものである。なお、看護師さんによるとリエゾンの診察日の翌日に劇的に改善することが結構あるらしい。この翌日からというのが自分でも謎に思うことで、自分の病院では普通、そこまで早くない。薬理的にも翌日というのは不思議な話である。

 

疼痛も90%は消失していたが、これはリリカによるものが大きいものの、うつ状態自体が改善したことも貢献している。また、次回の診察時に、手指の振戦がほぼ消失していたので、リーマスがむしろ悪かったことがわかる。

 

リーマスは比較的止めやすい薬なので、処方されていたとしても対処しやすい。リーマスが使われているケースでは、その意味を考慮することも重要だと思われる。

 

なぜこのようなことになるかというと、マニュアル通りにし過ぎるからである。もう少し患者さんを診て治療方針を考えるべきだと思う。また、上手くいかないケースでは、単に追加するだけでなく、量を減らしてみることも一考だと思う。(厚みのある試行錯誤)

 

ただしこのケースに限れば、リフレックスが30㎎のままだったとしても同じ結果になったと思うけどね。

 

参考

メージ症候群(後半) ]

単極性うつ病と双極性障害のうつ状態

双極性障害のうつ状態エピソードに対する治療についてNEW!

リーマスとNNT(Number needed to treat)

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