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オーストラリアの犬

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kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

オーストラリアの犬を撮影。

この日は暑かったこともあり、このように寝そべっている。一応、オーストラリアにも犬が生息していることを記録しておきたい。

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

微妙に動いていることに注意。背の曲がり具合とか・・

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

ここはブリスベンの山奥だが、このように少し亜熱帯風の花も見られた。

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

名前は知らないが、赤い花。


kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

オライリー&レミントン国立公園の道路標示。オーストラリアの信号や道路標示は日本に比べ低い位置にある。

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

衝撃の看板。

なんとオーストラリアでも、ネコが飼われているのである。

どこに行ってもノラネコを見たことがなかったため、漠然とネコは制限されているのではないかと思っていた。

オーストラリアの飼い猫がノラネコ化した場合、オーストラリアの有袋類はトロい動物が多いため、一部は絶滅しかねないと思う。


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知らないものは試みることすらできない

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過去ログに、精神科に限らず医療全般には記憶は重要と言う話が出てくる。

患者さんに、あの薬を使ったらどのような経過を辿り、いかなる結果になったかが臨床経験となり、その積み重ねがそれ以降のデータベースとなる。脳内のデータベースはあらゆる治療局面での判断材料となるのである。

同時に、副作用の出方やその経過も重要である(例えば脱毛が出た際、中止後、副作用の消失までの期間)。

その意味とは少し異なるが、特に薬物治療の場合、

知らないものは試みることすらできない。

というのも大きい。例えば、カタプレス、デパケンシロップ(デパケンR)、エビリファイなどの使い方である。

少し難しいのは、薬は同じ人でも効かない時期(病期)があること。今使ったら、いかなる薬も失敗に見えそうというのがある。

だからこそだが、一見失敗に見えるが、保留すべき事象ももちろんある。それも含めて、臨床経験と言える。

トピナなどは最初、10人に使って1名くらいしかうまく行かなかった。しかし、今は同じ結果にはならない。当時は、トピナを使いこなせるとは到底思えなかった。

トピナを見ていると、薬物というものは、

有効率の高さのみに価値があるわけではないのがわかる。


参考
トピナのテーマ

何時間くらい寝ていますか?

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アメブロメールで、自分の睡眠時間について聴かれた。記事にしても良いという内容だったので、今回この場を借りて。

一応、質問されるのは、仕事柄、慣れてますので・・

過去ログに少し書いているが、僕は高校時代~大学時代は平均して体調が悪く、睡眠時間はある程度しっかり取らないと、体が持たない感じだった。友人と徹夜マージャンをしたらどっと疲れた。

嘘みたいな話だが、今の方が徹夜の時の疲労が少ない。

大学時代は、平均7時間から8時間は寝ていたと思う。ずっと子供の頃(小学校6年くらい)クラスで睡眠時間の調査があり、僕は9時間は寝ていたので、そのように書いた。しかし、友人はそこまで長く寝ておらず、6時間とか7時間の子供もいたことに驚いた。

仕事を始めた後は、勤務時間や仕事のハードさの他、通勤時間にも睡眠時間は影響するように思った。過去ログに、結婚後、大幅に体調を崩す話が出てくる。少なくとも、1~2年は最悪の状態だった。

結婚するときちんと生活するようになるので健康状態が良くなるというのは幻想であり、そういう人も多いのだろうが、全ての人でそうなるわけではない。

これはスポーツ選手の成績などを見ていてもわかる。

この時の記事の通り、朝食を抜くことで(つまり摂取カロリーを減らすなど)、元気さを取り戻した。結婚直前は、そう悪くなかったと思う。この結婚前と結婚後の睡眠時間も7~8時間だったが、結婚後は8時間寝ても疲れが取れない感じだった。

ここ2~3年くらいは不思議なことに仕事は結構ハードなのに、4~5時間睡眠で元気である。これはある意味、悲しい話なのであるが・・

4~5時間とは言え、できるなら最低5時間はほしい。5時間寝ると疲れも一掃される。

ナポレオンのごとく3時間睡眠ではやはり疲れるが、その日はなんとかなる。ところで、ナポレオンは実は昼寝をしていたと言う話だ。

僕はオーベンに昼寝厳禁と言われていたこともあり、一切しない。(睡眠バランスを崩すため)。それと起きた直後の締まらない顔で診察したくないこともある。仕事に支障がないようにするためには3時間睡眠は好ましくない。

僕の場合、3時間寝ると体と脳が一応翌日になっているが、2時間だと前日の延長感が漂い、体調も思わしくない。

2時間睡眠は、体も脳も夜が明けないといった感じ。

若い頃は徹夜の場合、全く仕事にならない上に、患者さんのファンタジーにも気を遣わないといけないため、徹夜で仕事をするなんて皆無に近かった。(過去ログにある)。

今も徹夜で仕事をすることはまずないが、徹夜でも動ける状態にはある。徹夜でも夕方まで普通に動けるのである。これもある意味悲しい。

嫁さんもこれについては同じことを言っており、2人で悲しんでいる。

ヒトは年齢を重ねるにつれて、あまり寝なくても良くなるのである。

参考
自分は2度死んだので多分長生きしますよ
婚活についてのことなど

トピナを飲むと怒りが溶けていく

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トピナは実に不思議な薬で、このブログでもたまに記事をアップしている。トピナはどちらかというとアップ系の薬で「うつ状態が緩和する」という人がいる一方、自覚症状の変化を感じ取れない人も多数。

本人は何も変化を感じないが、家族が良くなっていることに気付くこともある。

ある時、診察中に、

トピナを飲むと怒りが溶けていく。

と語った女性患者さんがいた。ただし、

やる気も削がれる。でも、うつになるというほどではない。

と言う。彼女の場合、うつにも効いているのであろうが、どちらかというと効き方は抗精神病薬に似ている。あるいは抗てんかん薬的とも言える。(実際、抗てんかん薬だし)

この言葉「怒りが溶けていく」だが、どうも似たようなことをどこかで見たような気がした。わりあい知られた精神分析的格言として、

「超自我はアルコールに溶ける」というものがある。

飲酒は、一般に緊張、不安やさまざまな精神的苦痛を軽減する傾向がある。不安感が強く対人緊張が強い人が、時にアルコールを飲んで人前に出るのは、その不安を軽減するからである。そのような習慣を契機に次第に依存症に至る人もいる。

アルコールは誇大的な感覚をもたらす。アルコール摂取は、時に低い自己評価を曖昧にし、自らが有能であるという感覚を引き起こす。

音楽の記事に時々出て来るモリッシーは、多くの聴衆の前で歌うことにかなり緊張を感じるらしく、必ず1杯のワインを飲んでステージに上がると言う。


Irish Blood, English Heart(Morrissey)
モリッシーはアイルランド系イギリス人。マンチェスター出身で今年プレミアリーグで優勝したマンチェスター・シティFC のサポーターでもある。マンチェスター出身のロック・ミュージシャンはたいていマンチェスター・シティFCのサポで、世界的に有名なマンチェスター・ユナイテッドのサポは少ない。

参考
トピナは精神療法をするのか?
リフレックスの悪夢とトピナ⑨

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フェージング

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子供の頃、海外の短波ラジオ放送を聴く趣味があった。海外から発信される日本語放送で、内容的には共産圏でもあまり乱暴なことを言わず、比較的穏やかなものが多かったように思う。

今はどういう風になっているか詳しくないが、当時のラジオはわりあい短波も聴けるようになっていた。日本の短波放送は2つの放送があった。

短波では日中はニュースや学習もの、株式マーケットの実況、競馬などの放送がされていた。これらが短波で放送されたのは、短波は遠距離でも受信できるため、たぶん1つの電波塔で広くカバーできたからであろう。例えば、インド洋を航行しているコンテナ船の船員でも聴取できるからである。

ある周波数帯では、共産圏の人が資本主義国の放送を聴けないように妨害電波が発せられていた。その周波数は雑音だけで何も聴取できないのである。

短波放送は日や時間により、あるいは天候も関係しているのか、電波状態の良し悪しの差が大きかった。継時的に電波状態がサインカーブを描くように変化していくと、よく聴こえる時間がしばらくあり、次第によく聴こえなくなる。その繰り返しはフェージング現象と呼ばれた。

タモリは今でこそあまり芸をしないが、若い頃は、このフェージング現象をうまく真似したお笑いネタがあった。(それ以外では麻雀ネタなど)

当時、海外の短波放送を受信したことを知らせる手紙を出すと、その放送局から、証明書のような記念品が送られてきた。絵葉書のようなもので、実に慎ましやかな趣味だったと今でも思う。

海外の短波放送を「聴くことだけ」が趣味であり、内容なんてたいして重要ではないのである。

ロシアの声(Voice of Russia)の日本語放送は今年70周年を迎えるらしい。元々、ロシアの声は世界の5大ラジオ放送局の1つで、1929年10月29日に開局。その年内に、ドイツ語、フランス語、英語放送を開始している。日本語放送は1942年4月開始なので、まだ第二次世界大戦中である。

独ソ戦のスターリングラードの攻防戦は、1942年6月28日から1943年2月2日である。ということは、日本語放送の開始は政治的意味合いが結構あったように今では思われる。

日本とソ連は1941年4月に日ソ中立条約を結んでおり、そのためソ連は東部戦線に配備していた精鋭部隊を西部戦線の独ソ戦に向けることができたからだ。

子供の頃、実際に「ロシアの声」を聴いていたのかどうかよく思い出せない。いくつかの放送局から、記念品はいくつか貰ったが今は残っていない。

フェージングはいかにもアナログ的な現象であるが、あれを医療に活かせないものか?と時々思う。

電波に限らないが、鮮明に聴こえるより、むしろノイズが混入し不鮮明な方が良いことが日常生活の色々な場面で見られる。


今の人は、「鮮明さ」に慣れすぎていると思う。

参考
トピナ再考
オーディオとエイジング



ウサギのペンダント

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kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

嫁さんが、ウサギのキーホルダーかペンダントか知らないが買ったらしい。

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

裏はこんな風に仕上げられており、衣服の繊維に引っかからないようになっている。これはアビステに似ている。

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

実は、よく見ると、ウサギの着ぐるみを着たキティちゃんなのでした。目とお鼻の横のヒゲが決定的らしい。(まさかネコだとは気付かず買った)

これは見かけよりは安く(2000円しないくらい)、お店に1個しか残ってなかったという。

参考
キティちゃんの携帯ストラップ

精神疾患と生活保護受給について

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最近、お笑いタレントの次長課長の次長の母親が長期に渡り、生活保護を受給していたことが明らかになり批判されている。

このブログは、基本的に時事に関連することは記事にしないことにしている。

これは結構気を遣っていることで、そのためにボツ原稿になるもの多数。過去にはそういう記事もわずかにあるが、長期間ブログを続けているわりにかなり少ないのではないかと思う。それはそういう風にならないように注意しているからである。

数ヶ月前、京都でてんかん治療中の人が通りを暴走し、多数の死亡者や怪我人が出た事件があった。当時、ちょうどジョイ・ディヴィジョンのイアン・カーティスの記事を準備しており、まさにアップする直前だったが、そのままお蔵入りになった。

彼のてんかん発病後の精神状態の変化や、彼の特異な楽曲についての内容であったが、あのような事件の最中には、死亡した人の家族や怪我をした人の心情を考慮すると到底アップできない。もちろん、イアン・カーティスが自殺で短い生涯を終えていることもある。

京都の事件についてだが、過去ログにヒントになる記事がいくつか出てくる(参考)。あの事件は精神科的にも精神鑑定的にも難解な事件だと思う。てんかん発作のあり方と言うか、てんかんには色々な精神症状があることを意味している。ただ、当事者のてんかんの若者は死亡しているので全貌を解明するのは難しい。

今回の「次長」の母親の生活保護の事件?は、犯罪ではないし、この機会に生活保護の現場的なものを紹介する機会になると思ったので、特別に記事にすることにした。

普通、精神科の患者さんは精神病などで働けないような際、生活保護を決定する前に障害年金の受給が可能かどうか生活保護課のケースワーカーから病院に問い合わせがある。保護課の人はその人の精神疾患の種類や重さをあまり考慮していないため、全く障害年金に該当しないような精神疾患の患者さんにも申請書類を渡すこともある。そのため、患者さんは、

自分は障害年金を受けられるのに長い間放置されていた。

と誤解することがある。精神科医は障害年金に相当するほど重篤であれば、普通はこちらから言う。過去ログには、それでも障害年金を受けないと言う人が少なからずいるという記事をアップしている。(それどころか、家族が本人に障害年金のことを言わないでほしいと頼まれることもある)

障害年金を受けることは例えば両親が億万長者であっても可能だが、辞退する自由はある。

上の文章の前半は生活保護のルールとの大きな相違でもある。

一般に、単にパニック障害だけとか、摂食障害やボーダーラインの人は障害年金に該当しない。それはそういうルールになっているからである。

ただ、ボーダーラインの人でも社会適応が相当に悪く、しかも家族の介助がかなり必要で、しかも双極性障害の精神所見が見えるケースでは、「躁うつ病」の診断で障害年金の受給は可能な人もいると思われる。

過去ログで摂食障害で障害年金を受給できた話がアップされているが、あの患者さんは実質的に統合失調症と変わりがないほどの「器質性荒廃」がみられたからである。あの時代は「神経性食思不振症」の主病名で良かったが、今はそれでは難しいかもしれない。統合失調症でないものを統合失調症と書くことはできない。それはもちろん不正である。

明確に精神科障害年金を受給できる精神疾患、例えば「統合失調症」でさえ、国民年金ないし厚生年金などの公的年金を十分な期間納めていない時期に初診した人は、障害年金を受給できない。それどころか医師の診断書も提出できないため、門前払いと言える。この点で、公的な障害年金は民間の生命保険に似ている。

真に精神障害で働けない状況で、しかも金融資産もない人は明日の食費すらないため、生活保護に頼らざるを得ない。

このような状況の人は、たとえ統合失調症ではなくても条件を満たせば生活保護は受けられる。

その面では、生活保護の受給条件は精神の障害年金ほど精神疾患の種類を問われない。ただし、保護課のケースワーカーも同じ人間なので、心情的に共感できない理由で生活保護申請に至った人はけっこう渋るものである。(結局は生活保護になるが・・)

例えば、かなりの金融資産を持っていたのに(数億とか)、躁状態で短い期間に想像を絶する浪費の末に破産状態になったような人である。

これは一般人の感覚では自業自得だが、精神科医はそうは思わない。これこそ、躁うつ病の疾患性でもある。

このような患者さんは、保護課の人に病院まで来てもらって説明し、なんとか生活保護を受けられるように努力する。

生活保護を受ける際、保護課の人はその当事者の親族に援助できる人がいるかどうかを調査する。今回の次長の話でも出てきたが、親族はどのくらい援助できるかわかりにくいことがあるのである。

ある時、慢性期で重い統合失調症だが、障害年金の受給資格がないため障害年金が受けられず、生活保護を受給している人がいた。その人はきちんと国保でも納めていれば、おそらく1級が可能であった。

重い精神障害のために長期入院している人は、障害年金の受給資格がない場合、生活保護を受けているのが普通である。生活保護の制度がないと、入院治療すらできない。入院を継続せざるを得ないほどの精神病の場合、金融資産の条件を満たせば、十分な受給資格になる。

しかし、その場合でも保護課の人は家族に援助できる人がいるかどうかを調査する。その入院患者さんの姉に当たる人はそれほど裕福とは言えなかったが、毎月5000円だけ援助していた。それでも毎月5000円援助があれば、保護課の支給は減額できる。

彼の姉は毎月、お菓子を買ってきて面会室で一緒に話をしていた。僕はたまに面会室まで行き、彼女に挨拶し彼の姉との会話などを見ていた。

過去ログに、健康な人は「あたかも統合失調症のようには振る舞えない」と言う話が出てくる。(例えばこの記事など)

彼女は、ひょっとしたら1万円くらい援助できたかもしれない。

しかし、保護課の担当ケースワーカーからすると、さほど裕福でもない姉が5000円だけ援助する気持ちを確認するだけで十分というか、それ以上は言いにくい心情は働く。彼女は、彼の母親ではなく姉なのである。姉であるということは、彼女の夫の気持ちやその家族の気持ちを考えるに、あまり多くを出させるのは難しいと思うのが普通だ。彼女にも家族があるから。

このようなことは、なんだかドラマみたいだが、人間模様の世界なのである。

精神科患者さんの生活保護の家族の援助の可否を調査する際に、一般でもそうかもしれないが、家族関係に制約がある場合がある。

例えば、ある患者さんが精神症状が活発な時の武勇伝のため、家族に多大な迷惑をかけていて勘当されているケースなど。

この場合、家族は「彼(彼女)は他人だからどうなっても良い」とか、「援助なんて到底できない。こちらがお金を返してほしいくらい」くらいは言う。このような家族は援助できるほどであっても、強制的に援助をさせることは難しい。これは法的な強制力がないから。結局、保護課で話し合われ、結局は援助してもらうのは諦めるのではないかと思う。

精神科病院の入院患者で生活保護の人で、なんらかの毎月の援助ができる家族は限られている。その理由だが、精神疾患は統合失調症に限らず、だんだん貧乏になる疾患だからである。それは就労ができないか、できたとしても制約が大きくなることと関係している。

精神疾患で生活保護の良い点は、次第に精神疾患が回復した場合、働けるようになり、生活保護を終了できる人もいるし、部分的に働けて、生活保護の受給額を減らすこともできることである。(段階を踏めるのが良い)

過去ログに出てくるある患者さんは、ある病院で今後退院できそうにないと言われたが、今は月に20日くらい5~6時間ほどだがコンビニで働いている。その人の場合、働けるようになるまで6年くらいかかった。

今、5~6時間ほど働いても、6~7万円ほどにしかならない上、生保を減額されるためそこまで使えるお金が増えるわけでもない。しかし、入院している時期を考えると大変な回復である。本人は、少しでも「働くこと」に価値があることがわかっているのである。(過去ログのこの男性も同様)

今回の次長の話だが、今朝、実は次長課長ではなく、かつて次長課長社長のトリオだったことを初めて知った。(東京03のように)。

その社長は既に芸能界を引退しており今は美容師をしているという。彼がテレビでインタビューに答え、いかに駆け出しの頃、貧しかったかを語っていた。

彼の話の範囲では、お笑いの業界は往々にして人気と収入が短命に終わることがあることに触れていたが、次長を擁護するつもりはないが、彼にはそういう心理も働いていたと思われる。

実際、母親を放っていたわけではなく、いくらかは援助を続けており、この1月から保護課との話し合いで増額していたらしい(辞退していないのは謎)。

次長の年収5000万円が事実だとすると、相当な額の税金を納めていると思われる。だから、このくらい納めていれば、母親が多少援助を受けていても問題ないと思ったのかもしれない。彼の税金の額から考えると、母親の受給額は彼が援助をしているのなら誤差範囲である。実際、受給をされているのは正しいと語っているし。(わけはないか・・)。

この問題が大きくなったのは、彼自身が母親が生活保護を受けていたのをいろいろな人に話していたからである。彼はそういうことを公的な場で言ってしまうと、このような問題が生じることに考えが及ばなかったのではないかと思った。

僕は、次長はボケッとしていただけで、おそらく悪意はなかったのではないか?と言う考え方をしている。真の悪意があるのであれば、そういうことを他人には言わないし、部分援助もしていないと思う。

個人的に、親がお金で困っているのなら、自分に金銭的余裕があるのであれば援助するのは当然だと思う。


とてもじゃないが2週間も待ちきれない

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ある日、初診の女性患者さんに2週間処方をしようとすると、

とてもじゃないが2週間も待ちきれない。

と言われた。自分の場合、初診の時は7日目に来て貰うことが多いが、他所の精神科病院やクリニックにかかったことがある人や、自宅までの距離がやや遠い人は、あえて2週間処方することもある。これは処方する薬の内容にもよる。

それはそれで、こちらも気を遣って2週間処方をしようとしているのである。

最初の彼女の言葉は、よほど今の症状がきついことをよく示していると思う。「では何日分くらいが良いですか?」と聴くと、「5日分くらい」と言うので、実際に5日分処方し、困ったならすぐに来て良いと伝えた。

彼女は結局、3日目に再診しているが、その時は既に改善の兆しがあった。彼女の場合、ありとあらゆる病院で良くなっていない上、根気がないのかすぐに病院を変わるようなので、急に来なくなることもありうるのではないかと感じていた。

彼女は比較的色々な薬が服用できるが、極めて効果的に見える薬がなかった。平均して5日以内に再診していたと思う。

うちの病院の特に自分の場合、いつもスピード診察なので、何時来てもあまり待たないで診察を受けられる。来る度に2時間以上待たされていたら、たぶん彼女は通院が続かなかったと思われる。

過去ログに診察回数が増えれば増えるほど、精神症状は良くなると言う話が出てくる。診察回数が多いのは、たとえスピード診察だったとしても治療的である。

ただし診療報酬上、特殊な状況を除いて、1週間に1度しか通院精神療法は取れないため、2日ごとに再診しても診察代はたいした額にならない。まして自立支援法の診断書を出している人は上限があるため、窓口で支払う額はそこまで大きくならないのである(その人の家庭の収入にもよる)。

初診後、2ヶ月経っても、まだ全体の40%しか改善していなかった。全快とまではいかないのである。彼女は身体表現性障害に当たる疾患だが、かなり珍しい主訴である。

その後、わずかずつだが改善傾向にあり、最近では10日~14日に1度くらいのペースで再診している。

彼女は「うつ」がなく、自覚症状がメインなのでパッと見た場合、重篤感がほとんどない。(参考)。本人が悪いと言うなら、やはり悪いのである。それでも彼女が訴えている内容や話し振りにより良くなっている程度はわかる。

通院のぺースが伸びていることも改善していることを示している。「とてもじゃないが2週間も待ちきれない」という初診時の言葉は、耐え難いほど苦痛があったことを示している。あの言葉も精神症状の一部なのである。

なお、僕の患者さんでは、1年以上に渡り3日ごとくらいに再診していた人がいる。その人の場合、最初の2ヶ月くらいは入院していた方がたぶん良かったと思う。

参考
病院には来れば来るほどそれに比例して良くなる
重篤感がないこと
精神科は主観的所見を解釈していく科

リリーフ成功というやつ

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昔、野球のファンの頃、月曜日は手持ち無沙汰だった。試合がないから。

朝からテンションが低い。今から考えると、日々の試合にかけているものが違う感じだった。

もちろん、かけているのは人生である(笑)。

当時、テレビを観ていたら、カープのファンでアウェーの試合も全て応援に行くオッちゃんが出ていた。まだ子供の僕は、なんと幸せな奴、と思ったが、同時にどんな仕事をしているのか気になった。

その皆勤賞でカープの応援に出かけているオッちゃんは自営業だった。しかし、ほとんど奥さんに仕事を任せていたのである。

奥さんは、「好きなものは仕方がない」と半ば呆れ気味にインタビューに答えていたが、全く昭和という時代の最後の頃は、幸せな世の中だったと思うよ。

最初に月曜日は試合がないと書いているが、たまにどこかの球場で試合をしておりラジオ放送もされていた。パリーグの試合のこともあった。

東海ラジオゥ~、ガッツナイタ~

というチェンジの際の音楽を聴き、

中日ファンは、いつもこれを聴いているのか・・

と、なんとなく感心した。野球ファンはサッカーに比べ戦友の意識がより強く平和的だし仲が良いと今では思う。

うちのオヤジは熱烈な阪神ファンだったが、同時にアンチ巨人でもあり、阪神の試合結果と同じくらい巨人の試合をチェックしていた。

だから、たまに同時に阪神と巨人の試合が別々にラジオ放送があると、ラジオを並べて2試合を聴いていた。近くに行くと、耳が痛いと言うか、苦痛なほどのほどの騒々しさである。

まったく聖徳太子のような男だな・・と思った。(参考

オヤジを見ると、「好き」の反対は「嫌い」ではなく、「無関心」であるのがわかる。

日本人はせっかちなので、毎日のように試合がある野球の方が興行的には向いていると思う。結果も早く出るし点も良く入る。

サッカーに至っては、ホームで何ヶ月も勝たないこともありうる。それどころか、点数すら入らないこともある(参考)。これって、当時のオヤジには到底耐えられないと思う。野球はルールが難しいが、嵌ると結構面白いスポーツである。

あるドイツ人のインテリの人が日本に住み始めて、初めてテレビで野球の試合を観ていたところ、なかなかルールが理解できなかったという。

確かに、野球は外野に玉が飛んでいったとしてもゴロとノーバウンドの飛球では大違いである。ファールの扱い方も難しい。野球は球場も特殊だし、海外に広まりにくいスポーツだと思う。

野球は元々、アメリカに戦争に負けたから広まったわけではなく、戦前から結構人気があるスポーツだった。北杜夫の私小説でも野球の話が良く出てくる。戦前に親善試合のためベーブ・ルースが来日している。世界のうち、環太平洋で最も野球の人気が高い。

今は僕はあまり野球は観ない。だから選手の名前をあまり知らない。名前も守備位置も知らない選手が、サッカーのJ2の1チームの総年棒くらいの報酬を貰っているのは脅威である。

サッカーは普通1週間に1度しか試合がない。ホームという視点では2週間に1度である。野球はやらない日の方が少ないので、スポンサーのコマーシャルの視点で、興行的に野球の方がサッカーより価値が高いのは理解できる。メディアへの露出度の相違である。

それでも10年単位で観るとサッカーファンは増えている。これは日本がワールドカップに出場し始めたことや、ブンデスリーガの香川のように海外で大活躍する選手が出始めたことも大きい。若い世代でよりサッカー嗜好が高いので、野球とサッカーの人気の比も逆転する日が来るのかもしれない。

ところで、野球ではリリーフ専門の投手でも2種類ある。いわゆる中継ぎ専門と締めくくりのリリーフエースの投手である。もちろん後者の方が価値が高く、優れたピッチャーが担当している。よほどの若手でない限り年棒も高額である。

しかし、中継ぎの選手の良し悪しは長いペナントレースを勝ち抜くためには非常に重要である。中継ぎのピッチャーがいつも打たれると敗戦が決まってしまう。そういう試合ではリリーフエースも出てこない。リリーフエースが毎日のように出てこないということは、最近は完投率が低いので、ほぼ負け続けていると言える。

リリーフエースで、会心の当たりを良く喰らうのに、いつも締めくくりに成功するピッチャーがいる。

よく野球であるだろう。リリーフに出てきて、会心の打球が横っ飛びのサードライナーとかで終わる感じ。今日の調子はあまり良くなかったけど、結果的にリリーフ成功というやつ。

調子が良い日は平凡に締めくくり、調子が悪い日はラッキーで締めくくる。そういう選手である。

いつも彼はついているのである。それこそ彼の能力でもある。

精神医療では、個々の患者さんを初診からずっと診ることもあるが、全体を通せば、リリーフ的に入ることが多い。だから、いつもついていないとやってられないと思う。

序盤で治療に苦しむことがある。何をやってもうまく行かない時である。そういう時、自分はいつもついていると思うのと、いつも不運だと思うのでは全く結果が違う。

過去ログに治療者はいつも楽天的な方が良いという言葉が出てくる。これと同じである。

たぶん、治療の際の患者さんにかける「言葉の重さ」や「薬の効果」に相違が出るんだと思う。医療には、精神科に限らず、メンタルの影響が大きい。それは家族も同様である。

今回の記事は野球で始まったが、オカルトで終わっている。

このブログは精神科におけるサイエンスの部分とオカルトの部分が、ほど良くミックスされているのが特徴だと思う。

参考
20歳前の人なら、まずは25歳くらいまでに良くなれば
躁状態と連動する幻聴
アイルランド vs オーストラリア 1991

統合失調症と前立腺肥大症

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精神科の臨床をしていると、統合失調症の男性患者さんにほとんどと言ってよいほど、前立腺肥大症が合併しないことに気づく。

しかし、うつ状態やうつ病、神経症の人では治療開始後に合併することもあるし、初診時に既に治療中の人もいる。

ここで重要なのは、既に前立腺肥大症が生じているケースでは、処方禁忌ないし慎重投与とされている抗うつ剤があること。例えばアナフラニールは尿閉を悪化させるため前立腺肥大症の人には禁忌である。サインバルタは、禁忌ではないが慎重投与となっている。

実は、昔の日本人は現在より前立腺肥大は多くなかったらしい。それはここ数十年の食事の西洋化にも関係しているという意見がある一方、そうではないという意見もある。

いずれにせよ、かつての日本人には、前立腺肥大になりにくい生物学的ないし食事を含めた生活環境があったようである。

統合失調症は普通、思春期からせいぜい30歳代、稀に40歳代に発病する精神病であり、前立腺肥大とは発症年齢がかなり異なっている。ということは、初診時に統合失調症と診断しても、年齢的に前立腺肥大はまだ生じていないのが普通である。

統合失調症の場合、抗精神病薬を服薬していない人のほうが稀なので、第一感としては、抗精神病薬の服用により前立腺の肥大を抑制しているのでは?という考え方が自然である。

実際、この考え方は合理的に説明できる。前立腺肥大の治療の1つに交感神経α1遮断薬、例えば、ハルナール、フリバス、エブランチル、ユリーフなどが処方されているからである。

元々、抗精神病薬はなにがしかのα1遮断作用を持つものが多いので、統合失調症の患者さんは若い頃から、既に前立腺肥大を抑える薬を飲み続けていることになる。だから、前立腺肥大症にほとんどならないのであろう。

$kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)-薬物プロフィール

上は、6年くらい前にアップした主な非定型精神病薬の薬物プロフィールであるが、たいていの薬でα1遮断作用を持つ。セロクエルはこの副作用のために、起立性低血圧が生じることがある(そのため、この記事はセロクエルのテーマに入れている。深い意味はない)。

統合失調症と前立腺肥大症と抗精神病薬を考えるに、1つの謎がある。

それは抗精神病薬による血中プロラクチンへの影響である。プロラクチン値の上昇は抗精神病薬の中でも特にドグマチールとリスパダールで生じやすい。プロラクチンが高くなると、女性では乳汁分泌、月経不順、無月経、不妊などが出現する。男性でも性機能障害(勃起障害、射精障害)が生じうる。

元々、プロラクチン自体は前立腺肥大の促進因子なのである。プロラクチンの値が高くなると、テストステロンの代謝物質であるジヒドロテストステロンが増加し、その結果、前立腺が肥大するメカニズムがある。

たぶん、前立腺はプロラクチンの上昇より、抗精神病薬のα1遮断作用の方がずっと影響が大きいのであろう。近年の抗精神病薬はたいしてプロラクチンを上昇させないのも関係がありそうである。

抗精神病薬のプラスもマイナスも含めた総合的な薬理作用により、統合失調症の人は前立腺肥大症になりにくいと思われる。なお、統合失調症の疾患特性として、これがあるのかどうかはよくわからない。

参考
高プロラクチン血症
リウマチの人は統合失調症になりにくいという謎
統合失調症の人の癌の罹患率
統合失調症と痛みの感覚
統合失調症と加齢臭


マンションにゴキブリがいない件

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ずっと謎に思っていることの1つに、

マンションはゴキブリが出てこない。

ことがある。これは今まで何回か引越してきてどこもそうだったので、たぶんゴキブリはマンションは住みにくいのではないかと思っている(←謎)。

ちょっと不思議なのは、玄関を出たフロアで1度だけ、本当に小さな子供のゴキブリが死亡していたこと。

玄関のドアなんて、ゴキブリにとっては十分な隙間があるので、外にいるなら中にいてもおかしくない。

嫁さんは、ゴキブリがエレベータで上がってきて、家の中に入ったら一巻の終わり、などと言っているが、全然終わらないのである。それもここ15年以上。

高層マンションになると部屋に蚊も入ってこない。うちは微妙な高さらしく、ごく稀に、10年に1度くらい蚊が家の中に入り、嫁さんと一緒に大変な騒ぎになる。1匹だけでも飛び回る蚊を駆除するのは大変なことだ。

一度、蚊に喰われたまま、自宅の部屋まで連れてきたことがあった。エレベータで上がる間もずっと蚊が血を吸っていたのである。その蚊は満々と血を吸っており、もう動けないようであった。あるいは僕の血の毒で体が麻痺していたのかもしれない(謎)。

僕は蚊すら殺すのは嫌だが、嫁さんが許さないのでやむなく殺害した。血が飛び散り、衣類を少し汚した。

うちが一戸建て住宅を好まず、マンション嗜好なのは、防犯とゴキブリと蚊の安全面も大きい。(笑)

いつだったか、旨いと評判の寿司屋に嫁さんと行って食べていたら、カウンターの上を巨大なゴキブリが疾走した。あの走りは見事で、カウンターにいるお客さん全員にその走力を披露していた。

そして、その場にいたお客さんは大爆笑。

嫁さんは一気に食欲が失せたと言うが、旨い寿司屋は「こういうのが良いんだ」と僕は言った。店主も全くといって良いほど気にしてなかったし。


普通、いかなるレストランも厨房は怪しいものだと思っているのもある。(嫁さんはゴキブリが大嫌い)

握り寿司はネタが重要と思うが、お米の炊き方や握り方もあるんでしょうなぁ・・きっと。

握り寿司は酢を使っているので、その殺菌作用で、ゴキブリの不潔さもいくらか緩和するのでは?と思ったりする。

ハエがたかって、真っ黒になるほどのご飯を食べたことがある?

昔の精神病院の検食(医師は検食をしなくてはならない)は、作ってから時間が経っている上、たまたま非常にハエが多い地域だったこともあり、真っ黒ほどはないが、白いところがむしろ少ないほどのハエがたかったご飯を食べていた。

僕は腸が弱いほうだが、食べたからどうなると言うものでもなかった。これはさすがに食欲をそそらないが、それしかないなら食べる他はない。(O157などを持ってくるので、ハエは基本的に不衛生)

過去ログに、ニャンニャン飯にして何時間も経過しているご飯を院長が食べて見せたが出てくる。自分としては、あれは相当に食べ辛いが、ハエがたかったご飯はまだマシである。本当は逆の感じもするが・・

最近、海外のとんでもない僻地に住んでいる日本人を訪問するテレビ番組がある。あのような番組は夫婦で好きなので、よく観ている。

インドとかアフリカでは、ハエがたかりまくっている食事を食べているのを良く観るので、人間はやはり慣れも大きい。やはり「それしかないなら仕方がない」。

住環境を含め、人間の感性は意外に徹底しておらず、そこだけ異常に清潔ぶっても、首尾一貫しようがないのがポイントなんだと思う。

目に見えているものだけを清潔にしても無意味とまではいえないが、そこまで安全にならないのである。

参考
マンションのセキュリティについて

統合失調症と現実感

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今回の記事で出てくる統合失調症の女性患者さんは、今は落ち着いており、日常生活は自分で何でもできるような人である。

ある日、診察中に、「自分は以前より現実感が出てきた」と言う話をしていた。詳しくその内容を問うと、

以前より現実感が出てきた。他の人が自分どう思っているかとか。自分は何なんだろうとか。

その直後、彼女は興味深いことに言及する。それは悪かった頃の武勇伝について。

近所の人に変に思われていると思う。自分も両親もですけど。相当変な家族と思われていますよ。近所に菓子折りを持っていった方が良いんでしょうか?

僕は、「十年以上前のことでそんなことをしたら、かえって変ですよ」と伝えた。何かあった直後ならまだしも・・

彼女は納得したようであるが、もしその話が診察中に出てこなかったら、自分の判断でそうしたかもしれないと思う。

病状が良くなっている統合失調症の人に、時に見られる奇妙な行動は、現実感の消長が原因の1つなのかもしれない。

病状が改善し現実感が出てくることすら、奇妙な行動の原因になっている。

参考
ダーウィン第4惑星


カワイコちゃんのコアラをアップしてみた

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kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

まだアップしていないカワイコちゃんのコアラ。動画をアップできないのは残念。このコアラは正面からよく撮れている。

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

オーストラリアで有袋類が生息しているのは、ここでは有袋類の繁殖の仕方が有利だったと言う話がある。

有袋類は極めて未熟なまま出生するが、その分妊娠期間が短い。この短い妊娠期間が有利なのかもしれない。

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

コアラを良く見ると、一匹ずつ微妙に顔立ちが違う。

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

何かを見ているもよう。

コアラは近くのものしか見ないので、あまり視力が良くないように思うが、実際はどうなのだろう?

ストラテラと18歳以降の初診の人

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ストラテラの効能・効果は、現在

小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

となっているが、2年ほど前から、18歳未満にストラテラで治療を始めた人に限り、18歳以降も治療継続が可能となっている。添付文書では、

18歳未満で本剤により薬物治療を開始した患者において、18歳以降も継続して本剤を投与する場合には、治療上の有益性と危険性を考慮して慎重に投与するとともに、定期的に本剤の有効性及び安全性を評価し、有用性が認められない場合には、投与中止を考慮し、漫然と投与しないこと。

と記載されている。これは18歳以降も薬物治療が必要な人が少なからずいることを示している。この適応のルールは、注意欠陥/多動性障害が人生の早期に診断されることが前提になっていると思われる。

ところが、例えば多動が目立たず注意欠陥の方が主にみられるタイプの人は、18歳未満で見逃されるケースもあり、18歳以降の初診でも処方できるように国に働きかけがあったのであろう。

ごく近い将来、日本でストラテラが18歳以降の初診の人で使えるようになるらしい。(現在は承認前である)

Running Up That Hill(Placebo)

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Running Up That Hill(Placebo)

ケイト・ブッシュの名曲、Running Up That Hillのプラシーボによるカバー。この邦題は「神秘の丘」。

この題名は、元々Running Up That Hill (a Deal With God)とクレジットされている。だから、正確には「神秘の丘(神との取引き)」であろう。詩の中にそれを示唆する内容が出てくる。

上の映像では、数秒ごとに戦争ないしSF映画が連続している。ほんの数秒だけの映画の一場面を観るだけで、全てのタイトルを言える人がいたら凄いよ。なんて思っていたら、僕の患者さんにそういうのが得意な人がいた。

診察室で上のビデオクリップを見せたら全部言えた。天才!

実は僕は3~4の映画しか知らず、しかもタイトルまで言えるのは、プライベート・ライアンだけである。(キッパリ)

だから、その患者さんが言った全てのタイトルが正しいかどうかが判定できない。本人が自信があると言っているのでたぶん正しいと思うが。

随分以前、西原理恵子さんの漫画を見て知ったのだが、彼女もこういうのが得意なんだそうだ。


Running up that Hill(Kate Bush & David Gilmour)

この映像ではケイト・ブッシュを見出したデヴィッド・ギルモアと競演している。彼女の原曲の演奏もなかなかのものだ。

参考
Cloudbusting(Kate Bush)
精神科医は酒が飲めないと良くない

線維筋痛症と現在の精神科診断について

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線維筋痛症と言っても、何から書けば良いのか少し困るといったところ。

今回はテーマの記事数をいつまでもゼロにしておくのはちょっと・・と思ったのもあり、総論的なことについてアップしたい。

元々、この疾患は近年新しく言われ始めた疾患概念であり、独立してこれが存在しているのか、あるいはもっと大きな疾患が別にあり、その表現型として優位に立つものをそう呼ぶのか微妙である。

精神科では統合失調症以外では、時々そんな風な疾患群があるので、またいつものことか・・と言う印象もなくはない。

精神科医は線維筋痛症や慢性疲労症候群は、命名されるずっと以前から抗うつ剤や抗てんかん薬、あるいは漢方などで治療してきたのである。だから精神科医から、「そういう疾患名はなくても良い」と言われたとしても、僕はその意見も十分納得できる。

線維筋痛症に限らず、慢性疲労症候群、疼痛性障害は身体や精神疾患の重複が多く、どのような基準で主病名にするのかが曖昧になっている。

線維筋痛症はリウマチ関連疾患であり整形外科で扱われることが多い。従って、整形外科が主体に診ている患者さんが多いように思われるが、リウマチではない人が精神科やあるいは麻酔科のペインクリニックなどで治療されるケースもある。

線維筋痛症はよく合併する疾患が疫学的に調査されている。

線維筋痛症の合併病態(日本)
関節リウマチ 33.5%
他のリウマチ性疾患 44.1%
非リウマチ性疾患  20.4%


他のリウマチ性疾患44.1%の内訳
シェーグレン症候群  24.7%
SLE         6.4%
強皮症        2.2%
ベーチェット病    2.2%
血清反応陰性脊椎症  2.2%
混合性結合組織病   2.2%
その他        3.2%


非リウマチ性疾患20.4%の内訳
間質性膀胱炎    5.4%
変形性関節症など  15%


僕の場合、既に整形外科で線維筋痛症として告知されている人が、疼痛や特にうつ状態で初診した際に治療する機会が多い。線維筋痛症と患者さんが言う場合、必ずどのような診察を受け、どのような結果から告知をされたか尋ねるようにしている。(近年、診断基準の変更があった)

線維筋痛症は結局は症状が軽くなり、日常生活の制限が少なくなるかほぼなくなれば良いので、どこで治療されるかは大きな問題ではない。しかし、他科では処方したことがないか、極めて使い辛いが、エビデンスレベルの高い向精神薬もあるので、精神科の治療水準はけっこう高いのではないかと思っている。

元々、線維筋痛症に推奨されている薬物は向精神薬が多く、エビデンスレベルも推奨度も高いものが多い。


例えばトリプタノールはエビデンスⅠ、推奨度Aである(海外)。エビデンス、推奨度とも満点である(これ以上はないという意味)。しかし実際の治療になると、これらのランクに拘らず、柔軟に対処するのが良いと考えている。リリカもそうだが、副作用で使えない人も珍しくない上、思わぬ薬が奏功することもあるからである。(リリカ、サインバルタ、トレドミンはエビデンスⅠ、推奨度A。薬物でエビデンスレベルⅠはこれら4剤のみ。なお海外ではトレドミンのエビデンスはⅠだが、日本ではⅡaである。)

少なくとも、僕が診るようになった患者さんは疼痛が消失するかほとんど感じないまでになりADLも改善している。例えば、疼痛のためにいつも車椅子で受診していたが、今は歩行し普通車を運転している女性もいる。

彼女はリリカやリボトリールなどの抗てんかん薬、トラムセットを使っており、大変な多剤併用療法である。「線維筋痛症は頑張ればなんとかなる疾患」と言う僕の脳内の位置づけである。

また、驚愕することに、リウマチ線維筋痛症様の疼痛、うつ状態を治療中にリウマチが治癒する事件も起こった。

これについて恩師に尋ねたところ(リウマチの専門医)、リウマチの全体の20%は薬も何も使わなくても完治するんだそうである。この言い方だが、なんとなく統合失調症の疾患経過に似ている。(過去ログにある)

日本では線維筋痛症を「効能・効果」に挙げている薬物はない。ごく最近、「リリカに線維筋痛症が効能効果として明記されるようになるかもしれない」ことを共同通信かどこかが配信していた。

今はまだリリカを線維筋痛症の治療に使用することは、日本では承認されていない。

ところで、線維筋痛症は少なくともこの病名としては精神科の診断基準には登録されていない疾患である。ICD10では、入れるとすれば、

F40-F48 神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害


の中と思われる。F45に「身体表現性障害」が挙げてあり、この中のF45.4、

F45.4 持続性身体表現性疼痛性障害

くらいであろう。この疾患は、もしそれが前景であれば、自立支援法ではここに入れるしかないと思う。

線維筋痛症は一般の膠原病と同じく女性に多い疾患である。日本ではその男女比は1:5程度である。海外ではもう少し男女比が大きく、つまり女性の患者さんの比率がより高い。

アメリカでは、全人口の2%ほどの患者さんがおり、他の国でも疫学的に同じような数値が出ている。日本では、線維筋痛症は200万人ほどいると推計されており、これは全人口の1.7%に相当する。

実は関節リウマチは日本では0.5%程度の有病率なので、線維筋痛症の方が有病率がずっと高い。つまり、線維筋痛症は関節リウマチよりずっとありふれているが、あまり診断されていない疾患と言える。

アメリカでは1名の患者さんに対し、年間27万円ほどの医療費が使われているらしい。アメリカの人口は現在3億人を超えており、大変な額の医療費と言える。

線維筋痛症の患者さんはその疾患による疼痛やうつ状態などの精神症状のためADLが低下し、ほとんどの人が職を失う。僕の初診時の患者さんは働いていないか、主婦をなんとかやっている人がほとんどである。

線維筋痛症は、平均的には40歳代前半で発病し、患者全体の平均年齢は50歳を少し超える程度。なんと、小児にも線維筋痛症の患者さんがおり、時に不登校の原因になっている。線維筋痛症全体の中で小児の占める割合は4.8%くらいらしい。

(なんとなく中途半端だが、今日はこれで終わり)

参考
精神科では先に見えたものから診断される
リウマチの人は統合失調症になりにくいという謎
リリカ
サインバルタ

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