ある日、外来患者さんがサインバルタを調子が悪い時だけ、頓服で飲んでいることが判明。
どうりでサインバルタだけ余るはずだよ。
彼女によると、今日は調子が悪いとか、うつっぽいと思う日だけサインバルタを服薬しているという。計算すると週に2回しか服薬していない。(20㎎カプセル)
僕は、
そんな飲み方だと効果も期待できないので、もう処方しません。
と告げた。元々、サインバルタやほかの抗うつ剤もそうだが、飲み続けて初めて効果が出現するものである。
一方、デパスやソラナックスなどの抗不安薬は服薬してすぐ数十分後には効果が実感できる。この差は大きい。
精神科外来では、ベンゾジアゼピンだけ処方する人が意外におり、たいていの人は単剤で収まっている。代表的な薬はリボトリール、メイラックスである。
メイラックスなどは、週末は休薬している人がいる。1か月分処方すると、半年後くらいに再診する人すらいる。このような人は自立支援法もむしろ受けない方が安上がりかもしれない。
ベンゾジアゼピンはこのような服薬の仕方でも良いが、サインバルタはそうではない。その患者さんはかつてアンプリットを処方していた時期があり、その時は真面目に服薬していた。その後、軽快し7年くらいはソラナックスだけ時々飲むくらいに安定していた。
ところが、更年期にうつ状態が悪化し、そこでサインバルタを処方したのである。彼女の場合、一見、双極性障害っぽい、あるいはこのブログ的にはウェールズの婦人で、ハキハキなんでも言うような陽性の性格であった。
色々話を聴くと、サインバルタもきちんと飲んでいる形跡がなく、副作用もなく、また効果もないに等しかった。
彼女はそのようないい加減な服薬と関係なく、よくわからないうちに改善していったのである。少なくともサインバルタのために良くなったとは思えなかった。
ここが、双極性障害的なのである。
なお、一般に抗うつ剤は中等度以上のうつ状態、うつ病ではプラセボに対し有効率が上回る確率が高いが、軽症レベルだとプラセボに勝つのが難しくなる。
唯一、軽症うつ状態、うつ病で、プラセボに対し有意差を持って有効なのはサインバルタだけらしい。
ただし、この人はそのような服薬の仕方はしていないのだけど。
参考
自閉性スペクトラムとインターネットの関係など
ジェイゾロフトを毎週、1錠だけ貰う人
向精神薬のスティグマと離脱症状について
精神疾患と服薬
ウェールズ生まれの
ウェールズタイプの統合失調症の寛解
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サインバルタを頓用で服薬する話
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