いつだったか、海外の空港の荷物の引き取り場所で、自分のスーツケースを持って行く際、大柄の男に追いかけられてきて、殴られそうになった。自分より大柄といえばプロレスラーやスポーツ選手並みの大男である。
自分がスーツケースを盗もうとしていると思ったらしい。ビジネスクラスを利用すると、スーツケースが最初に出てくるので、このような微妙なリスクがある。僕が自分のスーツケースだと説明しても容易に納得しなかったのある。
実際に彼のスーツケースが出てきたところ、瓜二つと言って良く、なんと同じサムソナイトで同じサイズ、同じ色、ベルトまで全く同じだった。自分はいつも行きは帰国の際に使えるように国内線で機内に運び入れられる小型スーツケースを入れている。理由はそうしておくと便利だからである。したがって、空港の中で、スーツケースを開け自分のものであることを証明した。
この事件以来、ベルトは錯覚の強化になりかねないので、単にシールを貼るとか、別の目印を選ぶことにした。今は夫婦ともベルトを使うことはない。
旅行会社は、国によっても異なるかもしれないが、ビジネスクラスは2つスーツケースを預けることができ、また上限も1人30㎏くらいになっている。しかし、このルールは、JTBなどの旅行会社は細かい点で極めて説明不足である。
例えば、ある都市に直行便でビジネスクラスを使うならこれで良い(最初から2つで良い)。しかし、帰りはどこかに中継することがあるし、行く際に離島に寄るスケジュールなら、その路線はボンバルディア機くらいを使っているので、スーツケースは2個は載せられないのである。
例えば、日本航空のビジネスクラスで、ブリスベンで数泊後、最終目的地シドニーに行くとしよう。この場合、ブリスベンからドメスティック路線に変わることになる。そうでないこともあるかもしれないが、自分の時はそうだった。オーストラリアはビジネスクラスで来た観光客はドメスティック路線でもビジネスクラスを使えるようである。この場合、搭乗券の半券は非常に重要で、係員に厳重にチェックされる。日本では搭乗券の半券なんて乗ってしまえば捨てても良いシロモノなので相当なギャップがある。僕はうっかり半券を機内誌のある袋に捨てていこうかと思ったが、ふと急に思いなおして、持って行ったため大変な事態にならなかった。戻って機内を探すなんて、安全性からも無理だと思う。海外の空港では写真を撮ることも含め色々とうるさい。
このようなことから、旅行スケジュールにもよるが、ビジネスクラスは2個持って行けるとはいえ、旅行コースを考慮し行きは荷物を2つにしない方が無難である。その代り小型スーツケースは大ガメの中に入れる。このようにしていると、たいていの難関は越えられるが、入国審査の際に、「この人は変なことをしている」と思われる懸念がちょっとだけある。
うちの嫁さんは、時々麻薬の運び人と間違えられ、女性の空港係員から全身を調べられる。これは服装にも問題があるが、行くときから20㎏近い大荷物なのも大問題である。ファッションショーに行くのではないので、洋服を始め荷物は最小限にするようにきつく言うが、石鹸まで持っていくので、何か運んでいると思われても仕方がない。観光目的なのに、最初から20㎏近い荷物なんてな何なんだ?という感じだろう。
彼女は ビジネスクラス以外は乗らないと言うが、よく考えると行くときから20㎏あるようではエコノミークラスだと買い物などできない。一方、僕は係員からこのような扱いをされたことは1度もない。衣類は現地調達だからである。自分の物で最も重いものは、かつては小型ノートパソコンだったが、これでも1㎏くらいである。(それでも海外旅行で1㎏は非常に重い)。今はタブレットになったので、重さが4分の1になった。
帰りの空路にドメスティック路線がある際、航空機内に持ち込めるくらいの小型スーツケースを持っておけば、たいていの難関はクリアできる。しかし、この小型スーツケースですら、ボンバルディア機だと機内に持ち込めないのである。離島に寄る際は十分に考えて計画を立てないといけない。
近年、重量制限がうるさくなったため、大きくて重いものは買わないことにしている。スーツケースの価格以上の罰金は耐えられない。また、持ってみて、このスーツケースは何㎏なのかかなりわかるようになった。ずいぶん重たく思えても、多分17㎏kらいと嫁さんに言うと、当たっている。だから罰金は未だ経験がない。
なお、たいていの航空機は、エコノミークラスでもシートはレカロシートである。これは極めて優れもので、おそらく航空機用のシートは相当にコストがかかっている。かつて、今のようにリクライニングが大きなタイプでない時代のビジネスクラスは、日航でさえ、シート自体はエコノミーの方が良かった。これは航空券の価格差を考えるとあまりにも重大である。
ビジネスクラスのシートはエコノミーより広さがあるため、相対的に中央部分が沈み、エコノミーのレカロよりすわり心地が悪い。この大きな理由は、おろしたての機体ならともかく、かなり使い込んだ機体だと、重い重量のお金持ちが座ってきた経年劣化ではないかと思われる。
いったい、何を考えて設計しているんだといつも思っていた。ただし、ビジネスクラスは2つスーツケースが使えるだけでも大きな価値があり、食事などの差は、市内の美味しい店で食べる方が遥かに良い。銘酒を飲めるとはいえ、機内で飲むと、気圧の関係から下手をすると死にかねないからである。
よく思うのは、海外で日本車を乗ると日本仕様よりドアが重く、ドイツ車のようにバタンと重量感のある閉まり方をする。日本国内で売られている車はローコストになっており、安全性を軽視している。この問題はかつてNHKが深夜に放送したが、2度とアーカイブが放映されなかった。この放送内容では、海外で発売される日本車と日本国内で発売される同じ車種では安全性に差異があったからである。このような重要な放送はゴールデンタイムに放映すべきだと思う。
この問題は日本人の生命にかかわる重大な問題なので、何度も繰り返し放映してほしい。NHKは特定のスポンサーに影響を受けず、国民の受診料だけで経営されているはずだからである。
この話は、奇しくもゼロ戦とグラマンの話に似ている。つまり、日本は搭乗員の生命はあまり考えていないのである。
また、日本では車の安全性が高いことがイコール人気になりにくい話も出ていた。つまり日本ではコストに見合わないということなんだろう。