リフレックス7.5㎎は1日目は効かなかったが、2日目は胸のつかえがすっかり取れて、鬱陶しさが消えた。嫌な気分がなくなり、食事がとてもおいしい。夫の介護も全然、楽になった。夫に対する対応も違う。息子に何か良いことでもあったの?と聞かれた。眠さも全然ない。
これはある患者さんの初診後、2回目の診察の記事である。リフレックスという抗うつ剤がここまで素晴らしく効くかというと、いつもこうなるわけではない。
ここで注意してほしいのは効果発現の早さ。この女性は2日目に素晴らしく効いたと言っている。少量のリフレックスで出足がこうだと、この後、グダグダの展開になる方が稀である。(むしろ中止できる可能性の方が高い。)
その大きな理由は、リフレックスはサインバルタのように切れ味鋭いナイフのような抗うつ剤ではないからである。出足が良くて、その後腰折れしやすい抗うつ剤はむしろ切れる薬の方が多い印象である。これは切れる薬はショートカットするからなんだろう。
リフレックスがどのように効いたかを追う際、入院の電子カルテでは、看護者の記録を辿るとよくわかる。睡眠の状態や食事の摂取量もそうである。うつの重さにもよるが、「こりゃあかん!」のレベルでも、リフレックス7.5㎎(つまり半錠)で、5日くらいに食事量の変化が顕れ、7日目には全快に至る人がいる。この時間差、個人差も謎の1つである。
上に挙げた人のように、リフレックスのような平凡な抗うつ剤が、この早さで効果が発現しているのは相当に脅威だと思う。
アナフラニールの点滴の場合、実施した直後、つまり抜針してベッドから立ち上がった時点で、効果を実感できる人がいる。また、抜針直後は何も効果を感じないが、家に帰って家事をしていると、これまでの鬱々とした自分とは全然違っていることに気付く人がいる。
3環系抗うつ剤は効果が遅いと言うが、点滴だとそうとは限らない。サインバルタはかなり切れ味鋭い薬だが、7日から10日くらいは効果の有無を待つべき薬だと思う。
このように考えると、つくづくリフレックスは正体が見えない謎な抗うつ剤だと思う。
参考