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セルシンとホリゾン注射剤の相違ついて

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今回は細かすぎて伝わらないタイプの記事。

 

最近、ブログをアップする頻度が激減しているが、他の要件で時間が取られて、このブログかける時間があまり取れなくなっていることがある。しかし、アメブロメールは比較的こなしている方だと思う。(記事をアップしなくても、このブログは時間をとられるのであった)

 

なお、医療観察法の鑑定や審判の仕事が入ると、特に前者では短い期間に大量の時間を取られるが、過去ログにあるようにいつも同じペースで記事をアップしているのでいつそれをしているのはわからないのではないか?と記載したことがある。今でも医療観察法の関わりは同じようなものだが、やはり体力的なものや、もはやそう若くはないということなんでしょう。

 

元々、僕は精神科以外のあらゆることに非常に詳しい人らしい。(あの人はいったい何なんでしょう?なんでも驚くほど知ってますよね的な)。つまり、医療以外の趣味的な時間も相当にとられている。

 

このブログを始めた当時の記事に、他にブログを長く続けているが、全く医療(精神科)に関係がないこともあり毎日100~200人しか訪問者がなく、もう少し精神医療に役立つものを始める意図もあったと記載している。このもう1つのブログはなんと今でも継続している。(つまりこのkyupinのブログより数年継続年数が長い)。当時のコメントによると、毎日100~200人の来客はそう少なくはないらしい。

 

今回はセルシンとホリゾン注射剤の相違ついて。これは細かい数値はともかく「患者さんの実感」はあらゆる書籍にも記載がないようなものである。

 

患者さんにセルシンかホリゾンを筋注した際に、その局所の痛みに違いがあると訴えることが多い。これはいつも同じもの(ホリゾンだけなど)を打っている人は気付かないとだと思う。

 

一般的には、セルシンは局所的に痛みがあり、ホリゾンは痛みが徐々に広がる感じだと言う。そのためか、セルシンは局所にしこりができやすいが、ホリゾンはしこりになりにくい。

 

そのようなことからホリゾンが嫌われそうだが、そうでもなく、ホリゾンの方が効く感覚があるという。徐々に効果が実感できるらしい。双方打った経験のある人はほとんどホリゾンを選択する。

 

セルシンとホリゾンは同じジアゼパムの注射製剤だが、ジアゼパムの抗不安効果は、血中濃度で300ng/mLないし400ng/mLで顕れるとされるが、そこまで相関がないという報告もあり、個人差が大きいと思われる。また、筋肉内投与時の吸収率は低く、その結果血中濃度のばらつきも大きい。これも個人差が大きい。

 

なお、ジアゼパムは1000ng/mLを超えると、明らかに中毒域に達するが、500~1000ng/mLは治療域と中毒域のオーバーラップ域と考えられる。

 

セルシンとホリゾンは、同じジアゼパム製剤でありながら薬理特性が若干異なる。例えば、生理食塩水に対する浸透圧比は、

 

セルシン 約30

ホリゾン 約27

 

である。一般に浸透圧比が生理食塩水と同等(浸透圧1)なら、痛みは少なく、すぐに吸収分布されるが、上のように30くらいあると浸透圧比が非常に高く、注射部位にもよるが、かなり痛みが出ておかしくない。セルシン、ホリゾンはできるなら臀部に筋注してもらうべきである。

 

ホリゾンは若干浸透圧が低いため、筋注した際にまだセルシンより広がりを持ち早く吸収されていることも考えられる。これが、患者さんの「じわりと痛みが浸透していく」という感想に繋がるのかもしれない。

 

実際、セルシン(10㎎)筋注のTmaxは約2時間に対し、ホリゾン注は15分から30分でTmaxを迎える患者さんもいるらしい。(個人差あり)。

 

このようなことから早く効果が顕れるため、多少痛くてもホリゾンが良いと言う感想になるのではないかと思っている。(簡単に言えば、筋注して早い時間に抗不安作用や鎮静効果が生じる)。

 

今、書いていて思い出したが、僕は1度だけセルシンを筋注されたことがある。これは交通事故で大怪我をし、しかも全身打撲で痛くてとてもじゃないが眠れそうになかった。この日、病院に入院しておりナースコールでなんとかしてほしいと伝えると、なんと同級生が出てきて、まだ医師免許交付されたばかりだったこともあり、友人はこのような際にどのような処置をするのか逆に夜勤の看護師さんに聴いているという始末だった。彼女の助言によりセルシン筋注に決定。

 

この時の効果だが、少しぼんやりしたので、多少は効果が感じられたが、セルシンには疼痛に関する直接の効果がないので、単にぼんやりするにとどまった。つまり一晩、痛みで眠るどころではなかったのである。それでも個人的には大怪我で意識がないよりはずっとマシという理解。

 

そのあとである。セルシンの筋注部位の痛いこと。怪我の疼痛が減少していてもなお、しこり部分は圧痛が残った。この時の経験から、患者さんが肩にセルシンないしホリゾンを希望し筋注するに見合う効果があるのか?とよく疑問に思うが、かなり身体的ダメージを負っていた状況とは違うんだろうと思う。

 

(おわり)

 

参考

睡眠薬と構造式

 

 

 


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