ラミクタールを初めて処方する際、中毒疹が起こりやすいことを注意喚起する。その流れで、この薬はいかなる効果をもたらすかも説明する。その理由は、そこまでのリスクをとっても試みる価値があることも説明しないと、患者さんから不審に思われかねないからである。
過去ログでは、ラミクタールがフィットする人は早期から鬱陶しいグズグズした気持ちが改善することが多いと記載している。人によると「心の風通しが良くなった」と言う人もいる。ラミクタールは従来の気分安定化薬では効果が乏しかった双極性障害のうつ状態を緩和することがある。
ラミクタールは、処方する際にどのように効くかを説明する点で、早期の効果はプラセボではないか?と思うかもしれない。
このブログ的には、向精神薬のプラセボ効果は一般に言われているほど大きくない。本当のプラセボ(偽薬)で完全に良くなったとしたら、実際に精神疾患が存在しているかどうかも疑わしい。特に内因性疾患ではそうである。
一時的にプラセボ的な良い実感があったとしても、早期にその効果は腰折れしてしまうことがほとんどである。
ただし精神疾患によればそのような流れで完治もありうる。例えば適応障害で職場で配置換えがあり、明確に環境変化が周囲に起こったケースである。環境変化が処方と同時であれば、あたかもプラセボで完治したように見えるであろう。
一般的には軽微なプラセボがあったとしても続かないのである。
精神科の薬物治療を否定的に見る人たちはプラセボを重視する傾向がある。
これは、「精神疾患は気の持ち方から来るもので、本人がしっかりすれば精神科治療など必要ない」といった日本的精神論にも通じている。この2つの考え方は基本が同じなのである。