ある日、診察中に「知らない方が不安の原因になる」という話が出てきた。その時、主に薬の効果や副作用を指していたが、自分の精神疾患について良く知らないことも不安に繋がると思う。
10月7日に「看護職員が希望する眠剤の変遷」という記事をアップしているが、看護職員がさほど抵抗なく睡眠薬を服用するのは、現場で睡眠薬を服薬している患者さんを見ているのが大きい。看護職員は、睡眠薬の効き方や副作用の内容を知ることにより、睡眠薬使用を決断している。知っていることで不安が軽減していると言える。
「知らない方が不安の原因になる」かどうかは人による、あるいは精神疾患による。統合失調症の人は疾患と服薬の必要性などが噛みあっていない人も少なからずおり、知らなくても不安がほとんどないように見える。実際のところ、自分の内面の状況が重大すぎて、他のことは問題にならない。妄想気分などの際は、内因性の不安感?が大きすぎて、薬や疾患を知る、知らないの不安はかき消されている。
不安障害の人たちが全て「知らないと不安になる」かと言うと、そうでもない。実際、初診し服薬し始め、十分な効果があり副作用がほとんどない人は薬の内容まで気にしていない。それどころか1剤しか服用していないのに、服薬している薬の名前も言えない人がいる。
現代社会では「知らない方が不安の原因になる」ことは強迫症状の一面だと思う。また、インターネットなどで不安を軽減する情報が手に入る時代でもある。
参考