精神科で障害者自立支援法を利用すると、医療費(窓口及び院外薬局での支払い)が3割負担のところが1割負担に減額される。また上限が設けられるため(世帯の納税額による)、大抵の人は1か月に2500円あるいは5000円以上は支払わなくて良い。(人によれば上限が2万円など)
上限が2万円だったとしても、1回ごとの支払いが3分の1になるのは大きい。2万円ということは外来で1か月20万円の医療費なので、2週間~4週間に1度外来通院している人であれば越えることがない金額である。
障害者自立支援法の制度は病院の窓口ないしPSWから案内されると思うが、初診時には医師からは話しにくいので、うちの病院では初診時の支払いの際に機械的に窓口の人が案内する。なぜ医師からは言いにくいかというと、「ああ僕はずっと精神科に通わなくてはならないのか?」と悲観させることがあるため。特に内因性うつ病の人はそうである。なお、1度受給するようになると、更新は2年なので診断書料を支払ったとしてもずっと医療費が安くなる。
夜間輪番などで診療していると、少なからずクリニック通院中の人たちが障害者自立支援法を受けていないことに気付く。この理由だが、主治医からクリニック通院中の人は就労していて収入があることが多い上、1か月に1度くらいの通院なのでさほどメリットが大きくないと思われているのかもしれない。他、主治医が障害者自立支援法の診断書を書くのが面倒など。精神科の特殊な点として、患者さん本人が、公的機関に診断を記載した書類を出されたくないと思う人もいるかもしれない。
なお障害者自立支援法は自治体によると、1割部分を自治体が負担し窓口の支払いがゼロになるところもあるようである。生活保護の人は障害者自立支援法以外の部分が医療補助されるため強制的に障害者自立支援法を受けないといけない。公的に補助されるとはいえ、予算の出所が違うからである。
うちの病院は小中学生を積極的には診ない精神科病院だが、職員や通院中の患者さんの家族を診てほしいなどの希望がある際や輪番では診ることもある。
その時、小中学生は障害者自立支援法を受ける必要がないことに気付いた。その理由は現在の医療制度では小中学生は医療費無料のことが多いからである。自治体の経済状況により、無料ではなく安価な上限が定められていたり、高校生まで無料の自治体もある。その上限は大抵2500円を超えないため、障害者自立支援法を受ける必要がないのである。
学童期~高校生を主に診ている精神科医療機関では障害者自立支援法の診断書を書く手間が相当に省けている。そう思う理由は、なんだかんだ言って精神科の文書の中で障害者自立支援法の診断書数が圧倒的に多いからである。障害年金、医療保護入院、措置入院、生活保護、精神障害者保健福祉手帳に比べ、障害者自立支援法を受ける人が多いのである。その代りこの書類は昔に比べかなりシンプルになっている。
余談だが、障害者自立支援法の診断書料は、基本的に医療機関の言い値だが特に単科精神科病院では都道府県で統一されていることが多い。おそらく2000~5000円くらいだと思われる。また学校や会社、生命保険会社への診断書料には消費税がかかるが、障害者自立支援法には消費税をかけてはならないというルールがある。
そのようなことから障害者自立支援法の診断書が2160円とか5400円だったとしたら、端数は消費税ではなく、2160円や5400円こそ正味の値段である。
今回、消費税の増税にあたり、例えば生命保険の診断書料は5400円から5500円に値上げされると思う。