これはある患者さん本人の内服薬に関する希望である。この言葉の続きは、「お休みの日は少なくて良いです」である。
つまり仕事のある日はむしろ薬が多い方が良いと言っているのである。その薬もセレネースとかエビリファイである。
ちょっと考えると逆に思うかもしれない。この言葉は、抗精神病薬が精神病状態の精神に対しどのような役割を果たしているかよく表している。
その患者さんによると、仕事の日に少なめの薬だと、
○新しい職場でテンポよく仕事がこなせない。
○研修が理解できない。
○時間が経つと記憶がない。
○仕事が進まない。
○上司や同僚に言葉をかけられ時にすぐに言葉が出ない。
などの状態になると言う。つまり薬を減量すると脳内がまとまらないのである。おそらく軽度の困惑状態のように思うが、これが更に悪化すると亜昏迷に至る。その状態だと出勤さえできない。
薬を飲むと眠いが、仕事中は緊張するのかバランスが取れており仕事ができる。その方が顔つきもはっきりしている。
一方、お休みの日など家にいるとぼんやりしていても構わないので、仕事の日の半分の量で良いらしい。抗精神病薬が精神病の治療薬であることがよくわかる話だと思う。