今日も引き続きゆるいエントリ。
スマホの万歩計と体調不良の話に一時期体調が悪かった話をアップしている。当時、午前中に缶コーヒーを飲み、午後にもコーラや他の甘い飲料を飲んだ。甘いコーヒーを飲むと気のせいか、ちょっとだけ楽になった。
本来、僕はコーヒーをほとんど飲まない。紅茶・ハーブティー党である。それなのに毎日、缶コーヒーを飲んでいたのである。その後、体調が回復し今は缶コーヒーは努めて飲まない。無糖の紅茶・ハーブティーのみである。
ストレスが溜まると人は嗜好品がほしくなる。例えばタバコである。戦争のドキュメンタリー映像を観ると行軍などの際に多くの兵士がタバコを吸っている。これは緊張感を和らげるためであろう。他にワインやウィスキーを飲んでいる映像もあった。兵士は、いつ死ぬかわからない戦場では酒でも飲んでいないと恐怖感でやってられないと言う。どこか麻痺していないと戦えないというのである。
それに対し缶コーヒーやコーラは嗜好品でもあるが、ストレスによるエネルギー消費を補給する面もありそうである。一方、無糖のブラックコーヒーを好むは、タバコ・ライクな嗜み方だと思う。
患者さんによると、体調が悪くなるとカーっと来て、急に甘い飲み物やチョコレートがほしくなるという。いずれも嗜好品の側面もあるが、チョコレートはタバコのように毎日は食べない。おそらく糖分の欲求の部分が大きいように見える。
アルコールについては日本人の酒の飲み方は西洋人に比べ「酔うために飲む」嗜好が強いらしい。真に味を楽しむ洒落た飲み方はあまりしない。昔に比べワイン党が増えたのは、日本人も洗練されて、西洋人のように味を楽しむタイプの人が増えたのであろう。
ところで西洋でもロシアのように大量にウォッカばかり飲む国民は、「酔うために飲む」洗練されない飲み方しかできないのかもしれない。少なからず本人より社会に問題があるように見える。
僕が研修医の頃、オーベンから「精神科医はお酒が飲めない人は良くない」と言った話を聴いた。彼の話の主旨は、体質的にお酒が飲めない人は他の嗜好品にはまることがあり、結果的に適度に飲酒以上に体を壊すといったものである。代替の嗜好品の1つはタバコである。
オーベンからこれは悪いパターンと評された精神科医は外来診察中も喫煙がやめられなかった。結局、毎日タバコ80本、コーヒー10杯くらい飲み続けたために早く亡くなってしまった。この話だが、今から考えると、アルコールも十分に脳に悪いので、タバコやコーヒーで破綻するような人は飲酒できたとしても、適度には飲めず依存症になるのは必至だったように思う。
いつだったかテレビでホリエモンと大王製紙の元会長、井川意高さんが出演した番組を観た。井川さんとはカジノで100億以上負け、関連会社から不正に借金し特別背任罪で有罪判決を受けた人である。この2人は刑務所に入った経験を持つ。井川意高さんは出所後に書籍を出しており、彼の体験に非常に興味があったのでキンドル版を購入して読んだ。
この2人は、「刑務所に入っていると甘いものが全然ないので、チョコレートとか甘いものがほしくなる。ずっとそうだったのに出所するとほしいとは思わないんですよね.。いつでも手に入るからでしょうか?」と話していた。2人とも、この実感は同じだったのである。
これはいつも手に入るからほしくなくなるのではなく、「刑務所の中のストレス」から解放されたため、甘いものへの欲求がなくなったと考える方がなんとなく辻褄が合う。このように人の嗜好品や甘いものへの欲求は環境ストレスや体調との相対的なものである。
僕がまだ5年目くらいの頃、内科の友人とたまたま糖尿病の話をしていた。友人は「生活が滅茶苦茶なために糖尿病になった人は、その生活習慣をなおすだけでかなり良くなる」と話していた。
精神科でも治療が進み精神状態が改善すると、ストレスの受け止め方が変わるのか、生活習慣病的を招く暴飲暴食が減少する。その結果、検査所見が改善し体重も減少するのである。
精神科治療の経過中、糖尿病薬の必要でなくなる人が存在する。つまり、精神科由来のうつや疼痛、情緒不安定を放っておくと、時に身体疾患が進み取り返しがつかなくなる。精神科治療が、その人のストレスの対処法をより健康的なもの替えるサポートをする感じだと思う。
ジプレキサは肥満しやすい非定型抗精神病薬だが、むしろ体重が減少する人たちがいる。過去ログでは激減はあまりないが、8lgくらいまでなら時々あると記載している。例えばセレネースからジプレキサに変更後8㎏程度体重減少する人たちである。
この人にとって、薬物治療の質的なものがセレネースよりジプレキサの方が上回っていたことを示唆している。外界からのストレスの受け止め方が変化し、生活の乱れが改善し体重減少した部分もありそうだからである。ジプレキサは本来太りやすい薬なので体重が増加していても精神症状も良くなっている人も多い。
ジプレキサは薬理作用による体重増加と、精神症状改善による体重減少傾向のせめぎあいが生じていると考えると、体重減少する人が少なからずいることが理解できる。
今回の記事は体調不良を経験した際に、思ったことをまとめたものである。