今回は昔話的な記事だが、今もあまり変わっていない部分もある。当時と変わった点と言えば、入院患者さんの平均年齢が挙げられる。
○畳部屋がほとんど全ての精神科病院にあったこと。
今は畳部屋は前時代的なものとなった。ちょっと考えるとわかるが、畳部屋はプライバシーが保たれない。また患者さんには足底角化症が少なからずあるので、畳表が擦り切れて、たちまち表面が傷んでしまうのである。従って真面目に運用するとランニングコストもバカにならない。畳部屋は決して安上がりではなく、現在、畳部屋がある精神科病院はかなり稀でないかと思う。
足底角化症、趾間白癬、爪白癬は精神科患者さんに多い印象だが、これが外肺葉が弱いからそうなるのか不明である。これは臨床医の印象なのでエビデンスはない。(誰か調査してください)
他、畳部屋の重要な点として、タバコによる焦げが無数にあったことが挙げられる。これは分煙がほとんどなされていなかったことから来る。確かに、当時の精神科病院の中はタバコの煙でもやがかかっていた。今は病院内禁煙~分煙がなされている病院が多く、少なくとも病室内でタバコを吸える環境は稀である。
参考
○精神症状の重さが驚きだった。
保護室で大便だらけになるなどの患者さんが普通にいたことが挙げられる。当時、保護室で便弄りから便を食べてしまう患者さんがいたが、それでも決してお腹をこわさないのも驚きだった。あれって免疫がおかしくないか?
もっと驚きなのは、そのレベルの人にECTをかけると数日でシャキッとして、数週間後には普通にスーツに着かえてきちんと挨拶して退院して行ったこと。当時は抗精神病薬やECTの効果の凄さ、副作用もあるが効果も十分あることも驚きだったのである。
駅前でちんこ出して寝そべっていて警察に保護されてしまう人が、精神科の入院治療の結果、普通に退院して行き、仕事に戻ってしまうのである。
巷では、精神科治療はかえって悪くなるとか意味ないと言った風説もあるが、現場を知らないというか、うまくいかなかった例だけ挙げて膨大な良好な経過の人たちを無視していると思う。
精神科の場合、先手必勝、後手必敗とまでは言わないが、悪い精神状態が長く続くほど長期的な予後が悪くなる。社会復帰できるかどうかは、病型も大きいが本人や家族の精神医療へ関わり方も大きい。
参考
まだあるが長くなるので今日はここまで。