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Channel: kyupinの日記 気が向けば更新
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ジプレキサ+セロクエルのリエゾン的な少量併用処方

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今回は前回エントリの続きである。

 

リエゾンでは病院の規模にもよるが、高齢者の患者さんに向精神薬投与することが多い。また、内因性疾患ではない人たちに処方する機会が多くなる。その時の精神症状を対症療法的に改善させるため適応外処方も増える。例えば、デパケン(バルプロ酸Na)、ジプレキサ(オランザピン)、セロクエル(クエチアピン)、レキサルティはそうである。

 

リエゾンでは、おそらくセロクエルの方がジプレキサより多く処方されている。その理由はセロクエルはや少量投与ではジプレキサより鎮静的であるし裏目が少ない薬だからである。リエゾンの場合、真の統合失調症の患者さんに処方することがかなり少ない。

 

 

精神科以外の病棟で大声を出す、暴れる、看護者への暴力などがターゲットなので、セロクエルやデパケンなどがジプレキサより先に処方されることが多い。ただし、ジプレキサは少量処方した場合、賦活して興奮状態を惹起することがある(それでもレキサルティよりは遥かにマシ)。

 

なお、リエゾンではエビリファイよりレキサルティの方が遥かに有用である。その理由は、少量投与した際に精神症状へのインパクトが大きい上に、うつ状態に治療的で賦活作用を持ち合わせているのが良い。またエビリファイのように初期に食欲を抑制しないのがメリットだと思う。

 

ジプレキサ+セロクエルの話に戻ると、セロクエルにより精神病的な部分が十分に改善せず、しかもある程度、鎮静が達成された際に賦活目的にジプレキサが併用されることがある。例えば、セロクエル50㎎+ジプレキサ1.25㎎などである。この併用は過渡期的なものが多く、時間が経てばどちらか1つか、いずれも必要がなくなることも多い。特に肺炎後の症状精神病的な経過ではそうである。

 

また摂食不良のケースで新規に少量のジプレキサが処方された時、既に鎮静的なセロクエルが処方中の場合、2剤併用処方となる。

 

コロナ肺炎改善後の精神面の衰弱状態、例えば意欲低下、無気力、不活発、食思不振には積極的に微量のジプレキサやレキサルティは処方されるべきだと思う。このような病態にジプレキサは0.625㎎程度、レキサルティなら0.25㎎程度で十分に有効なこともある。

 

このような病態には鎮静的なセロクエルはさほど有効ではない。たいていの抗うつ剤も同様である。なぜ抗うつ剤が不適切なケースが多いかというと、SSRI、SNRIはアパシー的な病態に治療的ではないし食欲を増進しないこともあると思われる。

 

リフレックス(ミルタザピン)は抗うつ剤の中では良さそうだが、インパクトがなさすぎる。なぜそう思うかというと、リエゾンの初診前に既にリフレックス15㎎錠を1~2錠が処方されていて、全く効いていないのをよく見るからである。リフレックスが多少良いと思える点は、睡眠をいくらか改善することである。

 

一方、真のうつ病の人はリフレックスは有効なことが多い。リエゾンでは高齢者ということもあり7.5㎎でかなり良いケースが多いので、なおさら2錠処方されて効いていない人は意味がないと思う。


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