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マスク着用で診療する際に困ること

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現在、医療従事者はほぼ全員がマスク着用している。外来患者さんも同様である。マスクなしでは入れない病院がほとんど全てである。

 

しかし病棟では患者さんたちはマスクをしないで療養している。これは精神科では病状によればマスク着用が難しいこともありそうである。リエゾンでも内科や外科の入院患者さんはマスクを付けていないので精神科に限らないのかもしれない。

 

マスクの品質は玉石混淆で、付けた瞬間、紐が切れるものがある。僕は今まで3回、紐が一瞬で切れた、職員には5回以上切れた人もいる。どさくさに紛れてかなりの不良品を高値で売りつけられている。手に入れにくかった当時のマスクを今使っているからである。

 

マスクには臭いがきついもの、肌触りが良くないもの、接触したところに汗が溜まりやすいものなど、どの製品でも使いやすいとは言えない。手作りマスクも今でもそこそこ使われているが、安価な使い捨てマスクより感染を防ぐ効果が低いので、できるだけ使い捨てマスクに変えるべきだと思う。今のところ、患者さんたちにはそこまで強制してはいない。

 

マスクをしながら診療する際に困ることの1つは、診察時、顔全体が見えないこと。表情のうち目は比重が大きく、でマスクをしていたとしても、統合失調症らしい人はそういう風に見えることが多い。逆に言えば、大変なことだと思う。

 

また、マスクをしているとマスクの臭気に影響され臭いがわかりにくいのも困る。例えば、酒臭い、タバコ臭いなどである。うちの病院ではタバコ臭い人の診察後すぐに除臭するが、マスクをしているとわからないことが多い。外来看護師さんはすぐにわかってスプレーをしている。なお、僕は犬には負けるが、かなり臭いには敏感なので周囲の誰も気づかないような臭いにも気付ける。それだけ臭気に敏感だからこそ、マスクの臭いに負けてわからなくなるのだろう。

 

そういえば、統合失調症と加齢臭の話を過去にアップしている。統合失調症の人たちが100%加齢臭がないわけではないが、かなり高い確率で加齢臭がない。

 

 
また、最近の新患の人は顔を把握していない。診察中、マスクを取る場面がないからである。正直、初診から顔や表情を把握していないなんて、精神科では診断学的にも大きなハンデキャップだと思う。それに対し、入院するとマスクしないで療養するので、それらの問題はなくなる。
 
また、患者以外でも、今年春から入職した人は正確に顔を把握していない。これもある意味大変なことである。
 
また、精神科では診察時に言葉でのやり取りが多いが、マスクをしていると、かなり聴き取りにくい人がいる。これはおそらくマスクなしでも聴き取りにくい人で、より困難さが増したと言った感じである。それでも診察時はまだ良い。聴き返せるからである。
 
なぜ聴き取りにくいかだが、患者さんがしばしば低声で話すこともあると思われる。マスクをしているとそれだけでも声がいくらか籠るわけで、生活歴、病歴の情報の聴取にかなりストレスを感じている。これが健康に良くないのである。
 
医療観察法では法廷で審判が行われることがある。たまにテレビ番組で出てくるので見たことがある人も多いと思うが、法廷全体がすり鉢型?扇状?になっており、裁判官から見下ろすような感じになっている。ということは患者さん(医療観察法)は近くにはいないのである。もともと声が小さく不明瞭な人がマスクをして話すと、更に聴き取りにくい。また、聴き返すこともできない。この時は最大の緊張感を要したし、大変なストレスだと思った。
 
コロナ流行下では、色々なありえないことが起こっている。
 
精神科医に限らず、医師のはっきりしない体調不良や死亡は、おそらく慢性的な過緊張から来ていると思う。

 

 


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