Quantcast
Channel: kyupinの日記 気が向けば更新
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2198

レキサルティの2㎎を超えて4㎎までの用量について

$
0
0

レキサルティの添付文書は、用量について他の非定型抗精神病薬と比べ、上限が曖昧に記載されている。以下は抜粋。

 

6. 用法及び用量
通常、 成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回1mgから投与を開始した後、4日以上の間隔をあけて増量し、1日1回2mgを経口投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意
7.1 本剤の1日量4mgを超える用量での安全性は確立していない(使用経験が少ない)。

 

他の非定型抗精神病薬、例えばエビリファイだと、

6. 用法及び用量
〈統合失調症〉
通常、成人にはアリピプラゾールとして1日6~12mgを開始用量、1日6~24mgを維持用量とし、1回又は2回に分けて経口投与する。 なお、 年齢、 症状により適宜増減するが、1日量は30mgを超えないこと。

 

ジプレキサでは、

6. 用法及び用量
〈統合失調症〉
通常、成人にはオランザピンとして5~10mgを1日1回経口投与により開始する。維持量として1日1回10mg経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日量は20mgを超えないこと。

 

上のように明確に○○㎎を超えないことと記載されているが、なぜかレキサルティはそのような記載はされていない。

 

一般に抗精神病薬の添付文書で「適宜増減できる」と記載がある場合、上限の2倍まで処方できる。例えばセレネースの場合、

 

■用法・用量 
ハロペリドールとして、通常成人 1 日 0.75 〜 2.25mg から始め、徐々に増量する。維持量として 1 日 3 〜 6mg を経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

 

セレネースは必要であれば12㎎まで増量できる。しかし例えば15㎎は2倍を超えているためレセプトで査定されることが多い。

 

レキサルティの添付文書には○㎎を超えないと記載されておらず、適宜増減の記載もない。今回のエントリは「レキサルティはいったい何㎎まで処方できるか?」と言うものである。

 

レキサルティの添付文書の記載では、弁護士さんによると3㎎までは可能という。弁護士なんて本当か?と驚いたが、詳細は確認しておらず信憑性は不明である。

 

レキサルティはエビリファイに比べれば幻覚妄想への効果が高いが、高用量での鎮静作用が弱いように見える。躁状態にエビリファイの大量は効きそうだが、レキサルティは3~4㎎処方したとしても鎮静できそうにない。

 

忍容性が低い人で、レキサルティでないとうまく幻覚妄想が収まらない人がいる。そのような人たちは他の抗精神病薬は体が受け付けないので、レキサルティ2㎎に他の抗精神病薬を併用することが難しい。

 

このような人は、仕方なく幻聴を抑えるために、査定されるのを覚悟でレキサルティ3㎎前後まで増量する。

 

レキサルティは用量上限についてはローカルな面があるようである。(つまり都道府県により上限に差がある。これが結論)。しかも西日本の方がいくらか緩いという話である。

 

うちの県では3㎎以下であれば問題ない。しかし僕は県内の患者さんで4㎎は処方したことがないので4㎎で査定されるかは不明である。実際のところ、レキサルティを2㎎を超えて処方したい場面はかなり稀である。

 

他県の患者さんの場合、レセプトは地元で査定されるので、その都道府県の基準で査定される。僕の場合、関東のある都道府県で4㎎で査定されているが、これはかなり前の話である。

 

査定された場合、泣き寝入りはせず、必ずできるだけ理論的に抗弁する。なぜなら、その基準が正当化される感じになるからである。その関東のレセプト屋には今回のブログ内容に近い(もっと詳細に)ものを記載したが、アクセプトされなかった。しかし、これはこれで良いのである。トライする事が重要で、当県のレセプト査定の精神科医も、査定されたら是非苦情を出してほしいと言っている。

 

現在、かなり遠方から高速道路や鉄道を使って来院している患者さんは3㎎を処方しているが、査定については全く問題ない。その女性がなぜ3㎎なのかと言えば、忍容性が低過ぎてエビリファイかレキサルティしか処方できず、エビリファイだと激太りが生じるためである。なぜかレキサルティではそれがない。レキサルティの2㎎と3㎎では幻聴の収まり方が段違いなので、レキサルティ3㎎単剤しか選択肢がないのであった。(4㎎はジストニアの副作用で無理)

 

なお、感覚的にはレキサルティの方がエビリファイより若干肥満しやすいように見えるが、この女性は逆なのであった。

 

なお、大塚製薬のMRにこのようなことを質問しても何も話してくれない。レセプト通りしか彼らは語れないからである。

 

レキサルティは高用量からの減量~中止でも離脱症状がない。従って副作用の状況を診ながら高用量で調整しやすい非定型抗精神病薬である。実際、レキサルティは離脱の報告がないらしい。

 

レキサルティの添付文書の用量の部分は、いかなる意図があり、あのような記載になったのか謎だと思う。

 

最後にレキサルティの換算について。レキサルティのコントミン換算は資料が少なくはっきりしないが、

 

レキサルティ4㎎=コントミン800㎎。
 

程度である。しかし日本では公式にはない。上はモーズレイのマニュアルによるもの。
 

D2遮断的にはレキサルティ2mgでコントミン800㎎程度。
 

なお、エビリファイのコントミン換算は

 

エビリファイ30㎎でコントミン600㎎程度。

 

このように記載していくと、レキサルティ3㎎の用量もなんとなく合理性があるように見える。

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2198

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>