以前、統合失調症の人は身体的ダメージ(例えば癌や骨折)に強いと言った記事をアップしている。現在、肺癌の抗癌剤治療をもう何年も(たぶん3年以上)続けている患者さんがいる。しかも非常に元気で今もこの寒い中、外で働いている。抗癌剤を注射している時期もたいして副作用を訴えない。この人のストレス耐性は大変なものである。
このようなことになる理由は色々な考え方ができると思う。まず身体的愁訴がほとんどない(倦怠感、食欲不振、高熱、疼痛)ことは、身体と脳のどちらに由来するかが重要である。
倦怠感や疼痛は脳の感覚だし、身体と脳がどちらかと言われると脳の可能性が高い。以下のリンクでも疲労困憊したドイツ兵が覚せい剤により再び歩き始めたという話が出てくる。
統合失調症の人が癌やその治療に対し強靭に見えるのは、脳に癌や抗癌剤に対してのリソースが残っていないからかもしれない。感覚的にはそのように見える。
イメージ的には、脳自体の統合失調症と言う巨大な疾患に常に対応させられているので、新規に生じた癌や抗癌剤にまで対応できないといったところである。(つまり反応がほぼサイレントになる)
以下の記事では統合失調症の人の癌や疼痛に対する強さについて言及している。及び統合失調症と広汎性発達障害の人との反応の相違について。
また、過去ログでは統合失調症の人は大きな手術を終えた時期は相対的に精神症状が軽くなると言う内容も出てくる。これは脳が大きな新規の身体の損傷のためにリソースを奪われるバランスになるからであろう。
確かに、統合失調症の人は癌に罹患すると以前より精神症状が落ち着くことが多い。
つまり、これらは相補的になっているとも言える。
しかし、癌になり精神症状が落ち着いても治ったとは言えない。そもそも発展的ではないこともある。ある人は悪性リンパ腫が治癒した後(問題にならなくなったと言うべきか)、再び精神症状が悪化したからである。
しかし、このような相関関係の考え方は将来、治療に生かされるかもしれないと思う。