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Channel: kyupinの日記 気が向けば更新
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娘さんや息子さんの治療を頼まれること

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外来診察の際、娘さんや息子さんの治療を希望されることがある。子供だけでなく、兄妹や親、あるいは孫のこともある。このような時、既に他の精神科病院で治療中のこともあるし、全くの初診のこともある。

 

診察中に直接患者さんの家族の治療を依頼されたら受けることが多い。断ることの方が遥かに少ない。

 

ただし、親戚の関係が薄いケースは他の医師に任せることもある。院内で僕は最も受け持ち患者が多いため、更に仕事が増えるからである。(書類も含め)

 

最初に一応、症状を聴いてみる。これは良くなりそうと思う時、仮に既に他の病院で治療を開始していたとしても自院に転院させる。目の前の患者さんが希望していることももちろんある。症状が十分にまとまっていなくても、今後の経過が良さそうに思う時は転院させてまで治療する意味は薄い。今の主治医に任せてみては?と伝える。

 

こうなってしまうのは、おそらく精神疾患への好奇心が強いからだと思う。つまり治療に挑戦する欲求が強いから多分そうなる。

 

ところが、実際に診察してみると予想よりずっと重いことも稀ならずある。それもちょっとどころではなく、数段階重い感じなのである。(例えば神経症か境界例かと思ったら、実際に診ると解離性同一性障害だったとか)

 

診察し始めると、なんとなく良い経過になることが多いが、治療当初は、

 

なんでこんな重い人受けたの?

 

と反省することも多い。このような経験から患者さん本人が僕に直接頼まない限り、自分から言い出して診察を受けることはなくなった。努めて自制しているのである。

 

そもそも患者さんが頼むのと、診察中に子供の話が出た際、自分が言い出して診察を請け負うのではプレッシャーが全然違う。精神医療的にもこの流れは良くないのではないかと思う。

 

いつかも書いたが、面白いから診るのでは体がもたない。

 

精神科医でも色々なタイプがあるが、おそらく僕は精神科治療に関して、アグレッシブなタイプではないかと思う。この年齢でも気持ち的に自制しているからである。

 

つまり、おせっかいはしないようにしているのである。

 

 


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