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慢性期の統合失調症では昼夜逆転の人は少ない

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睡眠の昼夜逆転は、認知症の高齢者でよく言われるワードだと思う。これは周囲に原因がなく、独立して生じている。つまり夜中に自ら騒いで昼間に傾眠状態となる。夜間に騒ぐから不眠ともみなせるので不眠は結果ともいえる。

 

小中学生には昼夜逆転はないなどと昔は言われていたが(本当か?)、現代社会ではスマホとかタブレットなどのゲームで夜間眠らず、朝から寝るために登校できないといった昼夜逆転が診られるようになった。これは果たして生物学的に「昼夜逆転」と言えるのか微妙だと思う。

 

昼夜逆転があるために暇つぶし的にゲームをしているのか、ゲームにあまりにハマってしまったためにそうなったのかで意味が違う。後者はいわゆる過剰な興味と言うかある種の嗜癖だからである。暇つぶし的にゲームをしているとしたら、最初から昼夜逆転が生じているともいえる。いずれにせよ子供の昼夜逆転は器質性所見っぽい(しかも可逆性←治癒しうる)。

 

さて、慢性期にある統合失調症の人はあまり昼夜逆転が診られない。一般的に統合失調症では不眠を避けるために眠剤を服用している人が多いが、これは不眠が続くと病状悪化を来すために予防的な意味も含まれている。

 

これは断眠療法がうつ状態を改善することと関係が深い。1型躁うつ病では不眠が続くことでうつ状態が改善し行き過ぎ、大躁転を来すことがある。統合失調症の人に不眠が良くないのはこのようなことが関係している。(以下のリンクカード参照)

 

 

慢性期の統合失調症の人は、眠剤さえ服用すれば睡眠は安定しているのが普通である。眠剤が全く必要でない統合失調症の人も一定の割合でいる。つまり、統合失調症は内因性オリジナルの精神所見として昼夜逆転はない。

 

統合失調症の人の睡眠が健康な人と異なるように見える点は、浅い睡眠が多そうなことと、加齢により睡眠時間短縮が生じない人がいるように見えることだと思う。これは浅い睡眠が多いからこそ、長く眠らざるを得ないのかもしれない。

 

慢性期の統合失調症の人は昼夜逆転の人は少ないと記載したが、発病したばかりなど急性期では夜間不眠は普通に生じる。ヒトは全く眠らないと言うわけにはいかないので、朝になってウトウトすると言うパターンになりやすい。そもそも、病状が悪すぎて隔離されている人は一晩中起きていることが多い。朝になり隔離室に診察に行くと寝ていたりするので、一晩中で寝ずに騒いでいた結果がこれである。

 

つまり、統合失調症の急性期とか急性増悪期には昼夜逆転はむしろ普通に起こると言える。特に緊張病症候群ではそうである。

 

慢性期の統合失調症の患者さんは既に急性期の戦いを終えているので、そのような症状が収まっていることが多いのであろう。

 

このような視点では、昼夜逆転は器質性所見のように見える。過去ログでは統合失調症の緊張病症候群は「器質性局面である」と言う記載がある。

 

そうのように考えていくと、認知症の高齢者と学校に通う若い世代の昼夜逆転の点と線が繋がっているのがわかると思う。

 

 

 

 


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