今回は特殊な内容だが、過去にも同じような記事がいくつかある。特にロヒプノール(フルニトラゼパムに関する記事)。
上の記事の重要な部分を抜粋する。
ごく稀に、ロヒプノールを大量に飲んでいる若い患者に遭遇する。どのくらい大量かと言うと、1日8mgくらいである。しかもそれを朝昼晩寝る前に4回2mg錠を飲んでいるのである。その患者さんによると、
ロヒプノールを昼間から飲まないと動けない。働けないんだそうである。
これはどのような治療効果を及ぼしているかと言うと、
ロヒプノールがカタトニアを劇的に改善している。
ということに尽きる。実は過去に8mgのロヒプノールの青年に2名遭遇している。しかも最初の人と2名目の人には10年以上離れているので、それぞれ面識はない。個々に自分の治療法を発見したようである。ただし、このロヒプノールの代わりにデパスという人も見たことがある。薬物の作用点については同じだと思われる。
彼らが、どのような方法でロヒプノールを調達したのか不思議だったが、彼らは、その薬理作用が合理的に説明できるのはわかっていなかった。
以上である。
統合失調症+発達障害で、ずっと疼痛に悩まされた少年がいた。その疼痛はプレガバリンは多少効くが効果は僅かで、その以外の疼痛に効きそうな薬は全然と言って良いほど無効だった。身体科に行くと、簡単に線維筋痛症の診断がついたが、投薬で改善することはなかった。統合失調症なので抗うつ剤は使い辛いがそうも言っておれないので定番のサインバルタなども処方したがぱっとしない。
アナフラニールなどの点滴も併用したが、このような治療では疼痛など消えはしないのである。
僕がこのような患者さんを診ている時、いくら本人が痛がっていても実体はないと考えていて、「単に脳が引っかかっているだけ」くらいに思っている。
このようなことを考えると、患者さんの疼痛や苦悩に深く共感し寄り添いすぎるタイプの精神科医は疲れるだけで、あまり双方に良いとは言い難いと感じる。やはり生物学的に診て結果を出す方が精神科医としては優れている。中程度の共感で十分である。
あれこれ試行錯誤を続けているうちに、レキソタンの少量が良いことが分かったのである。なんとレキソタンの投与を契機に重い疼痛が全て消退したのであった。また、幻聴も消失はしないが一時より軽減したのである。
このメカニズムはよくわからないかもしれないが、ベンゾジアゼピンがカタトニアに非常に効果が高いことと深く関係しているように見える。
この人はカタトニアではないではないか?と思うかもしれない。しかしこの少年の病態はカタトニアの近縁にあり、裏返しまではないが、平行した次元に存在していると思われる。それが疼痛の主な原因ではないかと考えられるのである。
従ってECTでもたぶん同じ経過になっていたと思わわれる。以下の記事も参考にしてほしい。
参考